集団アクションRPG『Super Dungeon Run』、現時点では良くも悪くもモバイルゲーム

第9回でピックアップする『Super Dungeon Run』はマウスだけで遊べるアクションRPG。現在はSteamにて早期アクセスとして498円で販売中。独特の操作感は楽しくもあるがストレスでもある。

One Coin Gamer」 は、1コインつまりは定価500円以下で購入できるゲーム(ただしモバイル向けを除く)を紹介する連載企画。サクッとプレイできる良いゲームを求めている人、奇天烈なゲームを求めている人、とにかくお金を節約したい人たちに向け、魑魅魍魎の低価格帯ゲームを実際にプレイし、面白い面白くないに関わらず紹介してゆく。

第9回でピックアップする『Super Dungeon Run』はマウスだけで遊べるアクションRPG。現在はSteamにて早期アクセスとして498円で販売中。デベロッパーは過去にパズルゲーム『Flock!』を手がけたProper Games。また、良い意味でトゲのある作品(『I Am Level』など)をモバイル向けに販売しているSmiling Bagとのコラボレーションでもある。当初はモバイル向けのゲームとして開発が進められていたようだが、のちにPC向けにプランを変更したという。はたしてそれは吉と出るか凶と出るか。

 

Super Dungeon Run

『Super Dungeon Run』の特徴は、ひとりのヒーローが冒険するのではないという点だろう。プイヤーは複数のキャラクター(初期状態では農民)で構成されたパーティを操り、さまざまなモンスターを倒し、アイテムやゴールドを集めながらダンジョンを探索していくのだ。本作はアクションRPGというジャンルに入るのだが、攻撃は基本的に自動でおこなわれ、プレイヤーはマウスを使って移動ポイントを決定するのみである。たとえば床に設置されたボタンを押したいのであれば、そこにマウスポインタを持っていき、クリック&ホールドすればキャラクターが集合する。攻撃に関しては目標をクリック&ホールドするのではなく、モンスター付近にキャラクターを移動させればいい。『StarCraft』などのように、複数のキャラクターをマウスドラッグで選択したり、グループ分けしたりといったことはできない。

「何が出るかな?」なんてワクワクはない。
「何が出るかな?」なんてワクワクはない。

いざダンジョンに入ると、そこにはエントランスがあり、3つの宝箱が設置されている。赤い宝箱からはキャラクターの衣装、青い宝箱からは回復ポーションが手に入る。宝箱から出現したキャラクターはそのまま仲間に加わるというわけではなく、黄色いフードの農民が衣装を着替えてクラスチェンジをする。つまり初期の農民6人の状態で赤い鎧の戦士を手に入れると、戦士1農民5になり6人のままというわけだ。このクラスチェンジは農民しかおこなえない。もし全員が戦士の状態で戦士を手に入れると、パーティメンバーの一人のレベルが上昇する。また、同じ状態で別のクラスが出現した場合は何も起こらない。ただしキャラクターのステータスは確認できないため、レベルアップによって何が変化しているのかはわからない。

ゲームの世界でもお金は大事。
ゲームの世界でもお金は大事。

ダンジョンは複数のフロアに分かれており、各フロアは数秒から2分ほどでクリアできる短いものとなっている。各フロアには「倒したモンスターの数」「集めたゴールドの量」「クリアまでにかかった時間」という3つのチャレンジがあり、達成状況に応じてボーナスとしてゴールドを得られる。このチャレンジはそれほど気にすることではなく、達成しなければ先に進めないということもない。

Outfitをアンロックした衣装は、ダンジョン内の宝箱からランダムで出現するようになる。
Outfitをアンロックした衣装は、ダンジョン内の宝箱からランダムで出現するようになる。

『Super Dungeon Run』の拠点となるのが村である。ダンジョン内で手に入れたゴールドや素材は、この村で使用する。「Tavern」ではクエストの管理やレベルアップによって獲得できるポイントの割り振り、「Market」では新たな衣装の購入やアイテムのクラフトなどをおこなう。本作におけるクラフトは、アイテムの効果を高めることである。すべての項目にレベル制限があり、ゴールドや素材さえ集めれば強くなれるというわけではない。

 

トラップの脅威

マウスだけを使った操作はじつに独特である。すべてのキャラクターはきびきびと動くわけではなく、まるでスケートリンクの上を滑るようにつかみどころのない動きをする。狙ったモンスターを的確に攻撃してくれることはなく、これをストレスと感じるのか、それとも「もどかしいから面白い」と感じるかは人によって違うだろう。

本作の魅力であるパーティを操作するという点がよく活きるのは、ダンジョン内のトラップである。初期状態では6人だが、レベルアップで得られるポイントを割り振ればパーティの人数を増やせる。もちろん増えれば増えるほど戦闘は有利になる。しかしトラップを避けるという点では不利になってしまう。キャラクターは自動では攻撃してくれるのだが、トラップは避けてくれないのだ。以下のスクリーンショットのような部屋の場合、何も考えずに突っ走るとあっという間に全滅寸前になってしまう。

独特の操作感はトラップを悪魔に変える。
独特の操作感はトラップを悪魔に変える。

 

戦闘はややストレス

以下に掲載するスクリーンショットを例に話を進めると、いかにも悪魔風のモンスターを攻撃しているあいだ、少し離れた位置にいるスケルトンからは一方的に攻撃される。逆にスケルトンを狙えば、また別のモンスターから攻撃される。中途半端な位置にキャラクターを移動させれば複数のモンスターを攻撃してくれるのだが、何もせず棒立ちになるキャラクターも目立ってしまう。ならばさっさとフロアのゴールへ進めばいいのだが、逃げようとしても自動的に攻撃を始めてしまう。さらに困ったことに、先を急ぐとパーティの誰かが曲がり角でひっかかってしまうことが多い。

独特の操作感は戦闘には活きていないかもしれない。
独特の操作感は戦闘には活きていないかもしれない。

 

良くも悪くもモバイルゲーム

ダンジョンのレイアウトは毎回変化するのだが、プレイ感が大きく変化するということはない。また、キャラクターを育てるためにひたすら同じことを繰り返すというゲームプレイは、モバイルならではの「作業ゲーム」といったところ。現状のままアイテム課金を導入してもなんら違和感がない。

レベルを上げてパーティメンバーを増やし、数種類のクラスを混同させて冒険できるようになれば楽しさが増す。ただ、そこまで育てる忍耐があればの話だが。モバイルではなくPCで出すのであればメモリを気にすることもないだろう。最初からパーティメンバーを10人以上にすれば、もっと個性が出るのではないだろうか。

現在『Super Dungeon Run』は早期アクセスである。まだまだ改善されていくだろうし、コンテンツも増えていくはずだ。

Shinji Sawa
Shinji Sawa

ゲームはジャンルを問わず遊びますが、1回のプレイ時間が短いものが好きです。FPSやRTSは対戦モノを積極的にプレイします。しかし緊張するとマウスを持つ手が震えるタイプでもあります。

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