『MGS V: TPP』ローンチトレイラーが小島監督からのお別れメッセージのようだと話題、コンパニオンアプリ実装も決定
コナミデジタルエンタテインメント(以下、コナミ)は、『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN』のローンチトレイラーを公開した。小島監督自らが演出・編集を手がけており、メタルギアサーガを振り返る中で初代スネークことビッグボスの変化を綴っている。哀愁ただよう回顧録は、まるで小島秀夫からのお別れのメッセージのようだと、海外メディアを中心に脚光を浴びている。また、コナミはゲームと連動した携帯端末向けコンパニオンアプリを実装すると、欧州の公式ブログにて明らかにしている。
激動の時代を駆け抜けたビッグボスの軌跡
メタルギアソリッドシリーズを回想するローンチトレイラーは、昨年発売されたプロローグ『METAL GEAR SOLID V: GROUND ZEROES』からはじまり、「デジャヴミッション」で披露されたスネークのローポリゴン化で1998年の『METAL GEAR SOLID』へ原点回帰。2001年の『METAL GEAR SOLID 2: SONS OF LIBERTY』へとソリッドの系譜をなぞった後、2004年の『METAL GEAR SOLID 3: SNAKE EATER』でビッグボスの誕生秘話へと時代をさかのぼる。そして、ソリッドの集大成となる2008年の『METAL GEAR SOLID 4 GUNS OF THE PATRIOTS』。その後、ビッグボスヒストリーの序章を描く2010年の『METAL GEAR SOLID PEACE WALKER』へとバトンを渡している。
『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN』は、特殊部隊の母ザ・ボスの意思を受け継ぐビッグボスがいかにして自ら設立した「FOXHOUND」と対立するに至ったか、“恐るべき子供達計画”の産物ソリッド・スネークと対峙する初代『メタルギア』へつながる、空白の1ページを補完する物語だ。スネークが段階を追って血肉焼けただれた鬼のような姿へと変貌していくシーンは、CIAを抜けた伝説の傭兵ビッグボスが仲間の死や自身の葛藤を通して、傭兵派遣会社アウターヘブンの設立、そして軍事国家ザンジバーランドの創造へと修羅の道を歩んでいく様を描いているのだろう。人生の師匠ザ・ボスとの決別をオオアマナの花びらで、語らぬ狙撃手クワイエットとの出会いをモルフォ蝶で表現していることからも時代の変遷が見て取れる。
トレイラー後半には、直立二足歩行兵器(Anthropoid Bipedal Weapon System)メタルギアST-84、通称サヘラントロプスが登場する。サヘラントロプスとは、人類の起源とされるおよそ600万年から700万年前に地球上に誕生した霊長類で、「人類の父」と呼ばれている。ヒトとチンパンジーの分岐点にあたる存在といわれていることにかけて、ビッグボスが国境なき軍隊で生み出したメタルギアZEKEから、その後アウターヘブンで開発されたメタルギアTX-55への進化の過程を象徴しているのかもしれない。1960年代の冷戦下でソ連の科学者グラーニンが考案した核搭載二足歩行戦車、兵器としてのメタルギアの系譜からも目が離せない。
小島秀夫氏が自ら手がけた演出をメランコリックに感じるファンは多いようで、PolygonやKotakuをはじめ、複数の海外メディアが「小島監督からのお別れのメッセージのようだ」と報じている。これまでシリーズを制作してきた小島プロダクションは、今年3月の小島氏の役員解任に伴い解体されており、コナミは次回作以降の開発チームをオーディションで決定すると声明を出していた。小島秀夫氏がコナミと袂を分かつとまだ決まったわけではないが、『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN』の発売を前にして、すでに多くのファンから別れを惜しむ声が寄せられている。
いつでも手元に「iDroid」
コナミは、『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN』本編と連動したコンパニオンアプリを発表した。アプリを通してゲーム内の携帯端末「iDroid」に直接アクセスできるもので、ミニマップを常に手元に表示するナビとして機能するほか、プレイヤーが入手した音声テープやミュージック音源の再生が可能。もともとは前作『METAL GEAR SOLID V: GROUND ZEROES』向けにリリースされていたもので、これらの機能のほかに、本編を所有していなくても遊べる海上基地マザーベースの育成ゲームが実装されていた。連動対象のプラットフォームはPlayStation 4/PlayStation 3/Xbox Oneで、本作と同日の9月1日(国内では9月2日)からアプリストアでのリリースを予定している。