『ポケモンGO』などで位置偽装などを可能していたチートアプリ業者、約5億円の損害賠償金を支払いNianticと和解へ
『Pokémon GO(ポケモンGO)』や『Ingress』などのゲームアプリを手がけるNianticは、Global++と呼ばれるチートアプリ開発業者を相手取り知的財産権の侵害などについて2019年6月に訴訟を起こしていたが、今年1月7日に両者が和解していたことが明らかになった。海外メディアTorrentFreakが報じている。
Global++は、『Pokémon GO』をはじめとする位置情報ゲームアプリを改変した、チートアプリの開発と配布をおこなっていたグループ。ほかに『Ingress』や『ウォーキング・デッド:我らの世界』『Jurassic World アライブ!』なども扱い、たとえば『Pokémon GO』は「PokeGo++」、『Ingress』は「Ingress++」といったアプリ名で独自に配布していた。
これらはオリジナルのアプリをハックし改変したチートアプリであり、通常と同じくNianticのサーバーにアクセスしてゲームプレイをおこないながら、ユーザーの位置情報を偽装したり、ゲームプレイを自動化したりといったチート行為が可能だったという。Nianticは、数十万ものユーザーがGlobal++のチートアプリを利用していたと指摘している。
Nianticは、新作アプリである『ハリー・ポッター:魔法同盟』の配信直前の2019年6月に、Global++を相手取ってアメリカで裁判を起こした。Global++は、同作の改変チートアプリも準備していたとされる。訴状にてNianticは、Global++のチートアプリにはオリジナルのコードの99%が使用されているとして知的財産権侵害を訴えると共に、サーバーへの不正アクセスによりコンピューター詐欺・不正利用防止法にも違反していると主張。これに対するGlobal++側の反応は伝わってきていないが、訴訟が提起されてからまもなくGlobal++はサービスを停止。SNSアカウントも削除した。
そして今年1月7日、NianticとGlobal++および関連する人物・企業は、本件について和解することで合意。この中でGlobal++側は、Nianticのゲームアプリを改変したチートアプリによって、Nianticが保有するマップデータなどを不正使用していたことや、チート行為をユーザーに促し各アプリのゲーム体験を毀損したこと、またチートアプリの配布とユーザーからの寄付によって利益を得ていたことを認めた。さらに、著作権法やコンピューター詐欺・不正利用防止法などの連邦法に違反していたことも認めたという。
その上で、Global++側はNianticに対して、損害賠償金として500万ドル(約5億2000万円)を支払うこととなった。また、同様のチートアプリの開発や販売、Nianticのアプリへのリバースエンジニアリングなどを恒久的におこなわないことについても合意したとのことだ。現時点では、裁判所による最終的な手続きは済んでいないが、上述した条件で和解することで両者が合意しているため、本件は裁判所の承認を得て幕を下ろすものとみられる。
ゲームメーカーとチートアプリ・ツールの販売業者との戦いにおいては、直近ではBungieとRiot Gamesが共同で訴訟を起こす新たな展開も見られる(関連記事)。いたちごっこになっている一面はあるものの、ゲームメーカー側は訴訟を起こし地道に対応している様子。フェアなゲーム体験の実現のためにも、そうした取り組みが継続されていくことを期待するばかりである。