PS3『メタルギアソリッドV』の核廃絶イベントが、正規ルートで初めて発動か【UPDATE 不正行為によるイベント発生との調査結果】

 

※2020年10月13日、メタルギア公式Twitterアカウントが、核廃絶イベントは不正行為により発生したものであるとの調査結果を伝えた。記事タイトルも、その点を強調するよう変更。記事本文のUPDATE文は、ページ下部記載

【原文】
PlayStation 3版『メタルギアソリッドV ファントムペイン』の核廃絶イベントが7月27日に発動したようだ。同イベントは2018年2月、「サーバー側が不正な値を受信」したことによって誤発動したケースはあったが(関連記事)、正規ルートで流れたのは今回が初めて。つまり、イベント発動条件である「プラットフォーム別のサーバー上からすべての核兵器が廃棄され、総核兵器数がゼロになる」が満たされた。2015年9月のゲーム発売から約5年、ついに核なき世界が実現したのだ。海外メディアのKotakuPCGamesNが報じている。

なお2018年2月だけでなく、2018年12月にも各種プラットフォームで一斉に核廃絶イベントが発動したことがあったが、核保有数が不自然な形でゼロにまで落ちたことから、不正な方法で発生している可能性があると報告されていた。数千あった核兵器が一瞬でゼロになったことから、正規ルートでの発動である可能性は極めて低かった。以下はメタルギア公式Twitterアカウントによる2018年12月当時のツイート。この2018年の誤発動とは違い、今回の2020年7月27日のイベント発動は、核兵器数の推移から正規ルートでの発生と考えられている。

*2018年12月のツイート

上の映像は、YouTubeユーザーSteff氏が投稿した、7月27日発動の核廃絶イベントシーン。廃棄した核兵器の数は1,000,000と表示されている。本作における核兵器には、オンライン要素であるFOBミッションにおいて、他プレイヤーからの報復を抑制する効果がある。抑止力として働くだけでなく、核なき世界の実現を目指すsubreddit「Metal Gear Philanthropy」や「Metal Gear Anti Nuclear」、そして核拡散を目論む「Metal Gear Patriots」といった対立グループ間の争いがあったことから、核廃絶という条件を満たすのは極めて困難と考えられていた。事実、正規ルートでのイベント発動まで5年の年月を要している。

今回核廃絶が達成されたのは、PlayStation 3版の『メタルギアソリッドV ファントムペイン』。同作の核兵器保有数をトラッキングしている「MGSV Nuke watcher」によると、Steam版は約2万発、PlayStation 4版は約2500発となっており、核廃絶までの道のりはまだ長いことがうかがえる。プレイヤー数が比較的少ないPlayStation 3版だからこそ、核なき世界をいち早く実現できたのだろう。アクティブなプレイヤーが少なければ、核弾頭も減らしやすい。なお、核廃絶イベントのカットシーンでは、「2015年現在、世界には、いまだ一万六千発以上の核兵器が存在している」と説明されていた。現実世界における推定核兵器保有数は、2015年時点から減り、2020年1月時点で1万3400発であると、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は報告している。

【UPDATE 2020/10/13 19:34】
メタルギア公式Twitterアカウントは10月13日、核廃絶イベント発生の調査結果を報告。核廃絶が達成された結果ではなく、特定ユーザーによる不正行為により発生したものであったと伝えた。不正ユーザーのアカウントには利用停止処分を下したとのこと。

なお弊誌の質問に応じたユーザーStefferp氏(後述)は現在Twitterアカウントを削除済み。同氏が投稿した核廃絶達成イベントの動画も非公開化されている。


【UPDATE 2020/07/31 9:50】
『メタルギアソリッドV』内で、核廃絶に向けて活動を続けていたStefferp氏に話をうかがった。核廃絶イベントが発動したとき、サーバー上の核兵器は40発ほど残っていたが、いずれも不具合により廃棄不可能なものだったという。これらの核兵器を所持しているプレイヤーはFOB(前線基地)を“建設していない”扱いになっているため、FOBミッションメニューに表示されない。つまり、FOBに潜入して核兵器を奪い、廃棄するという手順を踏めない。

本来、FOBを建設していないと核兵器は保有できないため、「FOBを持っていないが、核兵器は持っている」という状況は起こりえない。Stefferp氏は、「かつて核兵器を保有していたが、セーブデータをリセットしたためFOBを持っていない扱いになっている」「チートによりFOBを持つ前に核兵器を手に入れた」といった可能性があると推測している。

FOBを持っていないプレイヤーであることは、FOBミッションメニューより当該プレイヤーをサポート対象に入れようとすると、「FOBを持っていないプレイヤーであるため、サポートを受けることができない」旨のメッセージが表示されることから、確認済みであるという。なおPF仮装リーグ戦のメニュー画面からは当該プレイヤーを見つけ出すことができ、そのプレイヤーのマザーベースのデータから、たしかに核兵器を持っていることを確認したと、説明してくれた。

Image Credit: Stefferp
Image Credit: Stefferp

Stefferp氏によると、この特殊な状況下に陥っているプレイヤーは、PS3版では6人。同様の現象は他のプラットフォームでも起きている可能性は高いだろうと、同氏は推測している。

なお核廃絶イベントが発動した時点で、存在しないはずの40発以外の核兵器は、すべて廃棄済みであったとのこと。事実上の核廃絶達成として、イベントが発動したものと思われる。メタルギア公式Twitterアカウントによると、現在は状況を調査中の段階。Stefferp氏は「プレイヤーたちがすべての核兵器を廃棄し終えたのだと認めてくれること、そして不具合により残っている40発を削除してくれることを願っています」とコメントしている。

【UPDATE 2020/07/30 3:50】
今回の核廃絶イベント発生を受けてメタルギア公式Twitterアカウントは、現在調査中である旨のツイートを投稿。この投稿に対し、核廃絶達成を報告していたプレイヤーのStefferp氏は、残っている核兵器はFOBのないプレイヤーが所持しているため廃絶不可能であったと伝えている。事実上の核廃絶としてイベントがトリガーしたのか、調査結果が待たれる。

https://twitter.com/QT_stefferp/status/1288429949666365442