『オーバーウォッチ2』Pingシステムの導入検討やバスティオンのリワークなど開発者が語る。サブタンクの調整やCC能力などにも言及
Blizzard Entertainmentが『オーバーウォッチ 2』に関するユーザーからのさまざまな疑問に答えている。海外掲示板Redditのオーバーウォッチコミュニティでは、AMA(Ask Me Anything/何でも聞いてね)スレッドが開催された。『オーバーウォッチ 2』に関する多くの質問が寄せられ、ディレクターのAaron Keller氏を筆頭に開発チームが答える企画だ。
5月21日の公式ライブ配信では、チームサイズが5対5(1タンク、2ダメージ、2サポート構成)になることが発表されファンの間に衝撃が走った。今回のAMAでは『オーバーウォッチ 2』のライブ配信をうけて、さまざまな質問がなされている。ヒーローのリワークや開発方針、雑談めいたものまでざっくばらんな内容。ゲームバランスの話題を中心にかいつまみつつ紹介していこう。
まずユーザーのMinute-Peak-498氏は、ドゥームフィストとレッキング・ボール(ハモンド)のクラウドコントロール系アビリティをどのように調整するか質問している。クラウドコントロール(CC)とは、相手の移動やアビリティを阻害することを指す。ドゥームフィストとハモンドは両名ともクラウドコントロール系のアビリティが生命線のヒーロー。しかしライブ配信では、メイが凍結ブラスターの凍結能力を失って、マクリーからはフラッシュバンによるスタン効果が消えることが示唆された。『オーバーウォッチ 2』ではクラウドコントロール系アビリティは、DPSよりはタンクが受け持つ方針のようだ。
リードヒーローデザイナーのGeoff Goodman氏は、非タンクヒーローのクラウドコントロールアビリティを減らす方針は現在テスト中の段階だという。ただし、タンクがより多くのCC効果を得る、あるいはダメージ量を減らす代わりにCC効果を得るという予定ではなく、あくまで非タンクヒーローがCC効果を失うことで、相対的にタンクが負うCCの役割が増えるということを意味しているようだ。この変更によりタンクそのもののゲームプレイがよりユニークなものになるほか、タンクは1チーム1名しかいないため、ゲーム全体に及ぶCC効果が少なくなることにも開発チームは着目しているようだ。ただしこうした変更は厳格に施行されるわけではなく、たとえばアナのスリープ・ダーツについてはそのままもち越される見込みだという。
そのうえで、ハモンドはタンクであるので、CC効果が高くとも問題はない。一方ドゥームフィストはCCのほかにも、さまざまな理由により相手にしづらい状態のため、注意深く見ていく必要があるという。また全体的にCCが少なくなる環境下でトレーサー、ハモンド、ドゥームフィストなど高機動ヒーローがどれほど強力になるのかも、開発チームにとって懸案事項のようだ。
また、大幅なリワークが予告されていたバスティオンについても、Geoff Goodman氏が答えている。バスティオンの核心となるのは、「変形ロボットであり、モードをうまく使い分けて大ダメージを与える」ことにある。バスティオンは純粋にエイムスキルを問うキャラクターではない。タイミングやポジショニング、状況把握も重要なキャラクターだ。そこで偵察モードの可能性を広げるために、武器を変更する予定とのこと。そうすることでより利便性が高まるほか、他のモード(特にセントリーモード)との違いが強調されるだろうとしている。さらにセントリーモードについて、機動力を犠牲に火力を得るというコンセプトは活かしつつ、一切移動できないのは、代償が厳しすぎると判断。セントリーモードでもゆっくり移動できるようテストをしているという。ただし殺傷力は『オーバーウォッチ』ほど高くはないだろうとのこと。
