『ポケモンマスターズEX』の話題が世界を席巻。原因は“ハッシュタグの誤解”から

ポケモンとDeNAがおくるモバイルゲーム『ポケモンマスターズEX』が、全世界で話題となっている。その盛り上がりは“ハッシュタグ”そのものが原因であるようだ。

ポケモンとDeNAがおくるモバイルゲーム『ポケモンマスターズEX』が、全世界で話題となっている。同作のハッシュタグは、全世界でのトレンドにて1位を獲得し、日本国内でも話題を呼んでいる。リリース1周年となり盛り上がりを見せている同作であるが、実のところその盛り上がりは“ハッシュタグ”そのものが原因であるようだ。

『ポケモンマスターズ』はiOS/Android向けのRPGだ。ジムリーダーや四天王など、『ポケットモンスター』シリーズに登場するキャラたちが一同を介するドリームゲーム。相棒ポケモンとタッグを組んだ通称バディーズが本作の要。バディーズと組んだり、戦ったりしながら、頂点を目指すのだ。

https://www.youtube.com/watch?v=Coumykxg_WQ

同作は、『ポケモン』新作としても、人気キャラが総勢登場するドリームゲームとしても、大きな期待を寄せられていたが、配信当初よりコンテンツの量やゲームテンポなど、多岐にわたる問題が指摘されていた。運営元はプロデューサーレターにてたびたび謝罪。その後課題と向き合いながら、ゲーム内容の改善がはかられてきた。今回の1周年は、決意の仕切り直しになるわけだ。あわせて大型アップデートが実施され、これまで最高ランクだった星5バディーズは、星6EXに解放できるようになるなど、さらに遊び込めるゲームとなった。

1周年記念にあわせて大規模なプロモーションもはかられている。Twitterのハッシュタグでは専用アイコンが取得され、さまざまなキャンペーンが用意。『ポケモンマスターズEX』の新たな旅路が盛大に祝われた。目論見どおり、話題になったわけであるが、それはあまり喜ばしい形ではなかったかもしれない。というのも、そのハッシュタグ#PokemonMastersEXは、#PokemonMasterSEXとして認識されてしまった。記念すべき「ポケモンマスターズEX」の再出発の狼煙は、「ポケモンマスターSEX」と捉えられてしまったのだ。

もともと『ポケモンマスターズ』運営元はタグの使用には注意を払っていた。海外公式Twitterアカウントは#PokemonMastersEX、国内公式Twitterアカウントは#ポケマスEXのハッシュタグを使用。正しい表記が浸透していたはずだった。しかし、ユーザーがハッシュタグを使いだしたところから、風向きが変わってしまったようだ。国内外では、今後解放を希望する星6EXバディーズを投票するキャンペーンを実施中。公式Twitterアカウントをフォローし、#PokemonMastersEXと好きなバディのタグを投票することで、投票が認められる形であった。

コピー・アンド・ペーストならばそのまま表示されるが、手打ちならば大文字小文字を区別するのが煩雑。#pokemonmastersex のハッシュタグがSNS界隈で散見されるようになり、「Pokemon Master SEX」に見えると騒がれるまで時間はかからなかった。日本では#ポケモンマスターSEXなる独自ハッシュタグが付けられ、全世界で面白がられている。Trend24では、同タグが全世界ハッシュタグにて上位に位置していることが確認できる。


もともと「ポケモンマスター」という言葉は浸透している。本作では「ポケモンマスター」は複数いるような設定で、それゆえに複数形のsがつけられ「ポケモンマスターズ」となっていた。そこにEXが加わったことで、違う意味をなしてしまうこととなった。この“事故”は全世界で面白がられており、さまざまな大喜利が展開され、『ポケモン』内で描写されてきた性表現を振り返るような投稿が寄せられている。

インターネットにおける文字のつながりによるアクシデントは、過去にもたびたび生まれてきた。タレント情報データベースサイトWhoRepresents.comはWhorePresents.com(売春婦プレゼント)と間違えられたり、技術者向け仕事情報サイトExpertsExchange.com(experts-exchange)はExpertSexChange(エキスパートセックスチェンジ)と間違えられたり、ペンを愛する者のためのPenIsland.comはPenisLand(ペニスランド)に間違えられたりと、悲劇は繰り返されてきた。ニンテンドー・オブ・アメリカもまたワルイージのうめき声を用いたハッシュタグ#WiggerWednesdayを作成。Wiggerは黒人差別的表現を含んでいるとユーザーに批判され、苦い思いをしていた。『ポケモンマスターズEX』はこうした言葉の落とし穴にハマってしまったわけだ。

結果的に大規模な露出をはかることには成功したわけだが、『ポケモン』も『ポケモンマスターズ』も性を押し出したコンテンツではないことを考えると、運営側の心理はかなり複雑だろう。面白ハッシュタグとして消費されるだけでなく、『ポケモンマスターズEX』のゲーム内容が認知されることを願いたいところだ。『ポケモンマスターズEX』は、iOS/Android向けに配信中である。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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