Mixer終了告知を受けて、引っ越し先に悩むストリーマーたち。移管先のFacebook Gamingではなく、Twitchに誘導をかける配信者も

Mixer終了告知を受けて、引っ越し先に悩むストリーマーたち。移管先のFacebook Gamingではなく、Twitchに誘導をかける配信者も見受けられる。

マイクロソフトは6月23日、同社の配信プラットフォームMixerのサービス終了を発表。Facebook Gamingとパートナーシップを結び、Mixerの配信者と視聴者をFacebook Gamingへと移管すると告知した。7月22日よりMixerのサイトやアプリはFacebook Gamingへとリダイレクトされるようになる(関連記事)。Mixerのパートナーとして活動していたストリーマーは、希望すればFacebook Gamingの収益化プログラムに参加できる。

だがFacebook GamingではなくTwitchを引っ越し先として見据えるストリーマーも多いようだ。海外メディアのKotakuが報じている。実際にMixerを巡回してみると、多くのストリーマーが自身のTwitchチャンネルに誘導をかけていることがわかる。『フォートナイト』『Apex Legends』など、配信対象としているタイトルを問わず見られる傾向だ。

Mixer

マイクロソフトが移管先として選んだFacebook Gamingは昨年、『大乱闘スマッシュブラザーズ』の元プロプレイヤーZeRoことGonzalo Barrios氏、インフルエンサーのCorinna Kopf氏といった著名人と独占契約を締結。今年4月には同サービスのモバイルアプリ版を配信したりと、さまざまな施策を打ち、成長を続けている。とはいえ業界トップのTwitchにはまだまだ及ばず、視聴時間としてはTwitchの5分の1ほどとなっている(StreamElements)。移行先として業界最大手を選ぶストリーマーが多くても、不思議ではない。

Mixerのサービス終了は、パートナーとして配信業を続けてきたストリーマーたちにとっても寝耳に水だった様子。上述したKotakuの記事では、長らくMixerで活動してきたLindsy Wood氏、TwitchからのBANを受けて複数の配信プラットフォームを渡り歩いてきたFoxyzilla氏。そのほかGitsie氏、LuckyShots氏といった、元Mixerストリーマーたちの驚きの声が記されている。

*2年半ぶりにTwitchでの活動を再開したLindsy Wood氏

Mixerでのフォロワーのうち、どれほどの人数が引っ越し先のプラットフォームまで付いてきてくれるのか不透明。Mixerで配信していたCubanees氏はKotakuに、「フォロワー数5万人に届いたばかりで、これからもっと大きなマイルストーンを達成しようと思っていたのに、すべて水の泡となりました」語っている。Twitchに移行してから6日が経ったCubanees氏のTwitchフォロワー数は、まだ2211人である(6月29日時点)。

元MixerストリーマーのQueenEliminator氏のように、Facebook Gamingでの配信を始める者がいる一方で、Facebook Gamingに懐疑的なストリーマーもいる。Mixerで活動していたShadowKal氏は、自身のフォロワーの中には本名でコメントを残すことに抵抗を覚える者が多く、いまだにTwitchとFacebook Gamingのどちらに移るべきか決めかねているという(現時点では、TwitchとFacebook Gamingの両方で配信)。先述したFoxyzilla氏は、移行先としてFacebook Gamingを選ばなかった理由として、「Facebookは私生活とあまりにつながりすぎているから」とコメント(TwitLonger)。プライバシーの観点から、Facebook Gamingには懸念が残ると語っている。

https://twitter.com/Foxyzilla/status/1275150524984295426

*Foxyzilla氏は、視聴者が盗難クレジットカードを利用してFoxyzilla氏へのサブスクライブを繰り返していたという理由で、4年前にTwitchからBANされたという。Mixerの終了発表後、TwitchにアカウントBANの解除を求めたところ、無事に聞き入れられ、Twitchでの活動を再開するに至った

Mixerのストリーマーや視聴者がTwitch移行を喜んでいるかというと、必ずしもそうではない。ライバルの多いTwitchでフォロワーを集め直すのは大変。そもそも、ハラスメントや誹謗中傷の多いTwitchコミュニティから離れたいと考えて、Mixerを選択したストリーマーや視聴者も多い。最近では複数のTwitchストリーマーに対するハラスメント告発が続いており、ストリーマーやプラットフォーム提供会社の姿勢が問われている状況(公式ブログ)。騒動の真っただ中にあるTwitchを、引っ越し先として選んだ元Mixerストリーマー・視聴者たちは、新たな環境に順応していけるのだろうか。

なおNinjaことTyler Blevins氏と、ShroudことMichael Grzesiek氏。Mixerと独占契約を結んでいた大型ストリーマー2人の動向はまだ不明となっている。

Ryuki Ishii
Ryuki Ishii

元・日本版AUTOMATON編集者、英語版AUTOMATON(AUTOMATON WEST)責任者(~2023年5月まで)

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