単に問い合わせに対応するだけがカスタマーサポートではない、マーケティングアソシエーション株式会社 営業課課長・飯塚慶太氏。GTMF 2016 Meet-Ups

7月15日、「秋葉原UDX GALLERY NEXT THEATER」にてGTMF東京が開催された。大阪会場に引き続き、プレゼンイベント「Meet-Ups」に登場したプレゼンターへのインタビューを掲載する。第11弾は、マーケティングアソシエーション株式会社アウトソーシング部の営業課課長である飯塚慶太氏。

7月15日、「秋葉原UDX GALLERY NEXT THEATER」にてGTMF東京が開催された。大阪会場に引き続き、プレゼンイベント「Meet-Ups」に登場したプレゼンターへのインタビューを掲載する。第11弾は、マーケティングアソシエーション株式会社アウトソーシング部の営業課課長である飯塚慶太氏。

 

カスタマーサポートだけでなくQAやデバックも

マーケティングアソシエーション株式会社は、東京都千代田区神田と名古屋市中村区に拠点を持つ企業だ。ソーシャルゲームやアプリのユーザーサポート、さらにはQAやデバック業務を請け負っており、各業務を連携させ迅速に対応できることが同社の強みだと飯塚氏は語る。

また飯塚氏は「VOC分析(Voice of the Customer)」についても触れ、同社では問い合わせメールや不具合の報告を一元管理し分析していると解説した。不具合の情報を蓄積し、影響度や傾向などを分析することで、トラブルに重要度や優先度などを付け会社へフィードバックすることができる。またこれらの情報をベースにし、公式サイトのFAQ作成やわかりづらい解決方法の説明ページなどを用意することも得意としているという。

カスタマーサポートの代行によって、クライアントは人的コストや作業工数を削減することができる。さらにマーケティングアソシエーションが持つQAやデバックといった業務との連携により、対応スピードが向上しユーザーの離脱を防ぐことができる。問い合わせ件数の削減や、不具合修正の早期発見などをアピールしつつ、飯塚氏はプレゼンを締めくくった。

 

CSは問い合わせへの対処だけではない

――公式サイトを拝見させて頂いたのですが、ビデオゲームに関する表記が1つもないようにお見受けしました。業務的にはどのようなことを行っているんでしょうか。

飯塚 慶太氏:
業務としては、いわゆるコールセンターやカスタマーサポート業務をアウトソーシングで提供するというのが、我々のサービスです。ゲーム会社に特化しているんですが、実はそれ以外にもメーカーさんやWebのサービス、通販などを対象にしたものもありまして、公式サイト上ではすべての業務に対応していることをアピールしています(笑)

――ゲームではたとえばどのような仕事をしてきたのか、というのは言いづらいですよね(笑)

飯塚氏:

ゲームメーカー様との守秘義務があり、具体的なゲームタイトル名のお応えが難しいのですが……。元々は、コンシューマゲームやオンラインゲームのカスタマーサポートの割合が多かったのですが、いまはソーシャルゲームやアプリのカスタマーサポートが非常に増えていますね。

――全体の業務の何割ぐらいがゲームでしょうか。

飯塚氏:
ゲームの方はだいたい3割から4割ぐらいですね。

――特にどういったタイトルのサポートを手がけていますか。

飯塚氏:
ソーシャルゲームとかアプリとか、最近は非常にこの辺りが多いです。

――マーケティングアソシエーションは東京と名古屋に会社があるとお聞きしました。サポート業務の会社で名古屋にも拠点があるというのは、なかなか珍しく思います。

飯塚氏:
ゲームのカスタマーサポート業務は、名古屋のセンターがメインでやっているんですよ。当社の特色でもあるんですけど、名古屋の方は24時間365日体制で動いているんです。

我々のサービスはカスタマーサポート、つまりユーザーさんの対応がメインなんですけど、それ以外にデバックの体制も社内で持っています。名古屋のセンターがあるので、24時間体制でゲーム内のチェックをしたり、ネット上のユーザーの声を調べたりしてトラブルに迅速に対処することができるんですね。

――近年、SNS上などで一斉にユーザーたちが運営の不手際に不満を突きつける、いわゆる炎上状態になってしまうようなパターンをよく見ます。ああいった問題にはどのように対処されているのか、以前から気になっていました。

