任天堂から機密情報を盗みリークした男に懲役3年の判決。一度は改心し見逃してもらうも、ふたたび悪事に手を染め厳しい処分を受ける
米国ワシントン州西地区連邦地検は12月2日、任天堂が持つ機密情報を盗んだ罪などに問われていたカリフォルニア州在住のRyan S. Hernandez被告が、懲役3年の判決を受けたことを明らかにした。同被告は、発売前のNintendo Switchに関する情報などをハッキングにより入手し、流出させていたという。
連邦地検による発表や訴状によると、Hernandez被告はまだ未成年だった2016年、フィッシングにより任天堂社員の情報を盗み、米国内を含む任天堂のサーバーに侵入。当時発売前だったNintendo Switchや開発中のゲームに関する情報、開発ツールなど数千件の情報を入手していたとのこと。任天堂のゲーム開発者専用サイトに登録し、技術サポートを求めるふりをして任天堂社員に不正なリンクをクリックさせ、保護されたサーバーへのアクセス権を得ていたようだ(WIRED)。
これを受けてFBI(連邦捜査局)が調査に乗り出し、2017年10月にHernandez被告とその両親に接触。当時未成年だったこともあってか、同被告が今後不正行為をおこなわないと約束したことで一旦の解決をみた。しかし同被告は、2018年6月ごろからふたたび任天堂のサーバーへのハッキング行為に手を染め、およそ1年間にわたって機密情報を不正に入手。SNSを通じてその一部をリークし、そうした行為を自慢していたとのこと。また、自らオンラインチャットフォーラムを開設・運営し、そこでは盗んだ情報だけでなく、任天堂のネットワークの脆弱性についても共有していたとされている。
そして2019年6月、FBIはHernandez被告の自宅に家宅捜索に入った。同被告のPC内からは任天堂の機密ファイル数千件が見つかり、また海賊版のゲームやソフトウェアを利用するためのデバイスも発見。さらに、児童ポルノ画像・動画を1000本以上所有していたことも報告されている。同被告は今年1月、ハッキングおよび児童ポルノ所持に関する連邦犯罪についての罪を認め、検察は司法取引を経た上で懲役3年を求めた。そして今回、求刑どおり懲役3年の判決が言い渡された。裁判所は、認知障害者のための刑務所に収監することも勧告した。またHernandez被告は、賠償金として25万9323ドル(約2700万円)を任天堂に支払うことに同意している。
ゲーム関連情報のリークは常に存在するが、任天堂は近年そうした行為への対応を強めている。2019年6月ごろには、SNS上で発表前の情報をリークしていた複数の人物が、任天堂の弁護士からの要求を受けて次々に同社関連のリークを停止。また今年2月には、『ポケットモンスター ソード・シールド』の発売前にゲーム内容がリークされた件をめぐり、株式会社ポケモンによる訴訟を通じて流出させた人物を特定していた(関連記事)。
今回のHernandez被告はというと、悪質な手口によってハッキング行為をおこなう明らかな犯罪行為によって、任天堂の機密情報を不正に入手しリークする手口。任天堂の寛大な対応により一度は見逃してもらったにも関わらず、ふたたび悪事に手を染めたことで大きな代償を支払うこととなった。