『Control』PC版のEpic Gamesストアでの発売で、販売元は約11億円を受け取っていた。親会社が報告

Remedy Entertainmentの新作『Control』。Epic GamesストアでのPC版の販売によってパブリッシャーが11億円もの資金を受け取っていたことが明らかになった。

海外では昨月8月27日に発売された『Control』。Remedy Entertainmentの久しぶりの新作ということで注目を集め、発売後も上々の評価を獲得している同作であるが、Epic GamesストアでのPC版の販売によってパブリッシャーが11億円もの資金を受け取っていたことが明らかになった。Niko PartnersのアナリストであるDaniel Ahmad氏が、505 Gamesの親会社であるDigital Brosによる報告に同情報が掲載されていることを指摘している。ゲーム発売前に受け取っているということで、販売ゲームの利益とは別の資金取引であるようだ。

505 Gamesはイタリアに拠点を置くパブリッシャー。コンソールゲームのパッケージ販売などに強みがあり、『Bloodstained: Ritual of the Night』のグローバル販売を担当するなど、光る作品のプロデュース・販売に定評がある。親会社であるDigital Brosは、そうした505 Gamesのゲーム販売や流通などを統括しているという。同社は9月13日に投資家に向けた連結財務諸表(ドラフト)を公開しており、その中にEpic Gamesストアからの収入が記されている(リンク先はイタリア語のPDF)。

そこにはゲーム『Control』PC版におけるEpic Gamesストアからの収益という言葉とともに、2019年6月の収入として、Epic Gamesから949万ユーロが入っていることが確認できる。この数字には、3月から受け付けているPC版の予約の数字も入っているのではないかと指摘されているが、『Control』のコンソール版の予約についての売上が計上されていないので、別の数字だろうと前出のAhmad氏は語っている。一方で氏は、同報告書では時限独占販売による利益であるとははっきりとは書いていないとも述べている。そのほか、『Control』PC版の利益が著しいこと、そしてそれが契約によるものであることが示唆されているとのこと(VG247)。

Epic Gamesが、同社のストアでの独占販売をめぐりさまざまなスタジオにオファーしていることは、幅広く知られている。同ストアでの売上の収益配分は開発が88%受け取れるほか(一般相場は70%)、Epic Gamesが手掛けるUnreal Engine製タイトルをEpic Gamesストアで販売する場合、UEの使用料である5パーセントのロイヤリティはEpic Gamesの取り分である12パーセントの中から賄われるという。こう聞くだけでも特典は多いが、さらに時限独占契約をする場合には、資金を提供するという申し出をしている。たとえば『どうぶつの森』ライクな『Ooblets』の開発者は、Epic Gamesから、ほかのストアで販売した際に得られるであろう売り上げ分を最低保証として、前払いの資金提供をオファーされたことを明かしている(関連記事)。

『フォートナイト』とUnreal Engine 4による堅実な成功によって潤沢な資金を持つEpicGamesが、同ストアにて時限独占販売の攻勢をかけていることは度々報じられている。もし今回の報告が「PC版の時限独占販売による利益」であったとすれば、11億円という金額は非常に興味深い数字といえる。『Control』はAA級ともAAA級ともされているが、名門スタジオRemedyが手がけているだけにあり、ビッグタイトルであることは間違いない。『Control』は、大きな収益源であるコンソール版も販売しているにもかかわらず、PC版における1年の時限独占販売で11億円が入る。そうした資金提供は、安定した経営を追求するゲーム会社にとって、同ストアを嫌悪するPCゲームユーザーの反発を覚悟してでも、受けたいものなのかもしれない。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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