イチャイチャアクションRPG『Haven』はどんなゲームなのか。オープニングで「3度」キスをする駆け落ちラブラブゲーム

インディースタジオThe Game Bakersは12月3日、『Haven』を配信開始した。イチャイチャアクションRPGである。

インディースタジオThe Game Bakersは12月3日、『Haven』を配信開始した。対応プラットフォームはPC(Steam)/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/Nintendo Switch。PS4/Nintendo Switch版については、2021年Q1に配信予定。架け橋ゲームズのサポートにより、日本語にも対応している。The Game Bakersといえば、苛烈なボスラッシュゲーム『Furi』の開発元である。一転して本作は、カップルの逃避行を繊細に描く冒険譚となっている。『Haven』とはどんなゲームなのか?一人で遊んでも虚しくならないのか?先行プレイを踏まえて、その内容をお届けする。
【UPDATE 2020/12/4 9:40】
対応プラットフォームについて追記


イチャイチャアクションRPG

それではまず、本作の基本情報を紹介しよう。本作の主人公はケイとユウだ。2人は故郷となる星で普通の暮らしをおくっていたが、“あること”をきっかけに駆け落ちする。その結果、謎めいた惑星に行き着いた。得体のしれない惑星にて、先の見えない不安に苛まれながらも、愛する人と共にいれることに安堵するふたり。宇宙船ネストにて、そんな逃避生活を送っていた。しかし突如地震が発生し、ネストの一部が破損。ネストの修復を進めるために、未知なる惑星の探索を進めながら、ふたりを追い詰めるものの正体へと迫っていく。

本作はざっくり説明すると、ケイとユウを主人公とし、惑星を探索するアクションRPGだ。ケイとユウは相思相愛。なにせ駆け落ちするほどである。社会システム上互いに結婚するべき相手がいたが、それを振り切って逃避行を果たしている。障害を超えたふたりなので、愛の燃え方も著しい。この二人、ゲームプレイ中はかなりイチャつき倒すのである。オープニングアニメでは3度キスをし、冒険中も言葉と身体の両方をもって乳繰り合う。そんな二人の関係性を見守ることが、本作の大きな趣旨となる。



探索・戦闘・生活

ゲームサイクルとしては、探索と戦闘、そしてネストに帰っての生活の3要素が繰り返される。まずは探索。本作は中規模の広さで形成されるフィールドが数多く存在し、エリア移動をしながら探索を進めていく。区切られたマップを移動していくイメージだ。探索ではさまざまなアイテムを拾うことができる。アイテムは食材になったり、回復アイテムの素材になったり、物語を進める手がかりとなったり、有益なものが多い。しかし本作は単に走って移動するわけではない。ケイとユウは特別なブーツを履いており、グラインドをしながらフィールドを移動する。小回りはしづらく、操作にもクセはあるが、地を這うような独特な移動が特徴となっている。

フィールドには、とある事情により凶暴化したモンスターが徘徊。モンスターのシンボルに接触すると戦闘が始まる。ユウとケイの行動をスティック入力で選び、敵にダメージを叩き込もう。モンスターのHPがゼロになれば鎮静化 準備。HPがなくなった敵を鎮静化というかたちで攻撃することで、完全に敵の戦意を喪失させるという流れ。再び凶暴化する前にすべての敵を鎮静化すれば戦闘終了だ。敵からダメージを受ければケイとユウのHPが減少。戦闘終了後もHPは引き継がれるため、体力管理は重要な項目となる。


探索や戦闘にて疲労したなら、“愛の巣”ネストに帰還しよう。調理や食事、回復薬の作成やシャワー浴び、雑談に乾杯など、できることはさまざまある。調理すれば食物を作成でき、お腹を満たせる。乾杯は、レベルアップに近い行動だ。本作では探索を進める、もしくはイベントを起こすことでケイとユウのラブラブゲージが上昇。ゲージがたまれば乾杯が可能となる。乾杯をすることで、ふたりのステータスが上がっていく。外で探索を進め、家に帰り愛を深めることでふたりは強くなっていくわけだ。

