レトロスタジオが『メトロイドプライム4』の「リードプロデューサー」を募集し、不安が寄せられる。発売はまだかなり先か
任天堂子会社のレトロスタジオは8月15日、リードプロデューサーを募集していることを公式Twitterにて告知した。現在開発中の『メトロイドプライム4』に携わる、リードプロデューサーを求めている。近年は人材確保に熱心なレトロスタジオであるが、このタイミングにてリードプロデューサーを募っていることについて、不安を募らせるファンは多いようだ。
『メトロイドプライム4』は、現在レトロスタジオが開発中のシリーズ最新作だ。E3 2017にて発表され、Nintendo Switch向けに開発されてきた。2017年の夏に「開発されていること」のみが伝えられていたが、ゲームの品質が任天堂の求めるレベルに達していなかったという理由で、2019年1月に開発仕切り直しを発表。あわせて、これまで『メトロイドプライム』シリーズを手がけてきたレトロスタジオが『メトロイドプライム4』の制作を担当することが明かされた。
レトロスタジオは、『メトロイドプライム』シリーズだけでなく近年の『ドンキーコング』シリーズを開発するなど、ゲーム制作には実績がある。一方で、しばらく人材流出が続いているとも報じられていた。そうした経緯もあり、『メトロイドプライム4』の開発担当発表後は人材確保に注力。『Halo 4』『Halo 5』に携わったシニアキャラクターモデラーKyle Hefley氏、DICEにて『Battlefield V』などのアートディレクターを務めてきたJhony Ljungstedt氏(関連記事)、さらにVisceral Studioにて『Battlefield: Hardline』などのリードVFXアーティストを努めたAdad Morales氏がレトロスタジオに加入。その道の実績あるスタッフを集めてきた。また『メトロイドプライム3』に関わったコアスタッフの半分はまだレトロスタジオに在籍しているとも報じられており(VGC)、続報はないながらも期待感は高まっていた。
しかしここにきて、『メトロイドプライム4』におけるリードプロデューサーが募集されているようだ。リードプロデューサーは、プロジェクト全体の統括をする人物。スケジュールを管理し、開発ディレクターを支え、他部門や他会社との調整、人員の配置、工数やコスト管理など、制作を幅広く細かく管理するプロジェクトマネージャーである。任天堂ではすでにシリーズプロデューサーとして田邊賢輔氏が活躍しているので、田邉氏と協力しながら現場に近い場所でプロジェクトを管理する役回りだろう。
リードプロデューサーは、その名のとおりプロジェクトの核となる存在。重要なポジションのスタッフが、まだ募集されているような開発状況について、懸念が寄せられているわけだ。厳密にはこの役職の募集が始まったのは今年の5月11日とされている。もし5月に募集をかけて、人が見つからず、改めてこの時期に告知をしたというのならば、それはそれで制作進行に不安を感じさせるかもしれない。ただ留意しておきたいのは、リードプロデューサーを複数人とる体制も存在するということ。もともと制作進行を管理するリードプロデューサーが存在しており、プロジェクトが大きくなるにあたり、さらなるプロデューサーを募っているという可能性もある。リードプロデューサーが不在の状態で募集しているとは限らないのだ。必ずしも制作難航を意味するものではない。
今回の募集に際しては、プロジェクトを懸念する声と同様に、ならば自分が作ってみせようと息巻くファンの「応募宣言」も散見される。著名YouTuberのArlo氏や、とあるRedditユーザーまで、数多くのファンが「ゲーム制作経験がなくても問題がないなら、応募する!」と息巻いている。しかし募集要項を見れば、「最低でも10年以上のゲームプロダクションの経験」との記述が確認できる。才能だけでなく経験が求められるポジションであることが伺えるだろう。息巻くファンたちが、そのポジションに就くのはやや難しいかもしれない。
そのほか、ニンテンドー・オブ・アメリカのレトロスタジオ求人ページでは、開発スタッフの募集が数多くかけられている。こちらもシニアレベルデザイナーやリードグラフィックエンジニア、エンジニア部門プロデューサーなど要職が多い。ただし、リードプロデューサー以外は『メトロイドプライム4』関連とは限らず、大きなスタジオがこうした重要なポジションの募集を常時かけているパターンは珍しくない(参考:Blizzard求人サイト)。人手不足というよりは、今後スタジオを拡大していく意図が読み取れる。
いずれにせよ、『メトロイドプライム4』の発売がかなり先であることを伺わせる求人である。同作は発売時期も発表されておらず、続報も公開されていないので、まだまだ待つ必要がありそうだ。任天堂大型タイトルの制作の延期といえば、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』もまた一例としてあげられる。同作についても大規模な延期がなされており、結果的に世界各国のGame Of the Yearをかっさらう傑作が生まれていた。『メトロイドプライム4』とはかなり経緯は異なるが、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』のようなケースになることを、ファンは望んでいるのではないだろうか。
『メトロイドプライム4』は、Nintendo Switch向けに発売予定。リードプロデューサー志望の方は当該ページより応募可能。ただし、10年以上のゲームプロダクションの経験が求められるほか、JIRAやConfluence、 MS Office Suiteといったプロジェクト管理ソフトへの精通、高いレベルでの調整およびコミュニケーション能力が必要になるのでご注意を。