インディースタジオWube Softwareは5月29日『Factorio』コミュニティ向けの週間レポートFriday Factsを更新し、同作の正式リリースを2020年8月14日に変更することを発表した。本作はもともと、「区切りをつけなければ永遠に開発してしまう」として9月25日の正式リリースがアナウンスされていたが(関連記事)、当初の予定より6週間早まってのリリースとなる。背景には、9月17日に発売される『サイバーパンク2077』との兼ね合いがあるという。
『Factorio』は現在、SteamにてPC/Mac向けに早期アクセス配信中のシミュレーションゲームだ。プレイヤーは不毛の土地に不時着し、生存を賭けてさまざまなクラフト活動を始める。最初にできるのは木の伐採や鉱石の採掘といったごく原始的なことばかり。しかし地道に技術開発を進めると、やがてロボットアームやベルトコンベアーといった機械設備を生産できるようになる。ここからがゲームの本番で、素材の確保から製造・運搬までをどんどん自動化することができるのだ。やがてソーラーパネルや石油の精製分解施設といった巨大な設備が生まれ、プレイヤーは一大産業プラントを管理することになる。拡大と自動化の無限ループを繰り返すことで、より広大で緻密な工場を目指すのだ。2016年2月にSteamで早期アクセスリリースされて以来、コミュニティの声も取り入れながら開発を進めてきた本作はすでに高い評価を獲得している。
そんな『Factorio』は4年もの開発を経て、昨年11月にようやく正式リリース日を発表。2020年9月25日に晴れてバージョン1.0をお披露目するはこびとなっていた。ところが年が明け、予想外の展開が起きる。今年1月、CD PROJEKT REDが『サイバーパンク2077』の発売日を4月16日から9月17日へ延期するとアナウンスしたのだ。延期先の日付は、実に『Factorio』正式リリース予定日の1週間前である。Wube Softwareは、かくも大作と近しい日程で発売してはプレイヤーの関心を得られず、ネガティヴな影響をもたらすと判断。リリース日を予定より早めるか、もしくは大幅に遅らせるかの2択の決断を迫られた。
結果的に「予定より早める」という選択をとったことについて、理由はいくつか述べられている。まずひとつに、予定していた目標がいくつか削減されたこと。昨年11月に正式リリース日をアナウンスした時点ではいくつか達成すべきゴールが挙げられていた。新たなキャンペーンの追加や膨大なアルゴリズムの改良、GUIの全面的な書き直しなどだ。しかし、キャンペーンの追加については今年1月の方針転換によってすでにキャンセルされたことが週刊レポートで伝えられている。またアルゴリズム改良は延期されたほか、GUIのリライトも取りやめになったことが先週のレポートで明かされていた。このように、各要素がそれぞれの理由でカットされたことにより、予定より早いリリースが可能になったと語られている。
逆にいえば、先にプロジェクトがスリムになったから『サイバーパンク2077』より早い発売が可能となったのであって、『サイバーパンク2077』のために要素をオミットするようなことはないとのこと。このほか前倒しの理由として、「予定はどうせ遅れる」との見込みで9月発売を予定したら思いのほか開発が順調に進んだこと、そして早く正式版を出せばその分早く次の追加コンテンツに着手できることなどが挙げられている。新たなリリース日までの残り2か月半は、最終的な調整・トレイラー作成・マーケティング素材の準備に注力するという。また本作の翻訳については長らくクラウド型の翻訳プロジェクトサービスCrowdinによる有志翻訳が大きく貢献してきたが、今後は未訳部分や校正作業を補うため、ドイツ・ベルリンに拠点をおくローカライズ専門企業Altagramと提携することを明かしている。
『Factorio』は8月14日にSteamにてPC/Mac向けに正式リリース予定で、日本語にも対応している。現在は早期アクセス配信中、価格は3000円だ。