ゴールデンルールで淹れる紅茶

ゲームとあまり関係ない話題で執筆陣の正体をあきらかにしてゆく「Not Gaming」第2回は私、齋藤がお送りします。当初はアルコールにまつわる話でも書こうと考えておりました。しかし、予定は変更されるものです。原因は(私事にて恐縮ですが)先週の日曜日に動けなくなるほど食べてしまったから。この胃の調子では酒の話をする気にはなれません。

ゲームとあまり関係ない話題で執筆陣の正体をあきらかにしてゆく「Not Gaming」第2回は私、齋藤がお送りします。当初はアルコールにまつわる話でも書こうと考えておりました。しかし、予定は変更されるものです。原因は(私事にて恐縮ですが)先週の日曜日に動けなくなるほど食べてしまったから。この胃の調子では酒の話をする気にはなれません。

しかしながら「口にするもの」にしようという考えはかわりません。それでは、Not Gaming第2回、「ゴールデンルールで淹れる紅茶」です。

 


正しい紅茶とは

 

私は私が面白いと思うことが好きです。しかし、なにか新しいものを飲食する経験が得られるのであれば、私はまず正道をえらびます。そこで正しいとされるものを一度見てから、面白いとされる方向へ走っていきます。では、正しくおいしい紅茶のいれかたとは?紅茶の業界団体である日本紅茶協会のwebサイトではこのような紹介がされています。

また、英国王立科学協会も「How to a Perfect Cup of Tea」というネタめいたプレスリリースを出しています。翻訳されている方がいるので、英語を読むのが面倒であればこちらをご参照ください。ちなみにミネラルウォーターが適さないというのは、ヨーロッパで一般的なミネラルウォーターは硬水だからだと思われます。

この2者がまったく同じというわけではありませんが、おおまかな方向性は同じです。新鮮な水をつかう。ポットとカップをしっかりとあたためる。お湯の温度はできるだけ高く。ミルクはあたためない。これらが守られていれば、自分でいれて飲むレベルであれば正しいといえるのではないでしょうか。

蛇足ですが、「ゲームのサイトで紅茶の話題かよ、気取りやがって」な向きのために念のため言い訳をしておきます。紅茶に挑んだことのある方ならばおわかりいただけると思うのですが、紅茶はトライアンドエラーをくりかえし、茶葉はいうにおよばず器具、時間帯、その他もろもろについて自らの手で理想を追いもとめるという側面が強くあります。もちろん業界団体などが制定する手法はありますが、自分がもとめているものがその方法でよいのかという問かけは必要です。失敗しても発生するリスクはいまいちな紅茶を飲むはめになるだけです。自分のための一杯である以上、向きあうべきは自分であり、誰かからなにかを成果としてもとめられることはありません。もちろん、他者へふるまうときは別ですが。

こうした性質は、すなわちハック&スラッシュ的であり、死にゲー的でもあります。最適化とリトライによってゴールをめざします。しかしながらリセットボタンもロードもなく、10回20回と飲むわけにもいかないため、チャレンジには限界があります。奮発して買ったよい茶葉でいつもどおりの動きをして失敗することもあるでしょう。そういった観点でとらえれば非常に難易度が高い”ゲーム”といます。紅茶をいれること、これもまた広義のゲームの1つなのです。

 


準備

 

今日はイングリッシュブレックファースト。
今日はイングリッシュブレックファースト。

 

紅茶の種類はフレーバードティーもふくめると多彩です。英国王立科学協会で推薦している茶葉はアッサムですが、無理にこだわることもないでしょう。フレーバードティーで有名どころは「ルピシア」。近隣の百貨店などに店舗があれば、いろいろなお茶が手にはいります。また、価格重視であればトワイニングの缶がおすすめです。

私の家にはヤカンがないため、お湯をわかすときは電気ケトルを使用しています。3000円程度と安価でお湯もすぐ沸騰して便利ですが、意外と電気を食うのでブレーカーの容量には気をつけましょう。

ポットは耐熱ガラス製のものを使用しています。温度の維持という意味では不利ですが、普段飲みとして重要な要素である掃除が非常に楽になります。ガラスなので茶渋もつきません。注ぎ口が筒になっていないものであれば、茶殻を捨てるのも楽になります。ポットの頭に流し用のネットをかぶせて水をいれて流すだけです。

 


楽なスタイルを模索する

 

ポットの部分でも言及しましたが、普段飲むものであれば楽をすべきです。とはいえ、それなりにきちんとした紅茶を飲みたいとなると、最低限の味を保証するとされる要素については守るべきでしょう。私が日頃くりかえしている範囲で、ほんとうに大事だと感じたことは先ほどしめしたおおまかな方向性と合致しています。

