勤労感謝のゲーム / Nov 4th
Gamers Geographic 日本語版ライター陣が一週間にプレイしたゲームについて労働の素晴らしさを噛みしめながら省みるのが[Now Gaming] です。毎週土曜定期更新予定。
Nobuki Yasuda – 可逆性とゲーム
ゲームする気になれませんでした。
失敬。いろいろとあるまじき態度です。自覚はあります。しかし理由もあるのです。
つい先日京都の某所を運転していた折のこと。路上駐車しているクルマを避けようとしたとき目測を見誤り、サイドミラーを当ててしまったのです。さい わい相手方の車両には誰も乗っておらず、こちらも怪我人なし・(なぜか)物損なしという結末で、私の免許の色と保険料が変わるくらいで済みました。
無論財布へのダメージもかなりのもので、将来的な支出を算出するとPlayStation 4 と Xbox One を買えてしまったかもしれません。しかし、それ以上につらかったのが精神面です。知恵熱を発し丸一日倒れてしまいました。私のペペローションよりは堅く豆 腐よりは柔らかいメンタルにはあまりにも厳しい試練だったのです。
そして覚醒した私はついに天啓を得ました。「乗り物は大事だ」と。
今まで『BATTLEFIELD 4』をプレイする際、ビークルを使い捨てるメンタリティが捨てきれていませんでした。ヘリも鹵獲されなければ乗り捨て上等、バギーなんて C4 を貼り付けてから発進するもの。技術不足由来の情けないプレイングですが、なによりも”乗り物への愛”が欠落していました。
冷静に考えてください。兵器はとても高価なのです。『Call of Duty 4』では死亡時にさんざん説教されています。そう、戦闘機は100億円以上するのです。とてもスピーディーなタクシー扱いするだなんてもってのほか。ヘリ だってロケットランチャーのマトではないのです。
私、安田は考え方を変えました。ゲームだから、リスポーンするから、スコアに直接残らないから……そんな理由で乗り物を軽々しく扱ってはなりませ ん。ゆきずりの関係ではありません。一期一会です。ヘリは、戦車は、APCは、戦闘機は、相棒なのです。戦場で命を預ける盟友と最後まで共に限界まで戦い ぬきたい。命と機体を投げ捨てることなく、最大限の戦果を上げるのです。
UnFreeMan – 銃弾と舞台のはざま
海外ではPS4、Xbox Oneといった次世代機がついに発売を迎え、大いに盛り上がっている。私はといえばこの数日間、海外版を輸入購入するか真剣に検討していた。
しかしPS4は『Knack』、Xbox Oneは『Crimson Dragon』くらいしか遊びたいゲームがなく、しかもこの2つは国内版が出るのがほぼ確定しているので、わざわざノーサポートの海外版を購入する理由には成り得ないという結論に達してしまった。
そういうわけで、発売されたばかりの『スーパーマリオ 3Dワールド』を購入して遊んでいる。3DSの『3Dランド』を発展させた安定の高クオリティを誇る内容となっており、機種とシリーズを飛び越えて飛び交うFPSの銃弾や、新ハードの技術デモ的なラインナップが乱舞する中においてこの存在はもはや癒やしですらある。
『3Dランド』と絵面が似ているだけに、立体視が欲しくなるのも確か。カメラ方向等に相当気を使っているのも理解できるが、敵を踏みつける際の目測のつけやすさが段違いだ。これは『The Wonderful 101』でもそうだったのだが、こうした3Dアクションと遠近感の関係はどうにかして解決して欲しい。
据え置き機にも立体視をつければよいのかもしれないが、私は普段使いの眼鏡があるせいで3Dゴーグルが使えないのだ。裸眼立体視の存在は偉大だ。
ishigenn – そうそうこういうので良いんだよ
いつものように Steam Greenlight をあさっていると、サムネイルからあきらかにヤバい臭気を放つ『Hit Othes』 と目が合いました。「駄目だマズい!」と即座にページを閉じ、数分ほど『おかあさんといっしょ』を見て善の意識を繋ぎとめようとしたものの、そのうち左腕 と右瞼の震えが止まらなくなり、両足から黒い虫が這い上がってくる。生ゴミのカクテルみたいな雰囲気に久々に焚き付けられ、僕の理性という名の壁は容易に 陥落しました。
『Hit Others』は宣伝用の無料ゲーム。大麻と売春が解禁されている天国オランダのロックバンド Bullerbar が、 自身のアルバムを売るためゲーマーに尻を振りコツコツと作った作品です。ゲーム自体はタイトル通りライブ会場に居る他の奴らをブン殴りまくるというもの で、DJ 用の機材と鍵とレコードを集めつつ、演奏が終わるまでにどれだけ人を殴ったかでハイスコアを目指す内容となっています。
ゲームの攻略法としては、まずパワーアップアイテムである酒をかき集めてキャラクターの能力をアップし、それぞれ定位置に居るDJ機材を持った奴ら をブン殴りにいくこととなります。各所にあるトイレで誰かの体液と混ざり合った酒をあおってハイな意識を保ちつつ、DJ 機材を集め終えたら最後にステージ前の鍵を持っている集団にダイブしつつクリック連打。マップとキーアイテムを持つ奴らの居所を覚えるのが最短クリアへの 道です。おそらく日本史上初の『Hit Others』攻略ルートは以下の通り。
『Hit Others』攻略ルート
- まず真っ先にステージから見て前方左側のトイレに入り、個室にある合計4つの便器から酒瓶を取得する。2つある個室の便器から全ての酒を飲むとパラメーターがほぼマックスになる。
- 以降、道中でレコードを持ったライブ客を見かけたら殴りかかりレコードを入手する。レコードは合計11枚。
- 個室の出口右側にある階段から上階へと向かい赤いアイテムを持っている客を殴り飛ばす。1つ目のターンテーブルを入手。
- ステージから見て前方右側の一室へ。一階には便器から酒瓶を取得。上階へ向かい客を殴り飛ばして2つ目のターンテーブルを入手。
- ステージ両脇にある入り口からバックステージへ侵入。裏手の階段から上階へ向かうと、ミキサーを持った客が居るので殴り飛ばす。足場が非常に不安定なため注意。
- 上階からそのままステージ前の客の一団へとダイブ。緑色の鍵を3つ取得するまで殴り飛ばし続ける。
- 時間切れスレスレまで残りのレコード回収とスコア稼ぎの客殴りを続行。なおレコードは11枚全てなくともクリア可能。
- 最初に向かったトイレの上にある DJ ブースにアイテムを投入する。
このゲームは言わば酷い方の『Hotline Miami』 です。昨年リリースされ2012年ベストインディーゲームの呼び名も高い『Hotline Miami』は、その残虐なグラフィックやスピーディーなアクション、高揚感溢れるBGMや未来の無いストーリーが渾然一体となった完成度の高い作品でし た。対して『Hit Others』はスカスカのアクション、汚泥のようなグラフィック、ヤク中が描いたかのような人物デザインとアニメーション、酔っぱらいみたいな操作性、バカみたいなクリック連打、パワーアップアイテムの酒が便器に詰まっているなどの要素がイカしたロックサウンドで素晴らしく調和し、やみつきになるような「酷さ」と「チープさ」を強調しています。まさにオランダロック産セックス・ピストルズ。酒場の喧嘩は吐瀉物の味です。そういえば『GTA V』クリアしました。