『ゼノサーガ』のリマスターは採算の問題でできない。バンナム原田氏の率直なコメントに賛辞おくられる
バンダイナムコエンターテインメントの原田勝弘氏は12月27日、ファンの質問への回答を通じて、『ゼノサーガ』シリーズのHDリマスターがリリースされる可能性を否定した。原田氏は普段からTwitter上でファンとの交流をおこなっている。26日には『PROJECT X ZONE 3』の可能性を問われ、「プロデューサーが同じ階にいるから聞いとくよ」と茶目っ気たっぷりに回答しファンを喜ばせていた。その会話を見ていたほかのユーザーが、『ゼノサーガ』HDコレクションの可能性について氏に尋ねたわけだ。
This actually progressed to the remaster's plan, but failed in a profitable market analysis.
Sorry guys, This plan will be difficult to resurface… https://t.co/0CRJJDPl5Z— Katsuhiro Harada (@Harada_TEKKEN) December 26, 2019
しかしながら原田氏は同件についてはっきりと否定した。リマスターの計画は実際に進んでいたが、市場分析をしたところ収益が出ないとされ、立ち消えになったという。そして、この計画を再浮上させることは難しいだろうとし、ファンの心中を気遣っている。
現在では『ゼノブレイド』シリーズをつくるモノリスソフトが手がけた『ゼノサーガ』シリーズ。同シリーズのHDリマスターの話が出るのは、今回が初めてではない。『ゼノサーガ』のIPは、販売元であるバンダイナムコエンターテインメントが保持している。同社の原田勝弘氏もバンナム社がIPを保有していることを認めており、そしてHDリマスターの可能性がゼロではないことを2014年1月に語っていた。ただし翌日には、国内ユーザー向けには実現は簡単ではないともコメント。同年9月には海外向けに、HDリマスターを求めるファンに感謝を述べつつ、重要なのは固定ファンの強い要望ではなく、数多くのユーザーの要望であるとも話していた(Twitlonger)。
要望に耳傾けた手前、真面目に、というわけで昨夜ざざっと試算してみたけど、簡単じゃ無いなあというのが第一印象。ファンの愛が深い作品なのでその要求に答えつつ、投資は最低限リクープさせようとすると数が辛いなあ。うーん RT@Naked_T ゼノサーガHDが現実になるのであれば買います!
— Katsuhiro Harada (@Harada_TEKKEN) June 25, 2014
※ 2014年6月のコメント
今回、原田氏はそんな『ゼノサーガ』シリーズのHDリマスターが困難であることを、改めて強調した形。ファンにとっては残念なニュースではあるが、一方で氏のスタンスを評価する声がredditのr/Gamesには寄せられている。PR的回答を気にするのではなく、生々しく率直な事実を教えてくれる点は嬉しく、へたな希望を抱かせるよりもずっといいというコメントがもっともupvoteされているほか、この意見に同意を示す「歯に衣着せぬ表明は非常に気持ちいい。ファンへのリスペクトを示すのも、悪いしらせを合理的な説明と一緒に伝えるのも大事。」というコメントにも、支持が集まっている。そのほか「Haradaは宝だ」「Haradaは俺らに相応しくない」「もうHaradaにくだらないことを聞くなよ」と原田氏を持ち上げるジョークが繰り広げられ、笑いを誘っている。
もちろんすべてのユーザーが氏を支持しているわけではないだろうが、どんな質問にもまっすぐに、それでいて誠意をもって反応する原田氏の言動は、少なくないゲーマーに響くのかもしれない。なお原田氏はその後もファンの質問に回答している。「(『ゼノサーガ』のリマスターを)出してくれたら10本買うのに~。『ゼノブレイド2』だってコレクターズエディションも含めて2本買ったしね」というリプライに、「前も言ったように、特定のゲームに限らず、~があれば~個買ってたという声は、ゲーム会社は信じてないよ。ただ、強い要望があるということは理解してる」とコメント。論理の棘と少しの飴をもって回答し、このツイートもまたファンを喜ばせている。
This isn't limited to a particular game, but game companies do not trust any of these "If you give me XX, I buy XX copies!"
This is what I have been saying before.
Of course, I understand that there is a strong request there.https://t.co/kYputThHfD— Katsuhiro Harada (@Harada_TEKKEN) December 27, 2019
インターネットが発達したことにより、情報がすぐに集積されユーザーに届きやすくなり、透明性について問われるようになってきている時代。ごまかしが効きにくい時代でもある。時には、ファンを悲しませない優等生的な嘘やごまかしよりも、残酷だとしても事実を突きつけることが求められるのかもしれない。