少女が狂気の帰路をめぐるホラー『GOHOME』6月17日よりSteam向けに配信へ。懐かしさに混ぜられた強烈な違和感
バーチャルYouTuberの市松寿ゞ謡氏は6月3日、自身が制作するホラーゲーム『GOHOME』のPC向け完全版が、Steamにて承認されたことを発表した。リリース予定日は6月17日となっており、日本語・英語に対応している。価格は1555円を予定しているそうだ。また夏ごろにはNintendo Switch版の発売も目指していることが明かされている。
本作は2000年代日本の住宅街を舞台にしたノスタルジックホラーだ。もともと2019年に公開されていたフリーゲーム『GOHOMEβ版』の完全版としてリリースされる。約1時間程度でクリアできたベータ版に対し、完全版はマップが倍増。また前作では1体のオバケから逃げればいいだけだったが、今作での怪異は隠しキャラを含めて6体追加と大幅にボリュームアップした内容になっている。「グロテスクな表現が無いのでお子さまも楽しめます」とは公式紹介ページの文句だが、その謂れに違わず大人も子どもも分け隔てなく誑かす狂気が待ち受けている。
舞台は平成17年。主人公は「鈴木モザイ子」という名の女の子で、顔がちょっと不明瞭な7歳児だ。ふとしたことから両親とはぐれてしまった彼女は、ひとりで家路を辿らなくてはならない。帰ったらピアノの練習をする約束なのだが、街の様子はどこかいつもと違っている。夕日が照らし、カラスの鳴き声が響く中、少女は不条理に満ちた帰路をさまようことになる。本作のテーマは“2000年代のノスタルジー”とされており、プレイヤーが歩く街は薄汚れたブロック塀・道路ミラー・築10年も経っていないであろう半端に真新しい家が並ぶ無機質な住宅街だ。ジブリのような幻想性はなく、昭和レトロのような暖かさもなく、しかし同年代に生まれたユーザーならどこか記憶に引っかかる新世代の懐かしさが心をざわつかせる。
ベータ版では「オバケ」「飛び降り女」といった敵が特に物語性なく襲いかかってきていたが、本作ではこれらのキャラクターとモザイ子の関係も明かされるという。市松寿ゞ謡氏は「理屈がまず存在しない何かに対して自分を守る為に無理やり理屈を付けた瞬間にホラーが成立すると思っています」と語っており、同氏のホラー哲学にもとづいた新たな恐怖演出が味わえそうだ。
なおリリース直前記念として、市松寿ゞ謡氏のYouTubeチャンネルにて6月6日夜6時6分より「祝!!GOHOMEリリースまであと10日祭」が配信されるとのこと。時間は2時間程度を予定しているとのことなので、気になる人はチェックしてみよう。なお、同氏はゲーム制作活動について「(『GOHOME』を経て規模感をつかんだのち)次は協力者を募集するかもです。ぶっちゃけ一番作りたいゲームは今のままでは無理っぽいので」と語る。体制に悩みつつも、制作意欲はまだまだみなぎっているようだ。市松氏の表現する世界に魅了された諸氏は今後も彼女の発信を注視しておこう。
ベータ版はこちらからPC向けに無料でダウンロードすることができる。興味が湧いた人は先に遊んでみるといいだろう。ただし「グロ表現なし」と謳われているものの、軽い流血描写があるため苦手な人は注意してほしい。『GOHOME』完全版は6月17日よりSteamにてPC向けに配信される見込みで、日本語・英語に対応。価格は1555円を予定している。