Epic GamesがUnreal Engine 5発表。PS5上でのリアルタイムデモ映像とともに、次世代ゲーミングの可能性を示す

Epic GamesがUnreal Engine 5発表。Unreal Engine 5を用いたPS5上でのリアルタイムデモ映像とともに、新技術のNaniteとLumenによる次世代ゲーミングの可能性を示す。

Epic Gamesは5月13日に配信された「Summer Game Fest: Special Wednesday Showcase」にて、最新ゲームエンジン「Unreal Engine 5」を発表した。次世代コンソール、現世代コンソール、PC、Mac、iOS、Android をサポートするUnreal Engine 5(以下、UE5)は、2021年初頭にプレビューとして利用可能になり、2021年後半にフルリリースを迎える予定。以下はUE5を用いた、PlayStation 5開発機上でのリアルタイムデモ映像である。

*「Summer Game Fest」のインタビューにて、PS5開発機で動かしているとの回答あり

次世代向けのゲームエンジンにおけるEpic Gamesの目標は、映画のCGや現実世界に匹敵するリアリズムの実現と、どのような規模のチームでも高品質なコンテンツを制作できるような生産性の高いツール/コンテンツライブラリの提供。今回披露されたPlayStation 5上でのリアルタイムデモでは、新しいコア技術である「Nanite」と「Lumen」の活用による次世代リアリズムの実現例が示されている。

Naniteは、仮想化マイクロポリゴンジオメトリを指している。Nanite仮想化ジオメトリによって数億、数十億ポリゴンの映画品質のソースアートであってもUEに直接インポート可能に。現にデモ映像では、映画品質のオブジェクトを提供しているQuixelのMegascansライブラリを多用したとのこと。Naniteにより、かつてないディテールのジオメトリを、リアルタイムでストリーミングおよびスケーリングさせることができる。ただ高品質というだけでなく、ポリゴン数やポリゴンメモリのバジェットを気にする必要がなくなり、手動でLODを作成するといった工数も削減可。次世代コンソール機では、ハードウェア性能の向上によって、Naniteのポテンシャルを存分に引き出せるようになる。PS5においては、記憶媒体からの帯域が増強されることにより、過去の世代と比べてはるかに広大かつ詳細なシーンの実現が可能だという。

Lumenは、「完全に動的なグローバルイルミネーション ソリューション」として紹介されている(公式サイト)。キロメートルからミリメートルまでの幅広い規模の環境において、無限のバウンスと間接スペキュラ反射を利用し、ディフューズ相互反射をレンダリング。シーンやライトの変更に即座に対応する動的なシーンが制作しやすくなる。時間経過による太陽角度の変化、懐中電灯の点灯などに対し、間接ライティングが適応的に変化。上のデモ映像でも、Lumenを活かしたシーンがふんだんに取り入れられている。「Summer Game Fest」でのEpic Gamesインタビューでも、ただ美しいだけでなく制作負担の軽減につながることが強調されていた。

そのほかデモ映像では、物理システムのChaos、Niagara VFX、Convolution reverb、AmbisonicsレンダリングといったUnreal Engine 4.25に含まれている既存機能も活用しているとのこと。環境面のディテール向上にキャラクターアニメーションを適応させる必要性から、ボディポジションや環境とのインタラクションをより自然に見せるための技術も導入されている。キャラクターがドアに手をかけるときに、シームレスかつコンテクスチャルなアニメーションイベントを発動するといった具合だ。

また現在UE4を活用しているEpic Gamesの『フォートナイト』は、2021年半ばにUE5へと移行することも明かされた。UEは前方互換性を持つようにデザインされているため、UE4で次世代機向けの開発を開始し、UE5の準備ができた段階で移行することが可能。『フォートナイト』ではそれを実証して見せることとなる。

さらに『フォートナイト』の開発過程で構築されたオンラインゲーム運用関連サービスをマルチプラットフォームSDKとして無料公開する、「Epic Online Services」がローンチされた。フレンド、マッチメイキング、ロビー、アチーブメント、リーダーボード、アカウントといった各種サービスを、各プロジェクトで使っているアカウントサービス、プラットフォームのアカウント、Epic Gamesアカウントと組み合わせて活用できる。

Epic Gamesは今回のUE5発表にあわせて、粗収入が100万ドルを達成するまでのロイヤリティを免除することも明かした。この免除は、2020年1月に遡って適用される。新ゲームエンジンの発表、Epic Online Serviceのローンチ、ライセンス条項の変更。一連の発表によりEpic Gamesは、デベロッパーにとって好条件なサービスの提供というビジョンを示して見せた形となる。

Ryuki Ishii
Ryuki Ishii

元・日本版AUTOMATON編集者、英語版AUTOMATON(AUTOMATON WEST)責任者(~2023年5月まで)

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