特濃宇宙ストラテジー『Stellaris』新規プレイヤー向けにゲームの1周の流れを紹介。PS4日本語版にむけて予習タイム
DMM GAMESは8月27日、4Xグランドストラテジーゲーム『Stellaris(ステラリス)』を国内PS4向けに発売する。価格は税別5800円。コンソール版は正式に日本語字幕をサポート。パッケージ版にはスペシャルガイドブックやオリジナルテーマ、アバターセットなどの豪華初回生産特典を付属する。
『Stellaris』は2016年にPCで発売され、2019年に海外コンソールへ展開された作品だ。現在に至るまでに300万本以上のセールスを記録し、非常に高い評価を得ている。そしてPC版リリースから4年以上経った今もなお、精力的なアップデートが続けられているタイトルだ。
本稿では、DMM GAMESより先んじて提供いただいた国内PS4版(Ver2.2.7)をプレイのもと、おおまかにシステムを解説しながら本作の魅力を紹介していきたい。コンソール版を心待ちにしていた方はもちろん、「タイトル名は知っているけど難しそう」と躊躇している方や、PC版をプレイしたもののシステム理解に苦戦してしまったユーザーがあらためて触れるきっかけになれば幸いだ。DLCが適用されていない本編をプレイした状態での紹介となるので、その点は留意してほしい。
銀河最大の帝国を築く4Xグランドストラテジーゲーム
『Stellaris』は西暦2200年、未来の宇宙を舞台としたストラテジーゲームだ。プレイヤーは銀河帝国の指導者として、神秘や驚異に満ちた宇宙を解明しながら銀河内の領土を拡大。やがて出会う未知の勢力と共存するのか、はたまた滅亡させるのか。宇宙で起こる無数のイベント分岐をプレイヤーが選択することによって、ナラティブな体験が生み出されるなどロールプレイ要素の強い作品である。なお、本作の正式ジャンルは4Xグランドストラテジーゲームと称されている。“4X”が意味するのは、探検(eXplore)、拡張(eXpand)、開発(eXploit)、殲滅(eXterminate)と、ゲームを構成する4大要素。それぞれをバランス良くこなし、銀河最大の帝国を築き上げるのだ。
開発を手がけるのはParadox Development Studio。『Crusader Kings』シリーズや『Cities: Skylines』など、ストラテジーゲームの老舗として知られるスウェーデンのパブリッシャーParadox Interactiveの内製スタジオだ。またコンソール版の開発には、数多くコンソール移植の実績を持ち、そのクオリティに定評あるオーストラリアのスタジオTantalus Mediaが参加している。ストラテジーゲームのコンソール機移植においては、再構築された直感的なUIや、ゲームパッドでも各コマンドがスムーズに呼び出せるボタンの割り振りがなされており、ストレスなくゲームを進めることができるだろう。
ロールプレイを高める多様な国家エディット
ゲームを開始して壮大な銀河へと降り立つ前に、まずは自身の帝国に住まう種族を作成することから始めよう。種族の外見は、人間そっくりのヒューマノイドや動物がモチーフになった哺乳類、いかにも異星人っぽい軟体人やキノコのような菌類など、100種を超えるバラエティに富んだラインナップから選択できる。ステータスには影響がないため、思い描くロールプレイにあわせた外見を選んでほしい。
次に選択するのが特性だ。特性は、内政値に補正がかかる「農耕民族」や「仕事熱心」、地上戦闘に補正がかかる「強健」といったように、種族が持つステータスを特徴づけるものだ。それぞれの特性には特性ポイントが定められており、種族が持つ限られた特性ポイントを考慮しながら選択する必要がある。特性の中には、リーダーの経験値がマイナス補正される「落ちこぼれ」など、デメリットが発生するかわりに割り振れる特性ポイントが増加するものが存在する。マイナス補正を持つ特性を取り入れることで、高ポイントながらも効果の高い特性を選択することが可能になり、一点に特化したステータスを持つ種族も作成できる柔軟な仕組みが形成されている。
