Nintendo Switch版『ファイナルソード』はなぜ「DefinitiveEdition」として配信再開されたのか?変更点とあわせて開発元に訊いた

物議を醸した『ファイナルソード』が「DefinitiveEdition」として配信開始された。なぜ「DefinitiveEdition」の名を冠しているのか。開発元に訊いた。

エイチユーピーゲームズは今月1月21日、『ファイナルソード』Nintendo Switch版の配信を再開した。2020年7月にNintendo Switch向けに配信されたものの、ゲーム内容やBGM盗用疑惑などでSNSを騒がせ、結果的にはリリース4日後に配信停止となった問題作。半年の時を経て配信再開されたが、「DefinitiveEdition」の名を冠し、価格もレーティングもオリジナルとは異なる別タイトルとして配信されることとなった。SNS上では旧版と並べて、二刀流として遊ぶユーザーが散見されている。


「Definitive Edition」というワードは、決定版や完成版を意味する。業界でも見かける言葉で『Age of Empires』リマスター版や『テイルズ オブ ヴェスペリア』リマスター版の英語名、『Ori and the Blind Forest』のPC版にも使われ、Nintendo Switchタイトルでは『ゼノブレイド』リマスター版にも使用されている言葉だ。『ファイナルソード DefinitiveEdition』においては、新生にあたってさまざまな部分が変更されており、RTAプレイヤーふぃす氏などを中心に、旧作との差異についての研究が進められている。


しかし実際のところ、何が変わったのだろうか。公式サイトおよび公式Twitterアカウントには、変更点が記載されていない。そこで弊誌AUTOMATONは、本作がなぜ「DefinitiveEdition」と名付けられているのか、そして具体的な変更点は何なのかを、開発元のエイチユーピーゲームズに質問。その回答が返ってきたので、本稿でお伝えしていく。

───再リリースおめでとうございます。「DefinitiveEdition」は旧版とどこが違うのでしょうか。具体的に教えていただけますか。

エイチユーピーゲームズ:
一番の違いは全体的なグラフィックを改善した点です。 これまでグラフィックに対するたくさんのご指摘を頂いてきましたので、この機会に全体的な変更作業を行いました。モバイルバージョンとは同じではありません。

『ファイナルソード DefinitiveEdition』では、ライト、影、シェーダーなどをすべて変更し、状況に合わせたテクスチャーの変更およびモデリングの追加作業が行われました。そのほかの部分としては、プレイヤーの視点及び部分的なフレームドロップを改善し、大型テレビ画面でも従来より良い画質でプレイできるようにしました。今まで問題になっていたバグを修正し、複数回のテストを行った上でリリースしました。 これからも発生する問題点があれば引き続き改善していくつもりです。

(ゲームプレイ面については)既存の難易度が高すぎるというご意見も沢山頂きましたので、より多くのプレイヤーに楽しんで頂けるよう、ゲーム難易度を下げた「イージーモード」を追加しました。さらに、ストーリーをクリアした後、少しでも物足りなさを感じられたユーザーのために、隠れキャラを追加しました。ストーリーと進行状況は従来通りですので、以前プレイされたことのない方は、今回の機会にプレイして頂ければと思います。

───ありがとうございます。ところでオリジナル版『ファイナルソード』を所持するユーザー向けに、新しいバージョンにアップグレードが可能になるような対応は考えられていますか。

エイチユーピーゲームズ:
以前のタイトルとは別のため、互換性がありません。

───なるほど。ちなみに、そもそもなぜ「DefinitiveEdition」というタイトルなのでしょうか。

エイチユーピーゲームズ:
既存の問題点を改善してもっと完成度の高いタイトルをリリースするという目標の下、完全版の名前で新しくリリースすることになりました。

───完全版なのですね。ご回答、ありがとうございました。




以上が開発元とのやりとりとなる。というわけで、「DefinitiveEdition」は決定版ではなく完全版ということであり、完成度を高めたことを表するべく、使われたようだ。具体的な変更点としては、快適さの調整や難易度の調整、そしてグラフィックの向上があげられる。作品の不思議な世界観やストーリー、ゲームとしての特徴はそのままに、ブラッシュアップされているのだろう。今回の取材では回答されなかったが、テキストのぎこちなさなども改善されている印象。前出のふぃす氏がゲームプレイ面での発見を報告しているように、細かな変更点は数多くありそうだ。


なおエイチユーピーゲームズは、次回作に取り組んでいるという。『ファイナルソード』の追加作業によってスケジュールは大幅に遅れているようだが、より一層奮起し後続作品を開発進行させていくと語った。

『ファイナルソード DefinitiveEdition』は、Nintendo Switch向けに税込1799円にて配信中。『ファイナルソード (MobileEdition)』はiOS向けには860円、Android向けには720円にて配信中だ。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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