『Hyper Scape』公式が、プレイヤーの期待に応えられなかったと認める。開発体制を再構築し、5つの改善項目を掲げ、より多くの人が楽しめるゲームを目指す

『Hyper Scape』公式が、プレイヤーの期待に応えられなかったと認める。開発体制を再構築し、5つの改善項目を掲げ、より多くの人が楽しめるゲームを目指す。『Hyper Scape』シーズン2は10月6日開幕予定だ。

Ubisoftは10月1日、『Hyper Scape(ハイパースケープ)』公式ブログを更新し、同作の現状と今後を伝えた。『Hyper Scape』は最大100人で対戦する、基本プレイ無料のバトルロイヤルFPS。Ubisoftがバトルロイヤル市場に参入するということで、7月のPCオープンベータから8月のローンチにかけて大きな注目を集めた。だが、その後はプレイ人口が減り、マッチング人数の少なさが課題になっていった。このたび開発陣は、7月のPCオープンベータは成功を収めたものの、8月のコンソール版ローンチに関しては、プレイヤーと開発陣、双方の高い期待に応えることができなかったとコメント。現状を打破すべく、アクションを起こしていくと伝えた。

開発陣は9月の時点で、マッチング難の問題に言及し、新規プレイヤーにとって難易度が高すぎる場合があり、ハードルが高くなりすぎないよう改善していくと語っていた(関連記事)。本作はバトルロイヤルという括りの中では、戦闘およびマッチ展開がかなりスピーディーな方で、立体的な動きと高いエイム力が求められる。さらにコンソール版についてはローンチ当初、コントローラー感度・加速度の調整が難しいという課題もあり、初心者が手をつけづらいゲームになっていた(関連記事)。その後のアップデートにより改善が図られたものの、開発陣が認識しているように、新規参入のハードルの高さは残っている。

Twitch連携機能を売りのひとつとしたゲームながら、ここしばらくはTwitchの平均同時視聴者数が数百人台にとどまってしまっている。Image Credit: GitHyp


ではUbisoftは、具体的にどのような改善を図っていくのか。開発陣は、ゲームのポテンシャルをフルに発揮する上でカギとなってくる項目を、大枠として5つ掲げている。1点目は「戦闘の難易度」だ。『Hyper Scape』はスキル重視のゲームであり、開発陣としても、ある程度は高いスキルレベルが必要になってくると想定していたという。だが集めたデータから、求められるスキルレベルが高すぎるのは明らかであると、現状を伝えた。エイムが難しく、敵に照準を当て続け、安定してダメージを与えるのも難しいと。コンソール版ではなおさら。ゆえに新規プレイヤーにとっては楽しみにくいゲームとなっている。

2点目は「学習機会の提供」。ひとつ目の項目とつながる課題として、今の『Hyper Scape』は、初心者が上達するために学習する時間と機会が十分に設けられていない。うまくなるための道筋が用意されておらず、新規プレイヤーの離脱につながる。そうした課題を受けて、練習の機会を設けることが視野に入れられている。


3点目は「ゲームモードの再考」。遊び方の種類や参加人数のバリエーションをより豊富にすべく、まずはリスポーンシステムの導入や、デスマッチ型ゲームモードの追加を考えているという。ただ、ゲームモードが増えるとプレイ人口が分割される。そうした中、いかにして複数のゲームモードを同時に運用していくのか。この点についても再考が図られる。

4点目は「プレイヤーの目標」。現状『Hyper Scape』は、プレイヤーに遊び続けてもらうための中期・長期目標を提示しきれていない。そこでシーズン2ではランキングシステムの第1バージョンを導入。そのほかにも、新たなプログレッション要素の追加や、マッチ間のフロー改善などを施していくという。

5点目は「クロスプレイ」。当初は「年内対応」というスケジュール感であったが、計画よりも早く導入できるよう対応を進めているとのこと。クロスプレイを実現することで、マッチごとのプレイヤー人数が少ないという問題の改善が見込まれている。


また、これら5つの課題をクリアすべく、開発体制を再構築。同じくUbisoftが開発・運営する『レインボーシックス シージ』の開発体制を参考にし、課題単位でメンバーを分けるチーム構造に変えたという。この新体制により、各課題の担当陣が自律し、重要な項目により多くの力を注げるようになる。すでに各課題に取り組み中であり、来たるシーズン2では、シーズン1よりも多くのアップデートを配信する予定だという。

Ubisoftは長期運営しているタイトルが多く、『レインボーシックス シージ』『フォーオナー』『ディビジョン』など、ローンチ初期に問題を抱えながらも、継続的なアップデートにより改善を図ってきた。ゲームの改善がプレイ人口の回復につながるとは限らないとはいえ、これまでのUbisoftの傾向から、『Hyper Scape』に関しても粘り強いアップデートが期待できるだろう。


『Hyper Scape』のシーズン2「余波」は10月6日開幕。新たな武器、ハック、ゲームモード、バトルパスが登場するほか、シーズン2開始直前の10月5日午前4時から午後5時にかけては、スペシャルイベント「プロジェクトタワー」が開催。シーズン1の開幕以来、舞台となるネオ・エルカディアで起きてきたさまざまな異変を受け、PRISMAディメンションズが何らかの手を打ち始めるという。本作のナラティブ部分を推し進めるイベントとなりそうだ。

シーズン2の新武器「アトラックス」は、一定期間後に爆発する粘着性の弾を発射するもの。新ハックの「プラットフォーム」は、水平な足場を出現させて戦いの幅を広げるものだ。新ゲームモードとしては、シーズン2の開催中に「クラウンラッシュ・デュオ」「地面は溶岩」などが登場するという。

新たに導入されるランキングシステムでは、各プレイヤーの10試合の結果をもとにランクを決定し、ブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナ、ダイヤモンド、チャンピオンとランク付けを実施。このランクは「クラウンラッシュ・スクワッド」をプレイする際のみカウントされる。さらにローテーションする期間限定モードのひとつとして、「クラウンラッシュ・ソロ」に「セカンド・チャンス」という新要素を加えたものが登場。ゲーム序盤で倒されても復活のチャンスが与えられる。先述したリスポーンシステムというのは、こちらを指すのだろう。

改善に向けてチームの立て直しを図った『Hyper Scape』。基本プレイ無料タイトルとしてPC/PS4/Xbox One向けに配信中だ。

Ryuki Ishii
Ryuki Ishii

元・日本版AUTOMATON編集者、英語版AUTOMATON(AUTOMATON WEST)責任者(~2023年5月まで)

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