新規開発スタジオ「Outpost Games」は“見ても面白いゲーム”の開発目指す、『Dead Space 2』デザイナーなど参加

2014年3月、米国カリフォルニア州レッドウッドシティに、新規ゲーム開発スタジオ「Outpost Games」が設立された。

2014年3月、米国カリフォルニア州レッドウッドシティに、新規ゲーム開発スタジオ「Outpost Games」が設立された。同スタジオには、Electronic ArtsやVisceral Games、Zyngaなど大手企業に所属していたスタッフらが参加している。華やかな独立系スタジオの成功が見られる昨今、大手を抜け新たなゲーム開発スタジオを設立するのは珍しいことではない。ただしOutpost Gamesは、「見て面白いゲーム」を開発しようというコンセプトを掲げており、数多の新規スタジオのなかでも興味深い存在だ。

プレイヤーをパフォーマーに

Outpost Gamesの公式サイトを開くと、最初に掲載されている一文は「我々はプレイヤーをパフォーマーに変えるゲームを作っています」だ。海外メディアGamasutraの取材を受けたクリエイティブディレクターWright Bagwell氏によれば、同スタジオは「プレイするのと同じく見てもとても楽しいゲームをデザインする」というコンセプトのもと結成されたのだという。

Outpost Gamesは、Benchmark Capital社より6200万ドル(約76億8000万円)もの軍資金をすでに得ている。

ゲームデザイナーとクリエイティブディレクターを兼任するBagwell氏は、id SoftwareのFPS『Quake』のMod製作者として学生時代からゲーム開発に興味を示していた。EAでは『Dead Space』や『Dead Space Extraction』、『James Bond: Everything or Nothing』や『James Bond: Agent Under Fire』の開発に参加。『Dead Space 2』ではクリエイティブディレクターを務めている。ハードコアな作品を手がけた一方で、後にZyngaに就職し、農業カジュアルゲーム『FarmVille 2』のデザインディレクターも務めていた。

Bagwell氏は「我々は、ゲーム外の配信者のパフォーマンスというよりも、ゲーム内でのパフォーマンスがより人を惹きつけるゲームを開発している」と伝える。単なる対戦や格闘ゲームではなく、プレイヤーとプレイヤー間の意思疎通をさらに押し広げる考えがあり、互いにゲーム内でパフォーマンスを披露し合うようなゲームを現在デザインしているのだという。

まだOutpost Gamesの新作は謎に包まれているが、ゲームは“プレイヤーと視聴者”がもっとも存在するPC向けに展開される予定だ。意外にも「年季の入ったゲーマー」がターゲットとなっており、そして「ゲームはとても簡単に見て楽しめるので、さらに大規模でさまざまな層のオーディエンスを惹きつける」ことを目指しているという。Bagwell氏は「我々はみんなにゲームを見てもらって、“見ていてすごく面白かった、自分のショーのスターになってみたい”と思うようになって欲しい」としている。

過去にお伝えしたように、ゲーム実況者や配信者によりゲームの売り上げが増加した例は過去に何度かある。そういう例から見ても、「見て面白いゲーム」の開発を目指すことに十分勝算はあるといえるだろう。実際に『Goat Simulator』や『Surgeon Simulator』などは、1人で黙々とやるよりも、他人のリアクションを見ながらプレイした方が楽しい部類に入る。Outpost Gamesがこの仕組みをどのように活かすのか、第1弾タイトルの発表に期待したい。

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Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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