米国テキサスに拠点をおくArmature Studioは7月1日、アドベンチャー『Where the Heart Is』を発表した。対応プラットフォームはPlayStation 4で、2020年冬にリリースが予定されている。
本作は、人生の「もしあそこで、ああしていたら」を追体験する物語だ。主人公の男性Whit Andersonは農業を営みながら、日々の生活を退屈に過ごしていた。ある日激しい嵐が彼の農園を襲い、畑に巨大な穴が空いてしまう。そして一家の飼い犬であるCaseyはその穴の中へ転落してしまうのだ。Caseyを救うため、自らも深い穴の中へ降りてゆくWhit。しかしそこには、想像を超えた非現実の世界が待っていた。ときに地面が崩れ落ち、ときに花が咲き乱れ、またあるときは巨大な生物が闊歩する。あたかも夢の中に迷い込んだような世界で、彼は自身の人生のさまざまな分岐点をふたたび目撃することになる。それだけでなく、Whitは過去の選択を変える力を手に入れるのだ。
プレイヤーはWhitの人生を追体験し、さまざまな場面で選択を迫られることになる。大小いくつもの決断を下すうちに、それらが物語全体に影響を与え、まったく異なる筋書きや結末を生み出していくという。たとえばWhitの家族にはSegeという兄弟がいた。彼は芸術への情熱を秘めていたが、親からはきちんとした教育を受けるようにプレッシャーを受けており、葛藤を抱えている。
リスクを背負ってでも夢を優先するようにSegeを応援するのか、それとも冷静に大人になるよう彼を諭すのか、プレイヤーはふたつの道のどちらかを選択しなくてはならない。ここでの答えによってその後Segeが住まう場所が変化し、黄金色の木々に囲まれたトレーラー車で暮らすこともあれば、雪のしんしんと降りしきる街の一角に居を構えることもある。ある選択が物語を変えることで、ゲームに登場するロケーションも変化してくるのだ。
このほかにもWhitが辿る道筋には、過去の象徴的な人物が数多く登場する。高校時代からの恋人Reneや彼が育てた子どもたちなど、周囲の人々とどのような繋がりを築くのかも重要な選択となってくる。「もし、あのとき踏み出していたら」「もし、あのとき『はい』と答えていたら」。数えきれない不可逆の選択を重ねるうち、プレイヤーはWhitの人生において何が最大の喜びで、何がもっとも忘れがたい後悔なのかに向き合うこととなる。
「私たちの人生経験は夢のようなものです——その瞬間の実際の出来事と、自身の精神が感じ取ったことの狭間にたゆたっているのです」。そう語るのはArmature Studioの共同設立者であり本作のディレクター、Todd Keller氏だ。「『Where the Heart Is』でWhitの人生を歩むうちに、プレイヤーは自らの人生の内省へと誘われ、夢は明瞭になっていきます。もしかしたら本当は自分の環境が良いものだと気づくかもしれないし、“故郷”はずっと自身の中にあったとわかるかもしれません」。
Keller氏をはじめ、Armature Studioは『メトロイドプライム』シリーズに携わったスタッフを中心として2008年に立ち上げられた。さまざまな作品の制作に参加しながら、稲船敬二氏率いるConceptと共にXbox One向けに『ReCore』を開発した実績を持つ。一方でKeller氏は「これまで歩んできたキャリアのほとんどでアクションタイトルを担当してきたので、今回はキャラクターに焦点を当てた、ゆっくりとした時間の流れで、少しずつ答えが明らかになっていくような作品を作ることができた」と語る。アクションゲーム開発で培われてきたノウハウが、一転して穏やかなナラティブアドベンチャーでどのように生かされるのか注目したいところだ。
『Where the Heart Is』はPlayStation 4向けに、今冬発売予定だ。