そして設定項目の中でもっともプレイに影響するのが、帝国政府の志向、統治形態、国是である。志向は、平たくいえば帝国の性格を決定づけるものだ。選択項目には軍国主義/平和主義、権威主義/平等主義といったように対極の項目が存在する。軍国主義を持つ帝国は軍用艦に搭載した艦砲の発射レートが上がる、権威主義を持つ帝国は異種族の奴隷化が可能になるなど、選択した志向によってプレイスタイルを大きく左右する効果があらわれる。戦争や支配を中心とし、軍事力にものをいわせて帝国を築いていきたい場合は軍国主義や権威主義を、内政や外交を中心とした穏便な統治を目指す場合は平和主義や平等主義を選択するといいだろう。
次に統治形態は、帝国全体に影響を与える統治者をどのような方法で選出するのか定める項目だ。本作は標準設定で2500年まで、300年にわたる宇宙史を紡いでいくため、寿命を迎えた統治者が入れ替わることとなる。選挙で次の統治者にふさわしい人物を選ぶのか、定められた後継者を統治者に迎えるのか、統治形態の選択も重要だ。そして国是は、志向・統治形態を前提条件として、さまざまなボーナス効果が得られる項目。国是によって発動させたい効果を志向・統治形態選択の判断材料とするのもいいかもしれない。
そのほかにも、帝国の象徴となるエンブレム、大陸型惑星や海洋惑星といった母星の種類、惑星都市の外観に至るまで、膨大な種類の設定項目を収録。これらの組み合わせによって多様な国家形成が実現可能、おのずとロールプレイを高めてくれることだろう。ちなみにエディットが面倒なプレイヤーに向けて、国際地球連合など10種類のプリセットがあらかじめ収録されている。手っ取り早くゲームを開始したいプレイヤーも安心してほしい。
壮大な銀河を支配する鍵となる、緻密に練られた探検・拡張・開発要素
帝国作成後、銀河のサイズや難易度といった初期設定を終えて銀河へと降り立つ。序盤はゲーム内のチュートリアルに沿って進行するといいだろう。具体的には、造船所にて調査船を作成。科学者を雇用して搭乗させ、母星付近の星系を調査する。そして建設船を作成し、調査済みの星系に星系基地(前哨地)を立てる。この一連のサイクルで自国の領土を拡大していく。標準サイズ(銀河サイズ:中)の銀河には、自動生成によって600もの星系が散りばめられる。実在する惑星名称が付けられているものもあり、時にはゲーム内の時間を停止して惑星をじっくり観察するのも一興だ。
帝国の発展にはエネルギー通貨、鉱物、食料といった資源管理が必須となる。銀河に存在する星々には資源の概念があり、リソースを収集していかねばならない。採掘ステーション、あるいは研究ステーションを建設して積極的に収集しよう。特にエネルギー通貨は序盤に枯渇しがちな資源。発見し次第収集に向かいたい。また星々の調査によって、新たに居住可能な惑星が見つかることもある。入植船(コロニー船)を建設し、植民者を搭乗させて惑星に降り立たせ、新たな自国の惑星として発展させていくことが可能だ。
自国の惑星では、地表に都市区域・発電区域・鉱業区域・農業区域や特殊な建造物を建設し、資源を生み出すことができる。ただし、資源を産出するには帝国のPOP(民衆)の勤務が不可欠となる。POPは時間経過とともに増えていくが、先述した種族の特性やテクノロジーの研究で成長に拍車をかけることも可能だ。
