Nintendo Switchで蘇る『スーパーマリオ64』では、マリオは「じゃあな、ゲイクッパ」(と聞こえる)セリフは吐かない。悲しむ人々

『スーパーマリオ 3Dコレクション』内の『スーパーマリオ64』にて、インターネット上でちょっとしたミーム化している「じゃあな、ゲイクッパ」というセリフをマリオが吐かないとして、話題にのぼっている。

ついに発売された『スーパーマリオ 3Dコレクション』。Nintendo Switchで発売された同作は、『スーパーマリオ64』『スーパーマリオサンシャイン』『スーパーマリオギャラクシー』を現代向けにリマスターし、セットにした35周年記念タイトルだ。その中に収録されている『スーパーマリオ64』にて、インターネット上でちょっとしたミームと化している「じゃあな、ゲイクッパ」というセリフをマリオが吐かないとして、話題にのぼっている。Kotakuなどが報じている。

『スーパーマリオ64』では、マリオは天敵となるクッパと幾度も戦うことになる。険しいステージをこえて繰り広げられる決闘。クッパとの死闘においては、マリオはクッパの尻尾を掴んで、爆弾に向かって投げることで反撃を試みることができる。そして、クッパを投げる瞬間にマリオが謎のセリフを発する。そのセリフが「じゃあな、ゲイクッパ」ではないかとの説が有力視されており、話題を呼んでいた。

マリオがクッパの尻尾をつかみ、ぶん回して爆弾に向かって、放つ。このセリフは「So long, XX Bowser(じゃあな、XX クッパ)」とまでは聞き取られていたのだが、XX部分は謎のままであった。その部分はGay(ゲイ)であると推測されてきた。マリオがあまり言いそうにはないのだが、それっぽく聞こえる。オリジナル版を知るものだけで盛り上がる、ちょっとした空耳ネットミームであったわけだ(Know Your Meme)。

しかし、『スーパーマリオ 3Dコレクション』に収録される『スーパーマリオ64』では、マリオはクッパを投げる際に「Byebye」と発する。マリオが“ゲイクッパ”と叫ばないとして、注目を集めているのだろう。ファンにとっては親しまれているセリフであるが、同性愛を蔑視しているようにも聞こえる。そうした誤解を嫌って、このたび修正されたのではないか、そう推測されているのだ。ネット上では「ゲイクッパ」に別れを告げる人々、クッパがバイセクシャルになったことを祝福する人々などが続出している。

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しかし、この修正は、2020年どころか1997年に施されていた。というのも、「振動パック対応バージョン」にてセリフが変更されていたのだ。「振動パック対応バージョン」は、単にNINTENDO 64にて発売されたコントローラーカートリッジの振動パックに対応するだけでなく、バグの修正や効果音の変更、ボイスの追加や変更が施された。この時点で、「じゃあな、ゲイクッパ」は「バイバイ」へと変更されていたのだ。『スーパーマリオ64DS』でも、同様のセリフは吐かれない。Nintendo Switchでプレイできる『スーパーマリオ64』はこの「振動パック対応バージョン」を準拠としていることから、クッパを投げつける際には「バイバイ」のセリフが放たれるわけだ。

また最近では「So long, XX Bowser」は「So long kinga Bowser」であったことが、マリオの声を演じるチャイルズ・マッティーネ氏により明かされている。「じゃあな、キングクッパ」といった意味だろう。そこまで考えれば、そもそも「じゃあな、ゲイクッパ」なる言葉は存在せず、そう聞こえるセリフも1997年時点で修正済み。にもかかわらず、同セリフがインターネットを長きにわたり賑わせていたことを考えると、ネットミームの影響力の強さを感じさせるだろう。

なお、『スーパーマリオ 3Dコレクション』の『スーパーマリオ64』では、長年の謎とされていた「ルイージは存在する」と書かれているのではないかとされた “星の石像”について、文字部分は潰れたままリマスターされている。謎は謎のままとなった。そのほか、「振動パック対応バージョン」ということで、ケツワープも再現不可。『スーパーマリオ64』の“エクストリーム性”を楽しんでいたユーザーにとってはやや寂しいところもあるが、オリジナルで見られた怪現象の多くは残されてもいる。何より稀代の傑作を今のこの時代に手軽に楽しめるのが嬉しいところだろう。この週末は、現代の技術で蘇った懐かしの作品をプレイしてみてはいかがだろうか。

『スーパーマリオ 3Dコレクション』は、Nintendo Switch向けに発売中。2021年3月までの期間限定販売となるので、購入したい方はお早めに。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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