オープンソース音ゲー『Friday Night Funkin’』フルバージョン制作へ。Flash投稿サイト発、ゼロ年代の香り漂うインターネット文化の結晶
個人開発者のninjamuffin99氏らは4月19日、オープンソースリズムゲーム『Friday Night Funkin’』のフルバージョンを制作することを発表した。同作は2020年にFlash投稿サイトへアップされ、1500万回以上プレイされた作品だ。
『Friday Night Funkin’』は、海外の老舗Flash投稿サイトNewgroundsのユーザー4名により制作されたフリーゲーム。カートゥーン調で描かれた世界観で、主人公の少年がヒロイン「Girlfriend」と結ばれるべく数々の邪魔者と音楽バトルを繰り広げる。ゲームは、上から降ってくる上下左右のノーツをWASDキーでタイミングよく入力するリズムゲーム方式だ。まずは敵キャラクターがワンフレーズを歌ったのち、プレイヤーが同じキー入力をそっくり真似するかたちとなる。国内ゲームでいえば『DanceDanceRevolution』と『パラッパラッパー』を組み合わせたゲームシステムだといえばイメージしやすいかもしれない。
本作はもともと、2020年10月のゲームジャム「Ludum Dare」向けに開発された作品だ。デモバージョンが好評を得たのち、多くのリクエストを受け拡張版を制作。同年11月にNewgroundsへ投稿された。その後『Friday Night Funkin’』はたちまち注目を集め、Newgrounds史上もっとも高い評価を獲得する。その後もファンベースは拡大。今年4月18日に新ステージを含む最新アップデートを配信開始したところ、アクセスが集中しサーバーがダウン。現在、Newgroundsでの『Friday Night Funkin’』公開が一時停止される事態となっている(後述プラットフォームにてゲームの一部はプレイ可能)。
またオープンソースである性質上、Modコミュニティが非常に盛んであることも本作の特徴だ。Mod配信プラットフォームGameBananaでは1200件以上のModが投稿され、活況を示している。初音ミクを登場させるもの、歌い手を登場させるもののほか、オリジナルキャラクターを登場させるModも盛ん。「オリジナル曲+キャラクター」をセットでリリースする独自の創作発表文化が発展している。
*オリジナル楽曲ながら160万件以上ダウンロードされる作品も存在。
『Friday Night Funkin’』のフルバージョンにおいては、ステージ20までを収録。新規楽曲やアニメーションが収録されるほか、ローカル2人プレイやオンラインランキングなどが実装されるという。また多言語対応も予定しているようだ。4月19日より開始したKickstarterでのクラウドファンディングキャンペーンでは、本稿執筆中の4月20日時点で7800万円以上の支援を獲得。1万7000人のバッカーに支えられ、目標金額(約6500万円)を大きく上回る盛況ぶりとなっている。
『Friday Night Funkin’』は現在、Newgroundsでの公開を停止中。ただしitch.ioではステージ7を除くバージョンを引き続きダウンロード可能だ。対応プラットフォームはPC/Mac/Linux。最新バージョンはNewgroundsの時限独占になるとのことで、同サイトの公開ページ復旧を待つ必要がありそうだ。