『Stardew Valley』に似すぎていると批判されたゲームの開発者、謝罪。疑わしきデザインは全差し替えへ

『Super Zoo Story』共同開発者のIhor氏は5月8日、『Stardew Valley』に似すぎているとの批判を認め、一部のアートスタイルを変更すると表明した。『Stardew Valley』開発者であるEric Barone氏に謝罪している。

Super Zoo Story』共同開発者のIhor氏は5月8日、Twitter上で声明を発表。『Stardew Valley』に似すぎているとの批判を認め、一部のアートスタイルを変更すると表明した。また自身の言動に関しては、『Stardew Valley』開発者であるEric Barone氏に謝罪している。


『Super Zoo Story』は、現在開発中の動物園運営RPGだ。動物園を運営しながら、さまざまなロケーションに出向き探索したり、街の人々とふれあったりしながら、自由な生活をおくるという。ゲームコンセプトやアートスタイルから、『Stardew Valley』に極めて似ていると評されていた。

『Super Zoo Story』と『Stardew Valley』の類似点は多い。「動物園運営」と「牧場運営」のようにコンセプトレベルで似ているほか、ピクセルアートの使い方も似ており、キャラクターデザインも酷似。UIについては、配置の場所や表示項目の若干の違いはあるものの、やはり似ている。公開されている画像や映像を見る限り、フォントやアニメーションも似たものが採用されている。桟橋や川辺などロケーションデザインも似ている。発表当初からTwitter上では、『Stardew Valley』に似すぎではないかとの声が寄せられていたが、ある人物の言葉が広まったことにより大きな話題となる。『Stardew Valley』開発者Eric Barone氏の苦言である。


Barone氏はDiscord上にて、ファンから寄せられた、「『Super Zoo Story』についてどう思うか」という質問に対して回答。Barone氏は、そもそも『Stardew Valley』が『牧場物語』から影響を受けた作品であるため、『Stardew Valley』から影響を受けたゲームが問題だと思ったことはないとコメントした。しかしながら、『Super Zoo Story』はちょっと行き過ぎているとの見解を示した。もし同作の開発者が『Stardew Valley』のアセットを盗用しているならば大いに問題があるとしつつ、もし盗用していないにしても、ちゃんと時間をかけて自分たち独自のスタイルを確立すべきだと苦言を呈している。またあまりに似ているせいで、Barone氏の新作であると誤解されるリスクもあり、人々を混乱させているとも語った(関連記事)。

『Super Zoo Story』公式Twitterアカウントは、もとより『Stardew Valley』から影響を受けていることを公言している。そしてBarone氏が語っていたように、『Stardew Valley』そのものが初期の『牧場物語』から影響を受けて開発された作品。そういったコンテクストを踏まえて『Super Zoo Story』側を擁護する声も見かけられる。とはいえ、両作品はアートスタイルに、あまりに多くの共通点が見られる。アセット盗用や、『Stardew Valley』関連作だと見せる意図があるとすれば、批判されることは免れない。

Barone氏の言葉がメディアに取り上げられたのち、『Super Zoo Story』共同開発者のIhor氏はTwitter上で声明を発表した。声明文の中でIhor氏は『Super Zoo Story』が『牧場物語』『Stardew Valley』から強く影響を受けていることを認めながらも、コピーする意図はまったくなかったと釈明。しかしながら、一部のアートアセットは『Stardew Valley』に似ていると認めた。情熱ある開発者として、時折視野狭窄に陥り、自分たちを客観的に見られなくなっていたとコメント。アセット盗用については否定しながらも、アートデザインについて差し替えると発表した。

https://twitter.com/Super_Zoo_Story/status/1376206534271774720


また自分の作品を守ろうとするあまり、不適切な言動をしていたとも謝罪。自作擁護についての言動で気を害した人々、特にBarone氏に謝りたいと付け加えた。これはBarone氏から、SNS上での言動が“神経を逆撫でする”と批判されていたことに対しての言葉だろう。Ihor氏は、『Stardew Valley』から引き続き影響を受けながらも、誰かを傷つけたりコピーしたりせず、同ジャンルに貢献していくとコメントした。

具体的な今後の取り組みとしては、『Stardew Valley』に似すぎていると思わしきアセットは、すべてデザインし直すという。具体的にどのアセットを変更するかは明かされていないが、すでに指摘されているキャラクターデザインや、木を中心とした環境デザインが変わるのかもしれない。カラーパレットについても、別のものを使うことを検討していると、Ihor氏は示唆している。いずれにせよ、デザイン面については少なくない変更が施されそうだ。

Barone氏の苦言を呈したコメントは、あくまでDiscord上で個人ユーザー向けに送ったプライベートなメッセージ。同氏のスタジオであるConcernedApeは、『Super Zoo Story』について一切反応していない。もっといえば、Discord上のBarone氏のコメントについても、会話のやりとりを個人ユーザーが広めただけであり、単一ソースということで真偽もやや曖昧だ。しかしながら、『Super Zoo Story』開発者は結果的にそのアートスタイルを変更することとなった。


『Super Zoo Story』の決断を支持する声もあれば、トータルで見れば売名になったと揶揄する声もある。良くも悪くも、注目されたことは間違いないだろう。デザインがどのように変更されるかという点も含めて、再び話題を集めそうだ。『Super Zoo Story』はPC向けに発売予定。Nintendo Switchやモバイル向けのリリースも予定されているという。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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