『シェンムーIII』の発表以降、初代『シェンムー』や『シェンムーII』の中古版に注文が殺到。国内外で価格上昇も

今年6月、E3 2015にて『シェンムーIII』が正式発表されて以降、国内外で初代『シェンムー』と『シェンムーII』の売り上げが加速している。

今年6月、E3 2015にて『シェンムーIII』が正式発表されて以降、国内外で初代『シェンムー』と『シェンムーII』の売り上げが加速している。国内10店舗で中古ゲームソフト・ゲームハードを取り扱う「スーパーポテト」によれば、6月の発表から両作への注文が殺到しており、価格も上昇しているという。海外でも流通メディアMCVのインタビューより、複数の店舗が『シェンムー』やドリームキャストの販売数が上昇していると伝えている。

スーパーポテトの通販部はAUTOMATON編集部の問い合わせに対し、「『シェンムー』につきましては発売直後から1、2共に全国のお客様からご注文が殺到しておりました」とコメント。『シェンムー3』がKickstarterでのファンの方々からの融資で成し得た新作ということもあり、現在も旧作のお値段については以前よりも高騰しております」と説明した。

また英国カンタベリーでレトロゲームを取り扱う「Level Up Games」は、MCVの取材に対し先週だけで20体のドリームキャストを販売したと語った。『シェンムーIII』の発表以降、オリジナルの『シェンムー』2作品に関する問い合わせが増えたという。また「Reload Games」は『シェンムーIII』と共に、E3 2015でリメイクが発表された『ファイナルファンタジーVII』の売り上げも増加しているとし、価格が高騰していると伝えている。本体を持っていなくとも、コレクションとして所有するために購入するユーザーも存在したという。

なぜ『シェンムー』の売り上げが伸びているのか?

ただスーパーポテトにおいては、初代PlayStation版『ファイナルファンタジーVII』の売り上げに特に変化は無いという。「確かに不屈の名作ではありますが、PSストアでの配信、PCでの配信、iOS版の発表と、デジタルコンテンツとしての『ファイナルファンタジーVII』が出ておりますので、PS1版では売れないというのが私共の見解となります」と、同ストア通信部は伝えている。

確かに『ファイナルファンタジーVII』が現在はさまざまなプラットフォームでプレイできる一方で、初代『シェンムー』と『シェンムーII』がプレイできるのはいまだにドリームキャストのみだ。どちらも数十万本の売り上げは伝えられているため、プレミアム化するとまでは考えづらいが、中古市場での平均価格はしばらく上昇してゆくことが予想される。

『シェンムー』シリーズの再配信、特にHDリマスター化は古くからファンより要望されており、海外ではたびたび噂がささやかれてきた。昨年8月には韓国のユーザーがUnreal Engine 4にて制作した非公式『シェンムー HD』の映像を公開し、ファンの注目を集めたのは記憶に新しい。『シェンムー』シリーズのHDリマスターに関しては、過去に鈴木裕氏が実現するためにセガへと”お願いしたい”との思いを伝えているが、いまだ実現には至っていない。

参考記事: 鈴木裕氏、Twitch配信で『シェンムー3』について語る。「物語は3で完結しない」こと明言

『ソニックアドベンチャー』や『スペースチャンネル5 パート2』など、ドリームキャストタイトルのHDリマスター復刻をここ数年続けてきたセガだが、2013年の『ジェット・セット・ラジオ』を最後にDCのHDリマスター作品は登場していない。今回の中古市場の動きを見る限り、需要がまったくないということは無さそうだが、『シェンムーII』の売上不振や『シェンムーオンライン』および『シェンムー街』の失敗を見るならば、同社が『シェンムー』のHDリマスター版をリリースする線は薄いのかもしれない。

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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