Naughty DogがPS4『The Last of Us Part II』のリークに悲しみ、拡散しないよう呼びかけ。心無いユーザーたちは嫌がらせ
アメリカのゲームスタジオNaughty Dogは4月28日、『The Last of Us Part II』の情報がインターネット上に出回っている状況についてコメントした。みなさんは、ここ数日の間とてつもなく大変な時間を過ごしていることでしょうと語り始め、Naughty Dogも同じ気持ちであるとコメント。発売前のゲームプレイ映像が投稿され、シェアされていることを残念に思っていると語る。そうしたネタバレを避け、またネタバレを他者にシェアしないでほしいと、ファンに呼びかけた。『The Last of Us Part II』はもうじき発売されることを踏まえ、何を耳目に触れたとしても、体験するに値するゲームになるだろうと締めている。
A message from the studio: pic.twitter.com/f0TzIZXUIB
— Naughty Dog (@Naughty_Dog) April 27, 2020
実はここ数日にわたり、『The Last of Us Part II』の未公開映像が大量にインターネット上に出回っていた。具体的な言及は避けるが、中には終盤の展開を含んだものもあった。すべてではないものの、物語のあらすじをざっくりと把握できるような、深刻な流出となっている。4月26日、YouTubeに動画が大量公開され、その動画やキャプチャー画像がResetEraなどのフォーラムにて拡散。YouTubeの動画は削除されたものの、転載するYouTuberや、Streamableといった他プラットフォームに投稿するユーザーが跡を絶たず。さまざまな場所にて、拡散されている状態だ。こうした状況を受け、Naughty Dogはユーザーのネタバレ避けと拡散防止をいち早く呼びかけているのだろう。
この状況における悲惨な部分は、このNaughty DogのTwitterでの声明投稿に対し、心無いユーザーたちが嫌がらせをしていること。具体的には、流出したネタバレを含むカットシーンをキャプチャーし、その画像・動画をリプライにて飛ばしている。つまり、Naughty Dogのツイートを確認しようとしたユーザーが、このネタバレを見てしまうことを意図しているのだ。極めて悪質な嫌がらせが横行している。Naughty Dogはそうしたネタバレリプライを、Twitterの機能のひとつである「返信の非表示」扱いすることで対策しているが、嫌がらせは続けられているようだ。
こうした嫌がらせが横行する背景としては、流出している範囲で把握できる『The Last of Us Part II』のストーリーが、賛否両論ある点が関係しているのかもしれない。嫌がらせのリプライには、ストーリー展開やキャラクターへの批判を含んだものが多く確認できる。またYouTuberであるSuperMetalDave64氏が「Naughty Dogと賃金で揉め不満を持っていた従業員がネタバレ情報を流出させた」とコメント。Naughty Dogは優れたスタジオでありながら、たびたび労働環境の過酷さが報道されていた。負担を強いられた従業員からの復讐というコンテクストでも、Naughty Dogは批判されているようだ。
The Last of Us 2 spoilers are reportedly from a disgruntled employee over a payment dispute with Naughty Dog. When things didn't go their way…..bam, MAJOR plot spoilers got leaked. Some really angry, tired and fed up people working at ND, I think we could see this coming sadly. pic.twitter.com/8SSMPsW8nE
— SuperMetalDave64 (@SMetaldave64) April 26, 2020
ただし、すべてが不確定な情報であるということは忘れてはならない。ストーリーはあくまで完成前かつ発売前のものであり、物語の全容は見えていないこと。SuperMetalDave64氏の「賃金で揉めていた従業員の仕業」という説も、同氏の言い分のみがソースであること。嫌がらせ投稿を行うユーザーの掲げる“正義”は、すべて不確定な憶測に基づいたものである。Naughty Dogの労働環境を報じ続けた元KotakuのJason Schreier氏も同件にコメント。情報をリークさせた人物に対し、労働環境や賃金にどれほど怒りを感じたにせよ、ゲームのネタバレ情報をリークすることは、ともに戦った人々を傷つけるだけであり、怒りを発散するもっといい方法は多くあっただろうと語っている。これらの問題も憶測に過ぎないが、もし労働環境や賃金に問題があったとしても、ゲームのネタバレ情報をリークしたり、それらを拡散することは、Naughty Dogのスタッフを傷つけ、そしてゲーマーを落胆させるだけで、正当化されるものではない。
Just catching up on this Naughty Dog story and man, no matter how angry you are about your workplace conditions or your pay or whatever else, leaking your whole game just hurts all the other people who were in the trenches with you. So many better ways to channel that rage
— Jason Schreier (@jasonschreier) April 27, 2020
Naughty Dogはかねてからストーリー志向型ゲームの開発に情熱を燃やしていた。その中でも、『The Last of Us Part II』は同スタジオの35年にわたる歴史の中でもっとも野心的かつもっとも長いゲームになると、ディレクターのNeil Druckmann氏が語っていた。ストーリーが重要な超大作において、このような形で断片的にでもネタバレが出回ってしまう状況は、Naughty Dogとソニー・インタラクティブエンタテインメントにとって極めてショックなことだろう。振り返れば、2016年に続編の開発が発表されて以来、いくつかのトレイラーが公開されてきたが、いずれの映像も演出面で凝らされており、『The Last of Us Part II』の強い物語性を示唆する内容だった。開発とプロモーションの面で、長年種をまき続けた『The Last of Us Part II』は今、傷つけられている。
『The Last of Us Part II』は6月19日に発売予定。もしあなたがNaughty Dogやソニー・インタラクティブエンタテインメント、そしてすべてのゲームクリエイターに敬意を抱いているならば、『The Last of Us Part II』のネタバレの拡散や共有は避けてほしい。またゲームの感想も、発売日にゲームをその手にとって遊んでから述べるべきだろう。