アメフトゲーム『Madden NFL 21』Metacriticでのユーザーレビューにて史上最低スコアを記録。0点台が並び不満集まる
Electronic Artsの『Madden NFL 21』が、8月28日に発売された。本作はアメフトゲームの人気シリーズ最新作であるが、不名誉な記録を樹立してしまったようだ。レビュー集積サイトMetacriticでのユーザーレビューにて、本稿執筆時点で史上最低スコアとなっている。
Metacriticは、世界中のメディアレビューを作品ごとに集積し、メタスコアと呼ばれる数値を満点を100点として算出している著名サイト。同時に、ユーザーからのレビュー投稿も受け付けており、こちらは10点満点としてスコア化している。
『Madden NFL 21』は、PC/PS4/Xbox One向けに発売。メディアレビューによるメタスコアは、Xbox One版が69、PS4版が64となっている(PC版はレビュー数が少なくスコアなし)。決して高評価とは言えないが、取り立てて評価が低いというわけでもないスコアである。しかしユーザーレビューによるスコアを見てみると、PC版が1.1、Xbox One版が0.6、PS4版が0.4。PS4版の0.4というスコアは、Metacriticに掲載されているすべてのゲームのユーザーレビューにおける最低点タイである。Xbox One版の0.6にしても、下から2番目のスコアだ。
PS4版のユーザーレビューは、本稿執筆時点で1608件が投稿されており、そのうち1564件が不評。ただ不評というだけでなく、0点をつけるユーザーで溢れている状況である。そのレビューでは、ここ数年の近作と何も変わらないという点がかなり多く言及されており、バグについての不満を語るものも。そのバグにしても、前作と同じ過ちを繰り返しているという指摘が見られる。
シリーズの最新作が代わり映えしない内容となるのではという懸念は、『Madden NFL 21』が今年6月に発表された当時からあった。上の発表トレイラーが掲載されたYouTubeでは、「このゲームは去年買った気がするけど?」というコメントがもっとも多くの支持を集めており、トレイラーには好評の3倍弱の不評が投じられている。そしていざ発売され、その懸念が的中したということのようだ。
もっとも、本作には新要素も導入されている。最新ロスターデータへの更新はもちろん、ゲームプレイシステムにおいても、新しいパスラッシュムーブとタックルの強化を可能にする新しいスキルスティックのボールキャリアシステムを用意。また、新たなルールとスタイルをもって、世界各地で小規模なフットボールを楽しめる「The Yard」モードも追加された。ただ、ファンにとっては十分な追加内容ではなかったということなのだろう。
実は、『Madden NFL』シリーズのMetacriticにおけるユーザーレビューの低迷は今に始まった事ではない。2017年発売の『Madden NFL 18』あたりからユーザースコアが下降して2点前後を行き来し、多くのレビューにて「前作と変わらない」と指摘されるように。そうしたファンの不満が積もり積もって、『Madden NFL 21』にて爆発してしまったようだ。SNS上では、「#FixMaddenFranchise」というハッシュタグを用いてシリーズの改善をEAに訴える動きが生まれ、米国では一時期トレンド入りするほどの盛り上がりを見せたという。
多数のユーザーが短期間に大量のレビュー投稿をおこない作品の評価を下げる行為は、いわゆるレビュー爆撃と捉えられることもあり、場合によってはMetacriticによってレビューが削除されることもある。ただ『Madden NFL 21』のケースでは、0点をつけていても詳しくレビューしているユーザーが比較的多く、レビュー爆撃にてよく見られる衝動的な不評投稿という印象は薄い。メディアレビューとのスコアの乖離という点では、作品全体をトータルで評価するメディアと、特定の部分に焦点を当ててレビューを投稿することの多いMetacriticユーザーとの性格の違いが現れた形だろう。こうしたファンの反応はEAも目にしているはずで、シリーズの今後の作品にてどう活かされることとなるのか注目される。