人気バトロワ『Fall Guys: Ultimate Knockout』は、スクワッド導入などには前向きでランクマッチには否定的。開発元が今後の運営方針などを語る

『Fall Guys: Ultimate Knockout』はSteamでは、配信開始から1週間で200万本を売り上げのりにのっている。本作のリードレベルデザイナーを務めるMediatonicのJoe Walsh氏は8月13日、MinnMaxShowに出演し、本作について語った。

現在PC/PlayStation 4向けに配信中のオンラインパーティーゲーム『Fall Guys: Ultimate Knockout』。Steamでは、配信開始から1週間で200万本を売り上げ、同時接続プレイヤー数が13万人を超えるなど大きな人気となっている。そんな本作のリードレベルデザイナーを務めるMediatonicのJoe Walsh氏は8月13日、元Game InformerスタッフらによるYouTubeメディアMinnMaxShowに出演し、本作について語った。

Joe Walsh氏はまず、配信開始直後から非常に大きな成功を収めたことについての驚きを語る。ローンチ初日のミーティングでは、スタジオ設立者Paul Croft氏から早くも売り上げについての報告があり、それはチームが夢に描いた数字の約5倍だったそうだ。一方で、多数のプレイヤーが殺到したことですべてのサーバーが頻繁に不安定になり、怖い思いもしていたという。

『Fall Guys』が生まれた背景について、Walsh氏は当時書き留めたアイデアは『Gang Beasts』と『マリオパーティー』とバトルロイヤルを組み合わせた、「風雲!たけし城」からの贈り物と言える内容だったと振り返る。本作の販売を担当するDevolver Digitalからは、「君たちがどうしたいのか分からないけど、面白そうだから作ってみなよ」と言われたそうだ。

Devolver Digitalは、契約したデベロッパーの開発方針には一切口出ししないそうで、信頼されていると感じたとWalsh氏は述べる。ただ、同じようなゲームを開発しているスタジオはほかにいくつもいるはずだと思い、E3の時期が来るたびに、そうした作品が先に発表されないことを祈っていたという。


本作のデザインにはふたつの大きな柱があるそうだ。ひとつは、ミスしても笑えるようにキャラクターは滑稽(Funny)であること。これを達成するにあたって、マリオのようなレスポンスの良いアクションと、『Gang Beasts』のようなラグドール挙動とのバランスをどのように取るかは難題だったそうで、何度も議論を重ねたそうだ。

もうひとつはステージのデザイン。プレイヤーにスキルを要求しすぎても、運任せでカオスすぎてもいけず、両者が半々となるバランスを狙ったという。また、プレイするたびに異なる体験が生まれる、リプレイ性の高いステージであることも重要な要素として挙げている。これまで多数の作品を手がけてきたMediatonicであるが、本作のようなステージを作るのは初めての経験だったため、こちらも苦労を重ねた末に多数のバリエーションをローンチに間に合わせたという。


六角形の足場が崩れていく「止まるなキケン」ステージの制作背景についても語られた。このステージは、レースではないステージが必要だとしてデザインされたそうで、一度もクラウンを獲得できていないプレイヤーに別のチャンスを与える目的もあったという。Walsh氏は、『マインクラフト』のミニゲーム「TNT Run」のプレイを見て、これはまさに『Fall Guys』にぴったりだと感じ、その影響をもとに制作を始めたとのこと。

主にPC版ユーザーからはレベルエディター実装の要望が多いそうだが、開発チームはこれには慎重な姿勢とのこと。60人のプレイヤーが同時に楽しめることを前提にした作品であるため、それに応じたキュレーションシステムが求められるとし、将来的な可能性は否定しないが、今すぐに取り組むことはないとした。ちなみに、本作の開発にはレベルエディターは使用していないそうだ。


本作にはバトルロイヤルの個人戦のほか、2〜4チームに分かれてプレイするチーム戦のステージも用意されている。チーム戦は見知らぬチームメイトのプレイによって勝敗が左右されることがあるため、特に勝負にこだわる一部のプレイヤーからは不評の声が上がっているが、開発チームとしてはそうした大きな声の意見ばかり聞かないよう注意しているという。実際のところ、チーム戦は家族で本作を楽しむプレイヤーなどからは好評だそうで、そうしたプレイヤーはあまり意見を言わないとのこと。

とはいえ、競技性を好むプレイヤーに向けて何らかの要素を導入することも検討しているとのこと。そのアイデアのひとつとして、スクワッドやデュオといったチームを組めるモードを挙げている。本作がどのようなローンチを迎えるか不透明だったため、プレイヤーベースを分断しないようまずはソロのみとしたが、冒頭で述べたように大成功を収めたことから、今後は柔軟に取り組むことができるようになったとしている。

また、連勝記録などシーズンを通じた成績に応じて、何らかの報酬を与えるアイデアも挙げている。一方、ランクマッチの導入については否定的だそうだ。Walsh氏は、『Fall Guys』を殺伐とした雰囲気のゲームにしないように注意を払っていると述べる。そのほか、クロスプレイの導入についても検討しているという。


本作の運営に関しては、多様なミニゲームなどを導入しながら展開を続ける『ロケットリーグ』を参考にしているという。そして現時点では『Fall Guys』の続編などは考えておらず、3〜4年は本作の開発と運営を続けていきたいとWalsh氏はコメント。大きな成功を収めたことによって、当初考えていたよりも多くのコンテンツを制作し、より長くサポートしていけるだろうとした。

Walsh氏は、プレイヤーキャラクターのコスチュームに関するコラボについても言及。先日には、『サイバーパンク2077』についてCD PROJEKT REDにコラボを申し込んで承諾を受けたが、一方で『Fall Guys』の公式Twitterアカウント宛には、さまざまな方面からのコラボ申し込みが絶えない。同氏は「一体何が起こっているのか分からない」と困惑し、この展開を楽しんでいるとも述べながら、本作のブランドの価値を維持するためにも、すべての申し込みに対して簡単にOKを出すことはできないと冷静さも忘れない。

今回のインタビューではこのほか、現時点で『Fall Guys』を基本プレイ無料化する考えがないことや、PS Plus加入者向けのフリープレイタイトルとなった経緯、Twitchとの連携機能についてのアイデアなどについても語っている。また、ゼリービーンズキャラクターたちは、バトルの情熱に満たされたパラレルワールドの惑星に突然現れた存在であるという、世界観についても明かされている。

『Fall Guys: Ultimate Knockout』は、PC(Steam)/PS4向けに配信中だ。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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