台湾発のグロテスク絵本パズル『Life Gallery』近日Steamでリリースへ、モバイル版は配信中。単眼の少年がサカナ頭の教団と出会う数奇な悲劇

 

台湾の学生チームによる絵本風パズルホラー『Life Gallery(人生畫廊)』が日本語対応で配信中だ。現在はApp Store / Google Playで購入できる。App Storeでは250円、Google Playではゲーム内購入という形式をとっている。また開発者に伺ったところ、近いうちでのSteamでのリリースも予定しているとのこと。

物語は、ある双子がこの世に生を受けるところから始まる。ふたりのうち弟は、生まれつき片腕を失った姿で生まれてきた。そしてもうひとりの兄はさらに奇妙な見てくれで誕生する。彼は大きな一つ眼の顔をしていたのだ。双子は同じ家庭で育てられるが、隻腕の弟に愛情を注がれる一方、兄は温もりに飢えた生活を送っていた。ところが、ある日家族の前に奇妙な集団が現れる。「フィッシュヘッド教団」と呼ばれる神秘宗教の信徒たちと出会ったことで、奇形の子どもたちの運命は大きく狂い始めることになる。

本作は、単眼の兄の生涯を描いたいくつもの絵画を追いかけることで物語を描く。絵のそれぞれには仕掛けが隠されており、パズルを解いていくことで家族に起きた悲劇が明かされてゆくのだ。進行に沿って主人公の独白がストーリーを彩る一方、ゲームデザインとしては言葉をほとんど排しているのが印象的。パズルの内容も「何をすればいいか」といった指示がまったくなく、描かれたものにあれこれインタラクトを試みるなかで正解を導きだすかたちとなっている。絵を見て直感的に操作がわかるものもあれば、何度も手探りで触れながら法則性を導きだす場面もあり、シンプルながら一筋縄ではいかない難易度となっている。いずれの絵も奇妙でグロテスクなものばかりで、さまざまな「生き物」や「器物」を弄り回していくうちにプレイヤーの脳髄は少しずつゲームの世界観に浸されていく。

本作のグラフィックは名画にオマージュしたものも多い。画像の元ネタはマチスの「舞踏」。

本作を制作したのは台湾のインディーデベロッパー集団・751 Games(柒伍壹遊戲)。学生メンバーで構成されたという同チームは『Life Gallery』が初のリリースタイトルだ。4名それぞれがプログラム・アートデザイン・アニメーションを分担して作り上げたという。平均年齢22歳という彼らがインディーゲームの会社を立ち上げる際には家族との衝突もあったそうだが、時間をかけたコミュニケーションを経て現在は良きサポートを得ているという。実際、メンバーひとりの父親はApp Storeのランキングに張り付いて順位の浮動に一喜一憂していたとのこと。こうした現実での経験も「家族」をテーマとした本作の作風に影響を与えているのかもしれない。今後もあらゆるエキセントリックなゲームを作り続けたいとのことで、処女作で見せつけた独特のセンスに今後も期待がかかるところだ。

本作の公式Facebookでは最新アナウンスがチェックできるほか、アートワークが何度も描き直され洗練されていくプロセスや、「フィッシュヘッドたちには名前がある」といった小ネタまで多彩な情報を楽しめる。

『Life Gallery』は日本語にも対応済みで。App Store / Google Playにて購入できるほかSteamでのリリース予定も伝えられている。