テクノロジーは、研究ステーションなどから産出される研究力を消費して獲得する科学技術。物理学・社会学・工学と3つのカテゴリに分けられる。各分野にリーダーを起用し、潜在的な研究候補からランダムで提示されるテクノロジーを研究していくことで、さまざまな恩恵が得られる。内政に恩恵を得られるものや戦争時に役立つものなど、300種類以上のテクノロジーがある。前提条件となるテクノロジーの研究を終えることで、より強力な効果を持つテクノロジーが研究対象に加わる。中には研究候補として出現する確率が希少なものもあり、テクノロジーが持つランダム性によってもプレイフィールが変化する。
なおテクノロジー以外にも、内政によって得られる総合力を消費することでボーナス効果を得る「伝統」が存在する。伝統は7分野のツリーで形成され、各分野のツリーをすべて開放することで、アセンションパークと称する強力なボーナスを取得できる。
星々を調査・発展させていく過程で、未知の生命体や建造物を発見することがある。アノマリーと称する無数のランダムイベントを遂行していくことで、科学技術が進展したり、資源を入手したりすることができる。調査の結果、宇宙史に刻まれるほどの大規模なスペシャルプロジェクトへと発展することも。プロジェクトによっては選択肢が設けられ、遂行する期間が長いほど多くの資源や技術が得られるものの、逆に不利益が生じる場合もある。プロジェクト遂行によって帝国が発展していくのか、それとも衰退の道をたどるのか、舵を切るのはプレイヤー自身だ。
これらの内政を効率的に行うのが銀河統一への鍵となる。特に星系の調査・星系基地の建設においては、船数を増やして迅速に行いたい。なぜなら、広大な宇宙に存在するのは自国だけではないからだ。
帝国存続に不可欠な多岐にわたる他国との外交
銀河には自国以外に、さまざまな外見や思想を持った多数の国家が存在する。他国家とのファーストコンタクトを終えることで、国家間の関係や国力の差(艦隊戦力・経済力・技術水準によって比較)が把握できる。先に述べたように銀河は自動生成されるため、難易度によっては、序盤で自国よりも遥かに強力な国力を持つ国家と遭遇することもあるだろう。さてどうするか。
帝国を存続させる手段のひとつとして、知能を持つ国家との外交によって共存を目指す術がある。本作では、国家間でさまざまな恩恵を受けられる協定や条約を締結できる。たとえば貿易協定を提案すれば、鉱物や食料といった資源を取引できるほか、相手国の視界(マップビジョン)も得ることができる。不足した資源を補いあうことで帝国の成長を加速し、把握できる銀河の領域も拡大する。また通商条約を結んで交易を図ることも可能だ。条約を締結すると、両国の交易網の価値が上がり、エネルギー通貨の収入が増加する。通貨が不足しがちな序盤に活きてくる条約だ。さらには研究協定を締結することで、相手国が研究済みのテクノロジーに対して研究速度が速まるボーナスが得られる。また移民条約は住居を共有し、POPの成長速度を上昇させるメリットを持つ。
これらの多岐にわたる協定・条約によって、自国の発展を加速化させたうえで、他国と友好関係を築き、国家間の関係を安定させることが可能だ。しかしながら、友好的な外交は必ずしもすべての国家と行えるものではない。それぞれの国家には、プレイヤーの帝国と同じように政府の志向が存在する。特に狂信的な軍国主義を持つ国家は他国に対する敵対心が強く、協定はおろか、交渉すらままならない。そういった国家には、さらなる発展の前に軍事力による制圧、戦争によって鉄槌を下す必要がある。
多数の艦砲射撃が色鮮やかに入り乱れる、人類vs人類の壮大な宇宙戦争
戦争を始めるには、帝国の軍拡が不可欠だ。艦隊を作成し、資源となる合金を消費して造船所で所属させる艦船を造船していく。初期状態では、コルベットのみ造船可能。テクノロジーを研究することで駆逐艦、巡洋艦、戦艦と、造船できる艦種が増えていく。なお、各艦船は建造費や維持費がかかるため、コスト管理は忘れずに。
