怪作RPG『星をみるひと』が蘇る、Nintendo Switch向けに今年夏リリースへ。33年の時を経て蘇る不条理な世界

 

株式会社シティコネクションは5月1日、SFファンタジーRPG『星をみるひと』をNintendo Switch向けに2020年夏リリースすると発表した。価格は990円。本作は、1987年にホット・ビィより発売されたファミリーコンピュータ用ソフト。ベースとなる部分はそのままに、いくつかの新機能を携え配信される形だ。

『星をみるひと』は、荒廃した未来都市を舞台とするコマンドバトルRPGだ。時は遠い未来。巨大都市アークシティは、管理コンピュータ「クルーIII」の支配下にあった。ここでは住人の心さえも管理されており、都市にとって不都合な人物は即座にマインドコントロールによって思考を書き換えられる。しかし、人々の中にはマインドコントロールを受けない者たちも存在した。主人公の少年みなみもその中のひとり。みなみは自身の記憶、そして世界の謎を解き明かすべく、仲間たちとともにクルーIIIの脅威に立ち向かっていく。

『星をみるひと』は、SFをテーマにしたハードな世界観や当時としては珍しかったマルチエンディングシステム、ハイセンスなBGMなどが評価される一方で、1987年の発売当時から一部ゲーマーのあいだで“異彩を放つ作品”として認知されてきた側面をもつ。その最大の理由としては、極端なまでにプレイヤーを突き放すゲームシステムが挙げられるだろう。まずゲームを開始すると、プレイヤーは一切の説明なく突如フィールドに放り出される。それから最初の街に向かうことになるが、そもそも街を発見すること事態が極めて困難な仕様となっており、序盤の攻略さえままならない。

ゲームプレイ面については、ランダムエンカウントによるコマンドバトル形式を採用。ESP(超能力)や物理攻撃を駆使しつつ、クルーIIIがおくりだしたロボットや改造生物などと戦っていく。しかし、ここでも凶悪難易度が炸裂。序盤に遭遇する敵が異様に強いこと。そのうえ主人公が非力すぎることや、逃げるコマンドさえないことなどが重なり、戦闘面においてもプレイヤーを四苦八苦させる。場合によっては、完全に詰む可能性も。全体的にアンバランスな調整となっており、もはや理不尽と言っても過言ではない場面にも遭遇し得る。

さらに『星をみるひと』を語るうえで、珍妙なひらがな表記の存在も外せないだろう。同作における単語・文章は、会話文からコマンドに至るまでほとんどがひらがなで表現されている。そしてその中には、意味を理解しづらい単語も多数含まれており、UI面においてもプレイヤーの頭を悩ませる。そのほかフィールドの移動速度がやたらと遅いことや、タイトルBGMに対して街の音楽がカオスすぎることなどから、『星をみるひと』は今なお怪作として、一部ゲーマーのあいだでの語り草となっている。

そんな『星をみるひと』がこの度、Nintendo Switchでも遊べるようになるわけだ。今回の発表とあわせて本作の公式ホームページも公開されており、そこでは作品の概要とティザートレイラーを見ることができる。また本作の配信を記念して、一般ユーザーからのイラストを募集している。採用されたイラストは、ゲーム内のメニューから設定可能な壁紙として実装されるとのこと。イラストづくりに自信のある方は、ぜひ応募してみよう。ほかにもホームページにはNintendo Switch版での新機能を確認できる欄があるが、現在は未公開となっている。さらなる詳細については今後、順次明かされていくようだ。

これまで述べてきたとおり『星をみるひと』は、常軌を逸したゲームとして語り継がれてきた作品である。今回Nintendo Switch版のリリース発表に驚いた方も多いことだろう。移植を担当するシティコネクションは、原作にあった難度はそのまま引き継ぐことを明かしている。一方で冒険をサポートするいくつかの機能やオプションも追加予定のようで、ファミコン版よりかは幾分遊びやすい作品となるのかもしれない。

Nintendo Switch版『星をみるひと』は、2020年夏リリース予定。現在鋭意開発中とのことだ。