【UPDATE】『アサシン クリード ヴァルハラ』の流血表現規制にCEROは関与していないと、Ubisoftが謝罪。発売前の説明なく批判を招く

『アサシン クリード ヴァルハラ』の流血表現規制にCEROは関与していないと、Ubisoftが謝罪。発売前の説明なく批判を招く。『アサシン クリード ヴァルハラ』の同バージョンが配信されていた韓国や台湾では、規制箇所を直すと告知されている。

【UPDATE 2020/11/26 14:04】
ユービーアイソフトは11月26日、『アサシン クリード ヴァルハラ』国内版にて流血表現が大幅にカットされている点について対応状況を報告。当初は国内レーティング取得にあたっての表現修正と案内していたが、そうではなく、「ゲーム内オプションにて流血表現をオンにできないという問題」であると伝えた。12月中旬に配信を予定しているパッチにて、流血表現をオンにできるようになるとのことだ。

【原文 2020/11/19 20:01】
ユービーアイソフトは11月18日、『アサシン クリード ヴァルハラ』における表現規制について説明。ユーザーからの問い合わせが多く寄せられていたという流血表現について、日本版にて規制するに至った理由を伝えた。流血表現の規制については、発売前に説明がなく、また明確にわかる違いということもあり、発売後数多くの批判が寄せられていた。公式Twitterアカウントのリプライ欄でも、その様子が確認できる。


流血表現を規制した理由について同社は「ゲームのレーティングを取得する際、オリジナルのゲームに対して、当初予定していた修正内容では日本で発売することができない可能性が高いことが分かりました。そこで、関係機関との協議の上、日本で発売可能となる表現修正を再度検討した結果、流血表現の削除も修正項目に含まれることとなりました。全世界同日発売を維持するための対応となりましたことをご報告いたします」と、18日時点で説明している。

レーティング取得にあたり関係機関との協議の上、全世界同日発売に間に合わせるべく、流血表現を抑えるに至ったとの内容。ここでの関係機関は、国内のゲーム審査機関であるコンピュータエンターテインメントレーティング機構(CERO)を指しているのだろう。報告内容から、CEROの基準により、Z指定で審査を通すには流血表現を大幅にカットする必要があったと読み取れた。だが翌日11月19日、CEROが公式サイトにお知らせを掲載。ユービーアイソフトの上記文面について、「本機構では、この件について同社から一切ご連絡も協議のお申し出もいただいておらず無関係ですので、その旨お知らせいたします」と否定した。

少量ながら流血はあり、まったく血を流さないわけではない


同日ユービーアイソフトは、当該UBIBLOGを更新。「先日公開した流血表現の修正に関しまして調査を進めた結果、弊社内の問題であることが判明いたしました。関係各所及びユーザーの皆様には、心よりお詫びを申し上げます」と追記した。つまりCEROと協議の上で流血表現を大幅カットしたわけではなく、自主的におこなった規制ということだろう。「流血表現につきましては社内でさらなる調査を至急行っており、詳細が分かり次第お知らせいたします」とのことで、そもそも同規制が必要であったのか、という点も含め、さらなる説明が待たれる。

現状、ゲーム内のオプションには「流血表現」のオン・オフ項目があるものの、オンにしても流血はほとんどない状態になっている。ユービーアイソフトの文面から、当初は同項目をオンにしていれば、攻撃時などに一定の流血表現が確認できたのだろう。なお、流血表現以外の規制内容に関しては、発売前に開催された「UBIDAY2020 ONLINE」にて解説されていた。「日本語版と北米版との違い」として挙げられた項目は「切断面の凸凹をなくし、滑らかに調整」「一部拷問シーンで内臓が見えるシーンをマイルドに修正」「切断された顔を仮面に置き換えるよう修正」「トップレスの女性に布をつける」である。

*(追記 2020/11/19 20:15)規制に関する解説は4時間34分30秒〜から。4時間37分50秒より、規制対象プラットフォームについては、「PC版も今CEROを通しているので、日本で発売されるものはすべてです」との説明あり(Ubisoft Storeでは、CERO表記が確認できる)。

表現規制がシュールな場面につながることもあり、たとえば豚に敵兵の生首を食べさせるという場面では生首自体がカットされ、豚が敵兵の兜を舐めるだけに。それにもかかわらず、周囲の住民が悲鳴をあげるという、シュールなシーンが生まれている。切断描写自体は存在し、扱う武器種によって、頭部や四肢などを切り落とす、豪快な技を繰り出せる。この切断描写も、オプションの「切断描写」項目よりオン・オフの切り替えが可能だ。同社はコンソール版・PC版ともに国内販売タイトルはCERO取得をおこなっているため、PC版であっても、国内版は規制が入っている。

なお、説明なく流血規制が入ったのは、ほかのアジア圏も同じ。というのもアジア圏では共通バージョンとして販売されているからだ。つまり日本向けにおこなった自主規制の影響が、他国にも及んでいた。11月19日、Ubisoftは台湾や韓国向けに、独自のアップデートによって規制箇所を調整すると発信している(GNN 新聞網)。はたして日本版に関しても流血表現に関する規制の緩和へと向かっていくのか、今後の動向が注目される。

『アサシン クリード ヴァルハラ』はPC/PS4/PS5/Xbox Series X|S/Xbox One向けに販売中。余談ながら先日には、1分で終わる、一見すると薄いサイドクエスト(ワールドイベント)が、実は亡くなったファンに捧げる内容であったことがわかり、海外フォーラムでちょっとした話題となった(関連記事)。

Ryuki Ishii
Ryuki Ishii

元・日本版AUTOMATON編集者、英語版AUTOMATON(AUTOMATON WEST)責任者(~2023年5月まで)

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