またユーザーのSpriteGuy_000氏は、『オーバーウォッチ』『オーバーウォッチ 2』に対して、ユーザーからよく耳にする誤解があれば、教えてほしいとの質問を投稿。これに対する回答として、Geoff Goodman氏は5対5の1タンク構成となることで、「D.Vaやザリアのようなサブタンクが削除・変更されるのではないか」という誤解が広まっていると指摘。実際には『オーバーウォッチ』のサブタンクは『オーバーウォッチ2』にて、よりメインタンクによせた性能になるという。逆に現在のメインタンクはより攻撃的な性能になるため、タンク全体としては、メインタンクとサブタンクの中間的な性能になるようだ。『オーバーウォッチ2』においては、『オーバーウォッチ』にてサブタンクを務めていたプレイヤーの方が新たなタンクの役割に適応しやすいだろうとGoodman氏は語る。
ただし、こうした回答は既存のタンクプレイヤーに、「『オーバーウォッチ 2』がより一般的なFPS寄りのゲームになるのではないか」「タンクが“でかいDPS”と化すのではないか」との懸念を抱かせたようだ。こうした指摘に対しGoodman氏は、確かに多少、純粋なFPS寄りにはなるものの、タンクやサポートのキャラクターは常にシューティングやエイミング以上にアビリティを重視しており、それは変わることがないと断言。一方、『オーバーウォッチ』は常にさまざまなプレイスタイルを反映しているといいつつ、新ヒーローが追加されるにつれて作品のルーツから離れていってしまったという。そうした状況を受け、揺り戻しのようなかたちで変更が加わるようだ。
このほか注目すべき点としては、『オーバーウォッチ 2』ではPingシステムの実装が検討されているという。『Apex Legends』のようにワンボタンでピンを立てて、味方と情報を共有できれば便利だ。Pingシステムを導入する予定はあるか、とのユーザーの質問に、ゲームディレクターのAaron Keller氏はかなり前向きに答えている。このアイデアにワクワクしており、実際に開発チームでPingシステムのプロトタイプを作成したという。ただし正式にアナウンスされるまでは約束はできないと述べている。期待はし過ぎず楽しみにしたい機能だ。
また『オーバーウォッチ 2』で廃止される可能性があるアサルトルール(2CP)について、アサルト用のマップはほかのゲームモード用にリワークされるのか、ユーザーのRIPVertigo氏が質問。『オーバーウォッチ』では各マップは専用のルールが割り当てられている。その中でもHANAMURA(ハナムラ)やTEMPLE OF NUBIS(テンプルオブアヌビス)はアサルトルールでしか遊べないマップだ。Aaron Keller氏はオリジナルの2CPマップをほかのゲームモード用にリワークするのは、マップをまったく新しく作るのと同じかそれ以上に難しいという。残念ながら『オーバーウォッチ 2』でハナムラやアヌビスを通常のゲームモードで遊ぶことはできないようだ。ただし将来的にアーケードへ2CPを追加する可能性はあるという。
このほか、スキンやサーバーに関する情報も明らかに。これまでに公開された情報では、『オーバーウォッチ 2』に登場するヒーローの新たな姿が披露されている。これらのスキンが『オーバーウォッチ 2』の新たなデフォルトスキンであるようだ。プレイヤーが所有していた『オーバーウォッチ』のほかのスキンはそのまま引き継がれ、デフォルトスキンの変更には影響を受けないという。またティックレートが120Hzのサーバーを実装する可能性は今のところ低いようだ。理由としては、120Hzのティックレートは参加プレイヤー全員が良好な回線で、遅延が極めて小さい場合のみ恩恵が感じられるからとのこと。
このように、AMAで『オーバーウォッチ2』の新情報がすこしだけ明らかになった。こうした変更はあくまでも開発段階のものであり、製品版にて反映されると確定したわけではない。とはいえファンと開発チームの交流の中、Blizzard Entertainmentのチーム内にSR4300ほどの猛者がいたことが判明したりと意外な情報も多い企画であった。『オーバーウォッチ 2』の発売時期は未定。2021年内に発売される予定はない。