イチャつき倒し

外にいても中にいても、ひたすらイチャコラするのが『Haven』の醍醐味。探索中はアイテム取得、エリア移動、ストーリー進行など、さまざまな状況に応じてケイとユウが会話をする。イチャコラといっても、常にふたりが盛っているわけではなく、コミカルな掛け合いも多い。そうした意味でも、ケイとユウの関係性を楽しむ作品だと言える。もちろん、男女関係らしい描写も欠かさない。直接的な表現ではないが、ふたりの間には肉体の絆もあり、そうした関係性を示唆する描写がたびたび仕込まれている。乳首が露出されるわけでもなく、喘ぎ声が響くわけでもないが、普通のアクションRPGには見られない、プレイヤーをドキりとさせる描写が随所に込められている。まどろっこしい言い方になるが、性描写を期待して遊ぶと肩透かしであるが、プレイ中はなんだか恥ずかしくなってしまう程度にはエロスが散りばめられている。


そして本作は、ローカルでの2人プレイが可能であることも押し出されている。ひとりがケイを、もうひとりがユウを操作する形式。筆者も2人と1人プレイの両方を試した。探索時は、先頭のプレイヤーに操作権が委ねられ、追うプレイヤーは右スティックなどでアイテム収拾が可能。戦闘は2人がそれぞれのキャラを操作する。ネストでは両方が操作でき、譲り合わないと操作入力が入り乱れてぐちゃぐちゃになる。なお2人プレイの場合は、テキストダイアログは、2人とも承諾しないと進まない。会話の選択肢も息を合わせる必要があり、2人プレイならでは興味深いギミックが仕込まれている。

ひとりの方が楽しい

では1人プレイだと虚しいかと言うと、まったくそういうわけでもない。むしろ、1人プレイの方が快適だ。探索は1人でも2人でもそこまで変わらないが、1人プレイだと戦闘が楽なのだ。戦闘では、ケイとユウの息合わせが肝心。同じ技を選択後、タイミングよくスティックを入力し離すことで、大技を繰り出せるし、同時に鎮静化をすれば複数体の敵を一気に沈められる。ゲームが進むたびに連携の重要性が増していく。

ひとりで遊ぶ際には、左スティックと右スティックの倒すタイミングを、自分のテンポで合わせればいい。 しかし2人プレイ時はタイミングが外れるたびに、舌打ちやため息を漏らさざるを得ない。防御や鎮静化の連携が噛み合わない時もまた、思わず相手に小言をこぼしてしまうかもしれない。本作は2人プレイ向けに作られているが、専用ではなく、2人プレイ時のメリットもさほど大きくない。翻ってみれば、実生活と同じく、パートナーと2人で息を合わせる難しさが示唆されていると解釈できよう。関係性とは、すれ違いの上で成り立っているのだ。


またラブシーンに関しても、お茶の間で家族と共にロマンスシーンを見ると気まずくなってしまうのと同じで、友人や恋人とケイとユウのイチャイチャを見ても、形容しがたい妙な雰囲気になりがち。他人がキスをしているところは、複数名で見るものではない 。カップルをテーマとしたゲームだからといって、カップルで遊ぶと楽しいわけではないので注意すべきだろう。むしろ、誰にも気を使わず親のような気持ちでケイとユウを見守れるという点で、1人で遊ぶ方が適しているといえるかもしれない。筆者は1人プレイ時にラブラブシーンが出るたびに、ニヤニヤしながらスクリーンショットを撮影していた。2人で遊ぶ場合は、こうも気持ち悪い行動はできない。

重ねて述べるが、ケイとユウの関係描写が本作の醍醐味である。膨大なテキスト(そしてフルボイス)をもって、愛の逃避行劇が描かれるのだ。ふたりはイチャイチャもするが、不安や葛藤といった心理描写や、複雑な過去が丁寧に描かれており、彼らの関係性は読み物としての面白さに落とし込まれている。特にアドベンチャーゲーム好きな方は、楽しめるだろう。筆者としては、『Haven』はカップル要素よりも移動が好きになれるかが重要であると感じる。移動についてはクセがあり不満の種になるし、慣れれば爽快になるわけでもない。スピードを完全に落とせば徒歩移動もできるがとにかく鈍足。ゲームプレイ上移動操作に繊細さが求められるが、その割に操作加減が難しいというのは、プレイヤーにとっては減点対象になるだろう。


何かと説明不足な箇所も多いが、全体的には個性あふれるアイデアがどれもシステムとしてうまくまとめられている『Haven』。イチャイチャも探索も楽しめる、意欲的なアクションRPGとして仕上がっている。1人プレイでも楽しいゲームであるので、興味のある方は手にとってみることをおすすめしたい。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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