デッキ構築ゲーム『Roguebook』発表。「マジック」生みの親が手がける、“デッキ圧縮”を必要としない野心作

Naconは7月8日、『Roguebook』を正式発表した。「マジック:ザ・ギャザリング」の生みの親であるリチャード・ガーフィールド氏が手がけるデッキ構築ゲーム。

パブリッシャーのNacon(旧:Bigben Interactive)は7月8日、「Nacon Connect」にて『Roguebook』を正式発表した。対応プラットフォームはPC(Steam)で、将来的なコンソール機への対応も検討されている。Steam版は日本語対応予定で、発売時期は2021年5月。開発を手がけるのは、デジタルカードゲーム『Faeria』を開発したAbrakamだ。


『Roguebook』は、ローグライク要素を取り入れたデッキ構築ゲーム。『Slay the Spire』に代表されるジャンルのタイトルだ。ランダムに生成される世界にて、カードを集めながら世界を旅していく。ゲームブックのような世界にて、マス目を移動していき、アイテムを集めつつ敵と戦いながらデッキを強化していこう。

また本作では4人のキャラから2人を選ぶ、デュアルヒーローシステムを採用している。それぞれのヒーローのデッキが用意されているほか、行動するたびに2人のヒーローが前後衛をチェンジ。前衛キャラがダメージを受ける仕組み。ヒーローにはそれぞれヘルスが存在しており、0になるとその戦闘では参加不可に。2人倒れるとゲームオーバーで、最初からやり直しだ。無事戦いを切り抜ければ、ヘルスの低い状態かつ傷カードを伴い戦線に復帰。傷は、プレイすることができない、いわゆるお邪魔カード。繰り返していくとデッキが圧迫されていくので、死亡時のリスクを考えなければならないだろう。

本作は、Abrakamの前作『Faeria』と世界を共有しており、前作のキャラなどが数多く登場。操作候補4人のヒーローも、『Faeria』に登場するキャラだ。


なお、カードのアップグレードにおいてはジェムシステムが導入されており、フィールドに落ちているジェムを拾いカードのソケットに埋め込むことで、新たな力を解き放っていく仕組み。ジェムにはレアリティが存在するなど、さまざまな種類があるとのこと。

本作の開発において、「マジック:ザ・ギャザリング」の生みの親であるリチャード・ガーフィールド氏がCo-designerとして名を連ねている。同氏は『Faeria』の大ファンだったそうで、あまりにもハマりすぎて生活に支障をきたしかねないとして、プレイをやめるほどだったのだとか。デッキ構築ゲームについても好んでおり、それらのタイトルを研究して『Roguebook』は開発されているようだ。


ガーフィールド氏イチオシの今作の要素は、Fat Deck System。従来のデッキ構築ゲームは、デッキの一貫性を作る上で、圧縮を意識する必要があった。つまり、うまくコンボを決めるために道中にて、デッキのテーマにそぐわないカードを捨てなければいけなかったわけだ。同氏は、このカードを捨てる行為は楽しくないと感じたという。それゆえに、『Roguebook』をデッキが肥大化しても楽しめるゲームにしようとしているようだ。

Fat Deck Systemの詳細については不明であるが、デッキのカードが一定数以上になれば、スキルツリーにてスキルが取得できるようになるなど、カスタマイズ性を高める要素になるとしている。この要素を導入することにより、より予想のしづらいシステムになるものの、予想しづらいシステムもまたゲームに楽しさをもたらすだろうと、ガーフィールド氏はその出来に自信を見せている。

※ 1時間21分より、ガーフィールド氏がコメントを寄せている

ガーフィールド氏といえば、Valveと共にTCG『Artifact』を手がけていたが、同作は売上不振に陥り契約は破棄に。その後、さまざまなアナログゲーム開発に参加してきたが、この度今をときめくデッキ構築ゲームの開発に携わることになったようだ。Abrakamは『Faeria』のヒットにより評価が高まっており、ユニークなカードゲーム制作に定評がある。『Roguebook』は昨年6月からすでに動いていたプロジェクトで、Kickstarterにて資金を募りながら開発されていた。このたびNaconというパブリッシャーがつき、ガーフィールド氏が開発に参加。カードゲーム寄りだったシステムはデッキ構築ゲームに寄せられ、正式発表に至ったようだ。

※ 2019年6月時点でのゲームプレイ映像。現在のものと大きく異なることがわかる。

『Slay the Spire』などのヒットにはじまり、今やSteamでは大量に生み出されているデッキ構築ゲーム。『Roguebook』の土台となるシステムはそうしたジャンルの作品になぞらえてあるが、デュアルヒーローシステムや、ジェムによるアップグレードシステム、デッキ肥大化を許容するシステムなど、独自の要素も取り入れられている。「マジック」の生みの親と新進気鋭のデベロッパーが開発する同作のリリースを、楽しみにしておこう。

『Roguebook』は、2021年5月にSteamにて発売予定だ。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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