リメイク版『ゴールデンアックス』開発者、「質が悪い過去の遺物」というセガのゲーム説明に怒り心頭。当時は“悪夢のような時間”だった

セガは設立60周年記念としてSteamでの無料配布を開始している。その中には開発中止となった『ゴールデンアックス』も含まれているが、開発者としてはその説明の仕方に怒っているようだ。

セガは10月16日、RTS『カンパニー・オブ・ヒーローズ』をアレンジした『Armor of Heroes』を、同社設立60周年記念としてSteamでの無料配布を開始した。期間は10月20日2時まで。

同社はこれを皮切りに、Steamにて毎日オリジナルゲームを配布する、気合の入ったプロモーションを展開中。開発中止となった『ゴールデンアックス』のリメイク版のプロトタイプ『Golden Axed: A Cancelled Prototype』もその一環となる。しかしSteamストアはやや辛辣。「Golden Axed may be janky, may be buggy, may be an artifact of its time (質が悪く、バグがあり、過去の遺物 )」と、未完成品であることを強調していた。しかしこの記述に憤る人々がいたようだ。当時の開発者である。今回の配信発表を受け、同作に携わったスタッフが当時の思い出を語っている。

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『アサルトアンドロイドカクタス』などで知られるインディースタジオWitch Beamの共同設立者Tim Dawson氏は、SEGA Studios Australia在籍時に『ミッキーマウス キャッスル・オブ・イリュージョン』のプロトタイプを制作。これがきっかけとなり、『ゴールデンアックス』のリメイク版を社内で提案するために、プロデューサーから作り込んだプロトタイプ制作を依頼されたという。ただし、与えられた時間はわずか2週間だった。

ゲームの方向性として要求されたのは、2ボタンで戦闘を楽しめるダークでゴア要素の強い『ゴールデンアックス』というもの。Dawson氏は有能なスタッフに囲まれていたが、試行錯誤する時間はなく、さらに“無能なリードデザイナーの助言”にも悩まされることに。そして1週間半後、最新ビルドを経営陣に披露したが、「これのどこに感動する要素があるんだ」と真顔で言われてしまったという。

結局Dawson氏は、もうほかの意見はどうでも良いと開き直り、同僚らと当初計画していたとおりの形で制作を進めることを決心。そして完成したプロトタイプをふたたび経営陣に披露したところ、今度は出来を褒める言葉が次々に飛んできたそうだ。

リメイク版『ゴールデンアックス』のプロトタイプは完成したものの、直後の2013年にSEGA Studios Australiaは閉鎖。同作は開発中止となってしまった。今回そのプロトタイプが『Golden Axed: A Cancelled Prototype』として無料配布されることを知ったTim Dawson氏は、驚きと複雑な気持ちを感じるとし、毎日14時間働いていたクランチ状態の開発当時を、悪夢のような時間だったと振り返る。ただ、“無能なマネージメント”と“無茶な条件下”において、小さなチームで制作を成し遂げたことには誇りを感じているそうだ。

それだけに、ストアページにてセガが同作について「質が悪く、バグがあり、過去の遺物であるかもしれません」と記載していることには、「うるせえ、パラサイトが」と怒りをあらわにしている。これに対してセガは、開発者を誹謗中傷する意図はなかったと釈明(VGC)。その後、英語ページでの記載に関してはストアから削除した。ただし日本語ページについては、修正はまだ反映されていない。

『Golden Axed: A Cancelled Prototype』は、米国時間10月18日にSteamにて無料配信予定。また、それまでの間にも、連日無料ゲームが配信予定となっている(関連記事)。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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