『スマブラSP』桜井政博氏の「足裏」コメントをきっかけに、“悪夢の激寒ミーム”が掘り出される。『ゼノブレイド2』ファン層の濃さ示す

『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』ディレクター桜井政博氏の「足の裏」コメントが思わぬ影響を与えているようだ。人々が思い出したくないジョーク。

『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』(以下、スマブラSP)ディレクター桜井政博氏は3月4日、オンライン番組「ホムラ/ヒカリのつかいかた」に登場。新ファイターである「ホムラ/ヒカリ」を紹介した。その中での桜井政博氏の言動が笑いを誘い、ネットミームが生み出され、そして古きネットミームが掘り起こされているようだ。


桜井氏は『スマブラSP』に新たにファイターが参戦するたびに「つかいかた」シリーズを放送している。原作の紹介から始まり、ファイター性能を解説し、実践し、最後にコンテンツを総まとめするという構成は変わらず。一方で、作品によってそのトーンが違う。『ゼノブレイド2』から参戦するホムラ/ヒカリの「つかいかた」動画では、ノリノリな桜井氏が見受けられた。『ゼノブレイド』シリーズはモノリスソフトが手がける任天堂IP。他社IPよりは、かしこまる必要がなかったのか、もしくは作風に合わせたのか。桜井政博氏の真骨頂とも言えるオタクトークが炸裂。国内はもちろんのこと、英語圏のユーザーの笑いも誘っているようだ。すでに今回の放送での同氏の挙動はKnow Your Memeなどに取り上げられている。

もともと、ヘビーゲーマーである桜井氏。甘いマスクだけでなく、圧倒的な知識から放たれる“オタクトーク”も魅力である。今回はその傾向が強め。ハナJSが映った際には「JSはジェットスパークモードの意味、ほかの意味なんてない!」とコメント。ふわっとジャンプし、一度丁寧に着地してから攻撃を繰り出す必殺技、バーニングソードについて「謎の着地も再現」としていじるなど、ノリノリだ。


特に話題となったのは、番組の最後のシーン。ホムラとヒカリの市販のフィギュアを紹介しつつ、立体物を集めてモデル班に渡し開発の参考にしていることを明かした。立体物は必ずしもゲーム設定どおりに作られているわけではないとしつつも、なんらかの参考になると思っているとコメント。その参考例として「足の裏」をあげた。もちろん桜井氏としては仕事のために参考にしているのだろうが、海外ユーザーはこの「足の裏」にやたらと反応しているのだ。

というのも、『ゼノブレイド2』の一部ファンにとっては、足というキーワードはあまり思い出したくないキーワードなのである。というのも、一時期かなり気持ち悪めのネットミームが流行していたのだ。内容をざっくりと訳すと以下のとおり:

「お前ら!俺はマジで震えてる!気付いちゃったんだよ、ヒカリが500年風呂に入ってないということは、彼女の足が間違いなくすごい臭いになっていることに!❤ 500年ブーツの中に入っていた彼女の足を想像してみてくれ……ヨダレが止まんねえよ!❤」

https://twitter.com/BlueMaster420/status/1362204945705955329


そう、いわゆる“気持ち悪い系のコピペ”である。元ネタはFacebookの投稿のようだが、2018年4月頃から本格的にSNSなどで拡散され始めたようだ。一部で流行していたが、かなりキツめの文になっていることから嫌がるユーザーも続出。『ゼノブレイド2』の発売から時間が経つにつれて風化していった。しかしこのたび、桜井氏が「足の裏」という言葉を発したばかりに、“あのコピペ”を人々が思い出してしまった。クセが強すぎる文章がSNSにて再び拡散されることになった。懐かしがる声や、その気持ち悪さに慄く声が寄せられている。
【UPDATE 2021/3/10 17:20】
桜井氏の敬称抜けを修正

https://twitter.com/luulubuu/status/1367484015352102919


なぜこのようなキツめのネットミームが生まれたのか。それは『ゼノブレイド2』のコミュニティの分厚さに起因しているかもしれない。『ゼノブレイド2』は2017年12月発売と、Nintendo Switchのローンチ年にリリースされた。ほかの任天堂タイトルほど最初から飛ぶように売れたわけではなかった。ある種ニッチなゲームであったが、ファンの熱量は凄まじく、特に英語圏ではさまざまなネットミームが生み出されてきた。Pinterestなどでは、ファンたちによるジョークやネットミーム系の投稿が確認できる。濃いキャラクターとコミカルな演出、そしてツッコミどころの多さがファンとしてはいじりやすいのだろう。「ヒカリの足のにおい」ネタも、そうしたファンの熱冷め止まぬ時期に生まれたのだ。

前作『ゼノブレイド』の時代からキャラは濃い同シリーズ。ラインを代表に、ネットでやたらと人気のあるキャラは多い。『ゼノブレイド2』でも「やらせるかよ!」「大人しくしろってんだ!」でおなじみのスペルビア兵を筆頭とし、不思議なキャラが登場する。そしてファンが彼らを巧みにいじるのである。今回の再発掘されたコピペ文は、濃いファンのジョークから“こぼれ落ちた”奇妙なミームだと言えるかもしれない。いずれにせよ、『ゼノブレイド2』のファン層の濃さを示す事例となった。


もちろん、こうした懐かしのジョーク発掘の背景には、桜井氏の熱量あるオタクジョークがあったことに間違いはないだろう。同氏のジョークに興奮し、熱を帯びたファンたちが悪夢のネットミームを掘り起こした。桜井氏の「つかいかた」シリーズはあと2回放送される予定。今度はどんなサービスをしてくれるのか。全世界のファンが注目している。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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