ゲームクリエイター中裕司氏が、スクウェア・エニックス退職を発表。引退も検討
ゲームクリエイター中裕司氏は6月5日、スクウェア・エニックスを退職したことを発表した。4月末をもって退職したという。「理由は今はお話出来ませんが、時が来ればお話出来ればと思います」とのこと。55歳という年齢をあげ、引退を視野に入れていることを示唆している。
中氏は、自身のFacebookアカウントの職歴ページにて、スクウェア・エニックスの在職期間を2021年4月30日までと記載 。5月末になりユーザーやメディアがこの記載を発見し、中裕司氏がスクウェア・エニックスを退職したのではないかと報道。そうした報道に応えるかたちで、中氏本人がスクウェア・エニックス退職が事実であることを認めた。
中裕司氏は、ゲームクリエイターだ。1984年にセガに入社。『ファンタシースター』や『スペースハリアー』など多くの作品にメインプログラマーとして参加したのち、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』にもプログラマーとして携わった。『NiGHTS』などにもプログラマーとして参加しつつ、プロデューサーとして『ソニック』関連作品を手がけてきた。ソニックチームを率いる存在として『ファンタシースターオンライン』などにも関わったのち、株式会社プロペを設立。『レッツタップ』や『ファミリーフィッシング』、『ロデア・ザ・スカイソルジャー』などさまざまな作品の開発に参加。そのほか、小規模タイトルや自社モバイルゲーム開発に従事した。
中氏は2018年1月にスクウェア・エニックスに入社したことを発表。「ソニック」のキャラクターデザインを務めた大島直人氏、そして同氏が副社長を担うアーゼストとともにアクションゲーム『バランワンダーワールド』を開発していた。『バランワンダーワールド』は今年3月に発売されたものの、体験版リリース時から芳しくなかった評価を拭うことができず、各プラットフォームのメタスコアは40~50点前後を記録。また売り上げについては、発売初週も国内向けのパッケージ売上ランキングの30位圏内に入ることができず 、イギリスのパッケージチャートでも同週にトップ40に入ることが叶わず 。国内外ともに良い数字は報告されていなかった。
中裕司氏は、退職理由について「今はお話出来ません」としている。昨今のゲーム業界では、プロジェクト単位でゲーム会社と契約するケースは珍しくない。もしプロジェクト単位の契約ならば、『バランワンダーワールド』がリリースされ、プロジェクト終了をもって中氏がスクウェア・エニックスを退社することはおかしなことではない。しかし中氏が「理由は話すことができない」としている以上、込み入った事情があるようにもとれる。引退を検討するなど今後の活動意欲はあまり示していない中氏であるが、ゲーム業界で同氏の活躍を今後また見られるのだろうか。