私の実家ではとくに紅茶というものにたいして情熱を持っているような家庭ではありません。ポットどころかあたためていないカップにティーバッグ、そして注がれる電気ポットのお湯。これでは、ちょっとお高いインスタントコーヒーのほうがまだマシかもしれません。そういった環境で紅茶を飲むこと自体がすくなかったため、私の紅茶観は結婚してからつくりあげてきたものです。

「口にするもの」。それは衝撃的なレベルのものであれば、強く印象に残ります。水ですらそれから逃れることはできません。しかし味覚は非常に主観的なものであるがゆえに、経験ももとめられます。苦みにたいする感じかたはとくに顕著ですが、年齢によって価値観がかわるものもあります。そう、味は変化するのです。日頃から味わっているものも、あるときふと思うとこんな味だったかと首をかしげることがあります。これは避けがたいものであり、むしろ楽しむべきものだと私は考えます。

この点においても……やはりゲームと似ている。そう思いませんか?

 


“最適”なスタイル

 

話を紅茶に戻しましょう。私の場合は下記のようなフローですすめています。ただしこれはあくまでも私の家のキッチンで私が行う場合はこれが一番と結論づけたものです。一般的には、一度味を再現したら何度かくりかえして検証することで身につけるものです。ゲームだろうが紅茶だろうが、おおまかな方向性をさだめ、細かな方向性の修正を考えて動く必要がないよう体に叩きこめばいろいろなことが効率的、冷静にこなせます。反復練習は偉大です。

  1. 使用するものを全部出しておきます。時間制限があるので、効率的である必要があります。
  2. 電気ケトルに水をいれる。量は飲むカップではかると楽です。
  3. お湯をわかしている間に、ポットとカップに電気ポットのお湯をいれあたためます。
  4. お湯がわききる直前にポットのお湯を出し、茶葉をいれます。わく直前の音は覚えましょう。
  5. お湯がわいたら素早くポットに入れ、タイマーをセット。
  6. タイマーが鳴る30秒ほど前にカップのお湯を出し、ミルクを入れます。分量は慣れです。
  7. 紅茶を注いでできあがり。
  8. 飲み終わったら茶殻を捨てて終わりです。

望ましいものが安定して作れるようになれば、家で手軽にお店の味を楽しむことができます。

 


好きなようにやりましょう

 

ある種のチートツール。 ボタンを押すだけで人に出せるレベルのお茶ができます。
ある種のチートツール。ボタンを押すだけで人に出せるレベルのお茶ができます。

 

我が家では料理は科学であると定義されています。重要な要素を見きわめ再現性のあるものを再現していきます。このあたりはゲームにたいするアプローチとかわりません。トライ&エラーで検証し、自分のスタイルと相談して一番よいパターンに落としこんでいきます。あくまでそこにいるのは自分、もしくはそれをふるまう相手だけです。余計な外野はいません。

料理やこういったお茶、コーヒー、酒類を楽しむ手法は非常に属人的です。どのレベルまでがんばるか、どこを手抜きするかというのは人それぞれです。ある種の究極形として、課金アイテムをつかうというのもあります。お値段は10カプセルで756円より。味の調整はできないため、ミルクを入れるとすこし薄く感じますが、手軽さではずば抜けています。フレーバーティーから白茶までという幅広さも魅力です。フレーバーはこちらを使うといったふうに、ケースによって使い分けるというのもありでしょう。

 

 

仕事や趣味で真摯に紅茶に向きあっている方々にとっては、こういったガジェットは邪道かもしれません。しかし、そういった方々とはゴールがそもそもちがっているのです。自分が納得する味に向かっていくところまでは同じですが、その過程すら自分が納得するための要素なのか、結果が納得できればよいのか。誰かにふるまうかどうか、金銭は発生しているかどうか。紅茶というゲームにどう向きあうかは自分しだいです。

もちろん、こういった要素は紅茶にかぎりません。安田も以前論じておりましたが、ゲームというのは人生を楽しんでいくための考えかた、ライフスタイルのひとつだと考えます。総じてこういったものは、つまらないと考えればつまらない、つらいと考えればつらいものです。せめて自分が好きにやれることぐらい、楽しんでいくのがよいのではないでしょうか。

Hirokazu Saito
Hirokazu Saito

アルコール・お茶・コーヒーなど、飲むのに面倒な飲み物全般に強い興味があります。30代前半、既婚。都内から電車で1時間ちょっとの僻地住まい。メガネの女の子が好きですが妻はメガネをかけてくれません。

最近ようやく足を洗い始めましたが、オンラインゲームで時間を消滅させていました。激しく動く系のゲームは酷使した目がついていかないのであまり得意ではありません。30台から感じる老化です。

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