『あつまれ どうぶつの森』で雪が積もりはじめる。白銀世界ならではのマイデザインに、VS雪だるまの悲喜こもごも

 

ここ数日『あつまれ どうぶつの森』(以下、あつ森)には重い雲が垂れこめていた。といっても陰鬱な話ではない。モフモフとぶ厚い雲からひらめいてくるのは、白くて小さなひとかけら。そう、ここ数日は各島で、降雪の様子が報じられている。島によって時期の前後や止み間もあったものの、おおむね12月9日前後より雪の降るさまが確認できたようだ。そして昨日、12月11日。自宅の扉を開け放った島民の目に飛び込んだのは、待ちに待った景色だった。『あつまれ どうぶつの森』に雪が積もったのである。 
 

https://twitter.com/atumorimikotti/status/1336455096805117952

 

 

 
毎シリーズ恒例のお楽しみ、雪景色。『あつ森』における雪の楽しみ方は、まず積雪前から始まったといえるだろう。島民ごとのTwitterを覗いてみると、「今日の雪は楽しみだったが、昼には止んでしまい残念」「昨日より大降りになっている。そろそろ積もるんじゃないか」と、まるで本当に全国の気象情報を見ているような気分になる。アップデートと同時にガラリと雪景色を実装することも可能だったろうが、少しずつ状態の異なる雪を降らせて、「積もるのか、積もらないのか」とプレイヤーをヤキモキさせてきた。さらにその感想がSNSで共有されることで、あたかも皆が本当に『あつ森』の世界で空を見上げているような、独特の時間共有感覚が生まれたといえるだろう。 

その上、今年は雪の表現もよりリッチに。たとえば地面に落ちた雪片ひとつとっても、岩肌や芝生の上に落ちたものは少しとどまってから消えていくが、広場の舗装の上だとすぐに溶けてしまう。ほんのわずかなディティールではあるものの、雪の結晶の存在感を示す心にくい演出といえるだろう。さらに積雪表現は、夜に見るのも味わい深い。月明かりを反射した雪原のグリッターは、宮沢賢治の世界もかくやというきらめきだ。年間を通じた季節表現の中でも、雪景色の描写は際立って美しい。 
 

 
白く染まった屋根の下で、各島民はさっそく活動を始めたようだ。マイデザインクリエイターの???? ?氏は、白く覆われた野原にぴったりのデザインを発表。「雪のあしあと」と題し、雪原の上に踏みしめられたどうぶつたちのフットプリント模様のデザインを配布している。押し固められた足型だけでなく、周囲に盛り上がった雪の膨らみまで再現しているのがポイントだ。肉球・鳥足・ヒヅメと各種用意されているため、それぞれの住民の足跡を敷いてみるといいだろう。いったいこの足取りの向こうには誰が? と想像せずにはいられない、物語性に富んだ作品となっている。 
 

 
さらにマイデザイン界隈で一大ジャンルを築いているのが「けものみち(#ACNHpath)」シリーズだ。元はマイデザインクリエイターDenim2(森)氏が発表した作品で、複数の道路舗装パーツを組み合わせることで初代『どうぶつの森』のような曲線的でランダムな道を表現できるというもの。同作は「パーツを組み合わせることで、島クリエイターにはできない道路舗装を可能にする」という点で革新をもたらした。今では「旧作風」にとどまらず、「光るコケの道」「ゆめかわな道」などさまざまな“けものみち”が派生している。雪景色の到来を経て、けものみち職人たちの活動も活性化。レンガの上の雪や草原の上の雪など、多彩なバリエーションで冬仕様けものみちが誕生している。自由に道を敷ける要素は『あつ森』ならではの要素だが、デフォルトの直線的な道路に飽き足らず工夫を凝らしたジャンルが形成されているのは、面白い潮流といえるだろう。 
 

 

https://twitter.com/pinkchan_kuru/status/1337339643910520832

 
『どうぶつの森』シリーズ冬の伝統アクティビティといえば、ずばり「雪だるまづくり」である。ランダムに発生する雪玉を転がし、適度な大きさで重ねてやることで、喋る雪だるまが誕生。上手なバランスで美しく作ってあげると、お礼に「雪だるまシリーズ」のDIYレシピや素材が手に入るのだ。従来よりなかなかシビアな判定が課される雪玉づくりだが、『あつ森』においては効率的な制作方法の情報交換が盛ん。SNSでは「むらびとの耳より少し下の大きさがいい」「実は小さい雪玉でもバランスが良ければセーフ」など、従来以上に攻略情報が流通している印象だ。本作ならではの要素としては、誕生記念にケーキを要求する雪だるまに「ははのてづくりケーキ」を添えてあげる心温まるシーンも流行っているようだ。なぜ「バースデーケーキ」を置かないのかというと、雪だるまがロウソクの乗ったケーキを嫌うからである。 

心優しいユーザーもいる一方、あえてたいまつなどのインテリアを設置しまくり火祭りで祝う毒村人も存在。さらに「大失敗」時の画像シェア率も高く、「実はあえてヒドい雪だるまを作るのが大好き」とのカミングアウトも散見される。無様なバランスで生を受けた雪だるまによる悲哀のセリフには、少なからず愛好者がいることだろう。雪だるまは気さくで親しみやすい一方、笑顔のまま張り付いて動かない顔や、日が経つにつれ溶けていく姿がシュールな存在。完成に至るまでの苦労も相まって、一部ユーザーにとっては嗜虐心を煽られもするのかもしれない。 
 

 
海外掲示板Redditのあるユーザーは、整ったバランスの雪だるまの写真を上げた。いわく、現実世界での投稿者は身体にハンデを負っているため、生涯雪だるまを作ったことがなかったのだという。『あつ森』における雪景色の到来によって、はじめて念願の雪だるまを作ることができたと喜びの声を語った。間も無くクリスマスが来て、大みそかが来て、新たな1年が訪れる。『あつ森』はじめての冬は、どのユーザーにとっても暖かな空気で満ちているようだ。