「Switch Pro」などの情報明かすNintendo Directの“自称リーク”、雑すぎてネットミーム化。誰が一番ひどいデマを作れるか選手権勃発
新年を迎えて早々に、任天堂コミュニティにて怪しげな噂が出回っているようだ。Nintendo Directのリークを称する情報がSNSにて拡散されており、物議を醸している。しかしリークの情報精度があまりに低いことから、“リーク構文”がネットミーム化している。雑なデマを披露しあう大喜利が展開されているのだ。
ことの発端は、米任天堂がNintendo Directの関連ページを更新したこと。2021年1月2日に、米任天堂公式のNintendo Directのアーカイブページが更新されていたことが、ツールを介したユーザー調査によって判明(Reddit)。近日中に同番組が放送されるのではないかと期待が寄せられた。
そしてそこから、リークが生まれるのも早かった。数々のユーザーが“Redditから入手した”として、Nintendo Directで発表される予定のゲームリストが載った画像を投稿し拡散された。その内容を見てみよう。画像に映った書類にはデカデカと「内部使用のみ(Internal Use Only)」と注意書きが記されており、Nintendo Directが1月11日に放送される予定だとされている。
ハードウェアとしては、4K解像度に対応しJoy-Con Proなるものを搭載した約4万円のNintendo Switch Proが発表予定との記載。そのほか、2月4日にUSJにてオープン予定のスーパー・ニンテンドー・ワールドを意識したであろう『Nintendo World』なるタイトルや『マリオカート9』『スプラトゥーン3』『スーパーマリオ オデッセイ2』といった続編群、『メトロイド』新作といったタイトルが列挙されている。
さらにサードパーティー作品としては、Nintendo Switch Pro向けに『Call of Duty: Black Ops Cold War』や『ファイナルファンタジーVII リメイク』、『バイオハザード RE:2』『バイオハザード RE:3』などの大作が、実機動作タイトルとしてリリースされると記載されている。
一見するとそれらしく見えるリストかもしれない。長らく噂されてきたNintendo Switch Proのお披露目。来期の発売。Pro披露にあわせての人気タイトルの発表。またProが登場することにより、これまで性能の問題でクラウドを介して動作していた大作が、実機で動くゲームとして次々リリースされる。それぞれの発表はこれまで流されてきた噂と紐付けられており、どこか納得してしまうところもあるだろう。
しかしこのリスト、実はかなり穴がある。インフルエンサーDirect-Feed Games氏はその穴について指摘。まず任天堂のロゴがかなり昔のものであること、タイプミスが随所に見られること、ゲームタイトルが不正確であること、「Internal Use Only」という文言が古いことなどをあげている。そして「“リーク”とやらを鵜呑みして、自分の知能を蔑ろにするな」と憤った。
Direct-Feed Games氏が指摘するように、まじまじと見てみるとおかしなところだらけ。『ベヨネッタ3』がサードパーティータイトル扱いになっていたり、『Fallout 3 : New Vegas』といった記名ミスが見られたり、「Software」が「Softwar」になっていたり、内部向けにしても任天堂が作る資料として考えられないお粗末っぷり。そのほか、タイトル群も安易なものばかり。『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』の続編が『The Legends of Zelda: Echoes of the Past』になると記載されているが、『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』英語名の『The Legend of Zelda: A Link to the Past』からとっているとされ、Twitterユーザーからは「なんとユニークなタイトル名なんだ」と、皮肉られている。
このように、画像もなければテキストも粗だらけ。雑なつくりの自称リーク画像に、SNSユーザーは呆れ顔。こうした粗悪な自称リーク情報拡散にうんざりした人々は、次第にお手製のデマ画像を作り出したのだ。Twitterユーザーaj氏は、「なんてこったリークだ!」としつつ、「mario two」と記載されたいかにも適当な画像を投稿。Shroomy氏は「100点の新しいリークだ!!」とし、「gta 6」「persona 5 super royal crackhead edition」といったタイトルが並ぶ、やはり適当な画像を投稿。自分が続編を待ち望んでいるゲームの新作を雑に記載させたり、下ネタを絡ませたり、「Nintendo Directのリーク」と称した適当な画像が投稿されている。たちまちネットミームと化してしまったわけだ。
Nintendo Directのリークを称した情報は、これまでにも散々投稿されてきた。そのほとんどがでまかせであり、嘘情報が拡散されるという結果に。もし情報が本当だとしても、ユーザーのサプライズを奪う行為であり、メーカーの努力を蔑ろにする行為。どちらにしても、歓迎されない行動である。だがそれ以前にまず、リークの精度が低すぎる背景がある。こんな適当なリストをつくりリークにできるなら、何も知らない自分が好き勝手に書いてもリークになる。そんな考えを踏まえて“リーク師”を皮肉る意図のもと、さまざまなお手製リーク画像が投稿されているのだろう。
任天堂が最後に「Nintendo Direct」という名前と包括的な内容で番組を放送したのは、2019年9月。2020年はそれぞれのタイトルごとのDirectが用意されたり、miniバージョンが放送されたり、ソフトメーカー向けのものが用意されたりと、形態が変わっている。情報も小出しになってきている。大作が大量に発表される総合的なNintendo Directを、今の任天堂がやるのかという点も疑わしい。自称リークが、今の任天堂のやり方をキャッチアップできていない。
リークの信憑性が薄れ、ネットミーム化するというのは今のSNSならではの現象と言える。リークの価値が低まり関心が薄まれば、真実か嘘かを問わず、リーク情報を流す人々も少なくなる。今回の嘘リークごっこは、リテラシーを高めたゲーマーたちの愉快な自衛行動だと言えそうだ。実際にNintendo Directが1月に放送されるかは不透明。しかし、一喜一憂は任天堂公式から発表があった後にするのがいいだろう。