各艦船の武装は自動的に設計されるが、プレイヤー自身で設計をカスタマイズすることもできる。自身で設計する利点としては、事前に偵察した敵艦隊の装備にあわせて兵器を変更できる点が挙げられる。たとえばコルベットを設計する場合、船体を変更することでミサイルやレーザー兵器を取り付ける兵器スロット、装甲やシールドで耐久値を上げる汎用スロットの種類や搭載数が変化する。これらのスロットに取り付ける武装を変更し、敵艦隊が対空砲を持たない場合はミサイル系兵器を積んで火力に特化、装甲が頑丈な艦隊にはレーザー兵器を積むといった対策を練ることで、同規模の艦隊を圧倒することが可能だ。
それぞれの艦隊には指揮上限があり、1個艦隊で編成できる規模には限界がある。大規模な戦争においては、複数艦隊を編成しておくことも重要となる。なお、指揮上限はテクノロジーや国是、アセンションパークなどで増加させることができる。戦争においては艦隊戦がメインになるが、敵国の植民地を占領する場合は地上軍による制圧が必要。地上軍は自国の惑星上で編成する。侵攻軍や奴隷兵といった兵科を選択(建設)することで、種族の総POP数を上限とした輸送艦隊を作り上げる。また敵国に近い自領土の星系には、星系基地に射撃砲台や防衛プラットフォームを建造し、侵攻に対する準備もしておこう。
軍事力が整ったら、相手国に対して宣戦布告の理由となる開戦事由を作成(行使)する。作成できる開戦事由の種類は、自国の志向や他国との従属関係によって異なる。一般的な開戦事由となるのは、影響力をコストとして、相手国の領土である星系の領有権を主張する「請求権」の作成だ。星系征服を戦争目標とし、戦争に勝利することで請求対象の星系が自国のものとなる。当然、請求する星系の数を増やすほど勝利条件は厳しくなるので慎重に行おう。請求権を作成したら宣戦布告、いよいよ戦争開始だ。
艦隊戦は、敵対する艦隊や星系基地に遭遇することで自動的に交戦する。本作はParadox Development Studioの内製エンジン「Clausewitz Engine」を使用。惑星が点在する神秘的な宇宙で、多数の艦砲射撃が色鮮やかに入り乱れる臨場感ある光景が描かれる。艦隊戦においては、基本的に数値で示される戦力が大きく勝っていれば優勢に進められる。ただし、武装によっては苦戦を強いられることもあるだろう。そういった場合は一旦撤退し、造船所にて戦力を増強することも英断となりえる。また植民地がある場合は地上軍の編成を、国境の侵入路が複数ある場合は敵国の動きに気を配り、自領土の防衛もお忘れなく。なお、戦争が長引くほど被害状況を示す戦争疲弊度が蓄積され、状況によっては自国に不利益な和平を強制されるため、迅速な殲滅を心がけたい。
敵艦隊を殲滅、星系基地を制圧、植民地を占領していくことで戦果を挙げ、戦争目標を達成することで勝利となる。艦隊を修理する、占領した惑星を新たに開拓するなどして、次なる戦争に備えて軍事力を高めよう。自国の戦争中も他国家は着々と国力を高め、自国の領土を手中に収めようと企んでいるかもしれない。
このように内政・外交・戦争を繰り返していくことで、プレイヤー独自の濃密な宇宙史が刻まれる。1周のプレイ時間は40~60時間ほど。ルール上は銀河を支配するという勝利条件の達成が目標とされているが、勝利が確定した後も気の済むまでゲームを続けることができる。なおゲーム終盤には、未知なる巨大な宇宙生物に帝国同士が手を結んで立ち向かうドラスティックなイベントが発生することも。ストラテジーゲームでは作業的になりがちなエンドゲームに至るまで配慮がなされている。
本作の発売にあわせて、ゲームを拡張する4種類のDLCもリリースされる。発売以降も6本以上のDLCが順次配信予定。周回による異なるロールプレイ、DLCによる拡張、さらにはマルチプレイモードによって新たな体験が生まれる。末永くプレイできるタイトルといえるだろう。国内プラットフォームへの展開を機に、壮大な銀河の指導者になってみてはいかがだろうか。
4Xグランドストラテジーゲーム『Stellaris(ステラリス)』のPS4版は、8月27日発売予定だ。