飯塚氏:
ユーザーさんがまずネット上にそういった不満を書き込むと思うんですけど、それをまず検知して把握しなければならないんですね。我々はその不満の元がなんなのかを分析して、ゲーム会社さんの方に報告することになります。トラブルがあった時には、ネット上のユーザーの動向を調査して原因を突き止め報告する、この一連の行動のスピード感を早めることです。あとは報告を受けたゲーム会社さんにはトラブルの元となった部分を直していただいて、公式サイトとかで告知をしていただくと、ある程度は炎上もおさまるようになる。そこをどれだけ早められるかというところで、我々は努力をしていますね。

――24時間体制の強みということですね。

飯塚氏:
24時間、名古屋のセンターでトラブルに対処しています。

――いま、カスタマーサポートの業界全体で求められているものとは一体なんでしょうか。

飯塚氏:
「ユーザーの対応」と聞くと、みなさんもしかしたらお問い合わせに対応することをメインと考えるかもしれないんですけど、我々の感覚でいうとユーザーさんの不満を減らしたり、ユーザーを離脱させないためにどうするのかっていうところを結構見てるんですね。なにが原因なのかを分析して、問い合わせの原因となった不具合をいかに減らせるのか、問い合わせに対しいかにスピード感を持って対応できるのか。ユーザーが本当に不満を持っている部分はどこにあるのかを、我々の方で調査をしてレポートする。単なる問い合わせへの対応だけではなくて、その裏側でユーザーの動向をチェックしたり、ユーザーに対するレスポンスを早めるといった姿勢が、強く必要だと思います。

――マーケティングアソシエーションの強みは、ほかにもどこにあるでしょうか。

飯塚氏:
我々はユーザーのサポートをする上で3つの業務を行っています。1つはカスタマーサポート、1つはデバック、もう1つは監視のサービス。ここをうまくリンクさせるんです。たとえば問い合わせが入ってきた時に、再現確認などテストしなければならない場合は、社内のテストチームの方にすぐ共有してスピーディに対応できます。

監視の方は24時間体制で監視していますので、問い合わせで入ってこないユーザーのストレスとかトラブルの情報を素早くキャッチする仕組みがあります。素早くキャッチしたものをゲーム会社さんにフィードバックすることで、炎上の手前側で防げるというところがある。カスタマーサポートとデバックと監視を融合させているところが、特徴と強みではないかなと思っていますね。

――本日のMeeting-Upsでは、株式会社ラクスさんがスポンサーになっています。

飯塚氏:
株式会社ラクスさんは、問い合わせメールの共有管理ツール「メールディーラー」というサービスを提供しています。システムですね。我々は問い合わせメールの対応業務をこの「メールディーラー」を使って運用しています。運用側とシステム側ということで、よくお仕事させていただいたり、イベントにお邪魔させてもらったりという関係ですね。

――イベントというと、飯塚様は何度か公演もされてるようですが、今日みたいにカスタマーサポートに対する信念を熱く語ってこられてきたようですね。

飯塚氏:
企業にコストを支払っていただいてカスタマーサポートを代行しているので、単にユーザーの問い合わせに回答すれば代行できたというわけではないと思っています。本質的にユーザーさんの顧客満足度を上げるということに対してサービスを提供しているというのが、我々が信念を持っているところになりますね。

――GTMFでは国内のゲーム業界人が多数集まっています。なにかメッセージがあればお聞かせください。

飯塚氏:
ゲーム業界のなかでカスタマーサポートを業務委託するというケースは非常に多いんですけど、単に問い合わせに対して返答するだけにませんか?といった疑問を投げかけたいですね。カスタマーサポートは突き詰めていくといろいろなことができます。ユーザーの問い合わせを分析して、ユーザーに対するストレスや不満点を洗いだして、そこに対する解決策を導き出す。問い合わせに対して返答すること以外にもできることがあって、そういった部分に魅力を感じる方がいれば、ぜひお問い合わせいただきたいなと思います。

――ありがとうございました。

 

gtmftokyo-9

 

[聞き手・写真撮影 Shuji Ishimoto]

gtmf-profGTMF
GTMF(Game Tools & Middleware Forum)はアプリ・ゲーム開発・運営に関わるソリューションが一堂に会するイベント。2003年にスタートし、今年で14年目。大阪会場は2016年7月6日、東京会場は7月15日に開催。

 

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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