米任天堂が海外ROM配布サイトを再び提訴。Nintendo Switchや3DSゲームの権利侵害行為に一件あたり約2億円を要求
任天堂の米国法人Nintendo of Americaは9月10日、カリフォルニア州中央地区連邦地方裁判所にて、会員制のROM配布サイトの運営者を提訴していたことが明らかになった。海外メディアPolygonなどが報じている。
被告は、RomUniverseというウェブサイトを運営するMatthew Storman氏と、氏名不明の複数の同サイト運営関係者だ。RomUniverseでは、さまざまなゲームのROMやISOファイル、映画、電子書籍などを会員向けに配布しており、任天堂ハード向けのゲームは数千本と特に充実している。言うまでもなく、これらは海賊版だ。このウェブサイトでは、今回の提訴の時点でNintendo Switch向けゲームが約30万回、ニンテンドー3DS向けゲームが50万回以上ダウンロードされていたという。
訴状によると、RomUniverseでは2009年ごろから任天堂ハードのゲームを扱い始め、2013年からは年額30ドルの有料会員に無制限のダウンロード本数およびダウンロード速度を提供するサービスも開始。ひと月あたり数十万人規模のアクセスを得ていたとのこと。同サイトを実質的にコントロールしている被告のMatthew Storman氏はもちろん、運営を手伝っていたという関係者の被告も、そうした収入から利益を得ていたとNintendo of Americaは主張している。
そしてNintendo of Americaは訴状にて、ROM配布による著作権侵害について一件あたり最大15万ドル(約1600万円)、RomUniverseのウェブサイトや海賊版ゲームによる商標権侵害について一件あたり最大200万ドル(約2億1500万円)の損害賠償を支払うようRomUniverseに対して求めている。侵害行為の件数は千本単位のため、合計すると膨大な金額になる。また、これらの侵害行為を永久にやめることや、任天堂が権利を保有する各種コンテンツの海賊版の破棄、ウェブサイトのドメインのNintendo of Americaへの移管も合わせて要求している。こちらは、事実上RomUniverseの閉鎖要求だろう。
任天堂は昨年にも別の海外ROMサイトを訴えており、当時も今回と同じく著作権侵害に一件あたり15万ドル、商標権侵害に一件あたり200万ドルの賠償金を求めていた。この件では被告は任天堂と和解。権利侵害行為を認め、任天堂にウェブサイトのドメインを引き渡してサイトを閉鎖し、1223万ドル(約14億円・当時)を支払ったとされる(関連記事)。本稿執筆時点では、RomUniverseはまだ運営が続けられているようだが、違法行為をおこなっていることは明らかに思えるため、本件についても昨年のケースと同様の結末を迎えることになりそうだ。