「訛り実況キリンのゲームの中からごきげんよう」は、「訛り実況」で知られる実況者キリン氏が執筆する不定期連載企画。ゲームの紹介、思い出、コラムその他もろもろを、実況のような軽妙なトークと共にお伝えしてゆく。今回のテーマは『Plants vs. Zombies: Garden Warfare』だ。
「アレ?なんだコレ、じわじわ面白いぞ!」
というのが、プレイし始めて数時間経った後の私の感想だった。
いや、最初からめっちゃ期待して値段も他のゲームと比べて安いしオンライン対戦シューターなんて今まであまりやったことがないから挑戦してみよう!と思い立ってPS3版を買ってみたのだ。
この『Plants vs. Zombies: Garden Warfare』(以下、『PvZ:GW』)はその期待をさらに飛び越え、私を銃弾飛び交うガーデンにどっぷり浸からせてくれた。あとなんかぶっ通しでプレイした後ゾンビみたいになった。燃え尽きて。
自分も活躍できている……気がする!
なんといっても、最大24人でひとつの戦場を舞台にバトルができるというんだから熱くなるに決まってる。十分すぎるくらい大規模戦闘を味わえる。戦場というかプラントたちが平和に暮らしているガーデンに、ゲームにハマって廃人プレイしている時の私みたいなゾンビたちが侵略してくるのだ。
プレイヤーはまず、プラント陣営につくかゾンビ陣営につくかを決める。それはすなわちガーデンをゾンビたちの魔の手から防衛するのか、はたまた草花が咲き乱れる桃源郷をゾンビパラダイスに変えたいのか。当然どっちもだろうが、選ぶチームによってパワーバランス、戦場コントロールなどがガラリと変わってくる。まァ、最初はどちらも交互にプレイしてこのゲームに慣れることから始めよう。
……とは言いつつ、すぐに慣れるとは思う。初めてプレイして数時間で既にチームに貢献できているはず。それくらい『PvZ:GW』はとっつきやすいのだ。
そもそも私自身が、このようなTPSやFPSなどのシューティングが……苦手というかヘタの横好きというか。もっとプレイしてみたいのに、射撃の照準を合わせる……エイミングがあまり得意ではない。『PvZ:GW』を初体験する時も、ちょっぴり子犬のように怯えていたものだ。「オンラインでしかも大人数で撃ち合いって……大丈夫か? 無事に生還できるのか? パッケージに描かれているゾンビ、私じゃね? えっ、私ってゾンビなの?」とか思っていた。
「いやっ、プレイする前から臆していてはいけない! 得意なジャンルの幅を広げるためにも世界の荒波に飛び込んでみようぜ!」と一念発起し、すっかりガーデンの住人になった今に至る。
「私がプラントの仲間になるとしたら……キャベツかなァ」などと妄想しながらプレイしていくうち、簡単操作でこれまた簡単に活躍できていることに気付く。ん? キャベツって野菜か。
同様ジャンルの他ゲームと同じく、L2トリガーで狙い、R2トリガーで射撃。他にジャンプもできるし、L1・R1・△/Yボタンにはそれぞれキャラ固有のアビリティを装備できる。基本操作はこれだけ。
普段、このようなゲームをプレイしたことがない人も覚えやすいと思うが、ゲームモードの中には「ウェルカムマット」と呼ばれる、初心者の集まるモードがある。初めての方はまずここでワイワイ楽しみながら、この世界観に浸ってみるのがいいだろう。
初心者「えーでも、エイミングあまり得意じゃないんだけど」
私「大丈夫、私も最初そうだったがすぐ慣れたから」
初心者「慣れたってどのくらい?」
私「初めてのウェルカムマットで……1時間くらいしたらバンキッシュ(キル)数で1位になったくらいかな」
初心者「うるせェレタス!!」
私「キャベツだっつーの!!」
今にして思えば、初めてのプレイでこのゲームから無駄にヨイショされたのがいけなかったのかもしれない。
「コレはイケる!敵をバンバン倒しまくって世界1位になってやるぜ!」と鼻を荒々しく鳴らし、次は「チームバンキッシュ」や「ガーデン&グレイブヤード」、「ノームボム」など他のモードに殴り込みをかけていった。
当然、ボコボコにされて「私、このチームにいらなくね?」とがっくり膝をついた。調子に乗りすぎた。
しかし次の瞬間にはもう復活していた。「もっと脇から攻め上がって慎重に……そしてあの場面はもっと大胆にいけば……」と、頭の中をグルグルとさせながらコントローラーを握る。
見た目のポップさ、そして展開のスピーディーさも手伝い、いくらガックリしようとも「あとちょっと……あとちょっとだけ……」なんてやめ時を忘れてのめり込んでしまうのだ。
敵に倒されたとしてもまったく腹は立たない。それは自分を倒した敵の姿もなんかカワイイから。自分と同じく、キャラを着せ替えアイテムでコーディネートしてあげてるからだ。倒された後にジェスチャーで挑発されると「クッ……」とちょっぴり思うが。
ゲームを彩るキモカワイイ(?)キャラクター
そう、なんといっても重要なのがキャラクターたちだ。海外発のゲームなので、キャラデザインは日本人好みではないかもしれない。しかし、不思議とどこか愛着がわき、だんだんとキモカワイく感じてきてしまう。
私も最初、そのビジュアルから興味を持ったもので「なんかカワイイ……」と心がトキメいたものだ。逆にそのカラフルな世界観が新鮮に見えたのだ。
そしてキャラクターは全部で8人いる。植物と死体なので「人」と数えていいのかどうか。ともかくプラント側4人、ゾンビ側4人の中から、自分に合ったキャラクターを選ぼう。
プラント側には平均能力で使いやすい「ピーシューター」、回復特化で足が速い「サンフラワー」、近距離で真価を発揮する「チャンパー」、遠距離狙撃で他の追随を許さない「サボテン」。
ゾンビ側にも使いやすく、単独で特攻上等な「ソルジャー」、ワープ装置建設やタレット設置など便利な「エンジニア」、回復などのサポート特化のショットガン使い「サイエンティスト」、ガトリングとアビリティが強力な「オールスター」がいる。
……選ぼうと軽く言ってしまったが、そこからさらに、それぞれタイプが異なるキャラクターが枝分かれしていくことになる。
プラント側の「ピーシューター」ひとつとっても、火属性の攻撃が得意な「ファイアピー」や、クリティカル率が高い「エージェントピー」など多岐に渡る。
ゾンビ側も負けておらず、「ソルジャー」なんかは3点バーストの「スーパーコマンドー」、連射速度が速い「スカイトルーパー」など、個性がキラリと光るタイプが勢揃い。
キャラの数が多いと聞くとそれだけで初めてプレイする人は二の足を踏んでしまいそうだが、最初からそんなに選べるわけではない。初期状態で選べるのが8人ということだ。
それ以上キャラを増やしたかったら、オンライン対戦で揉まれ、なんとか決着が着くまで戦場を駆け巡ってみよう。そうするとゲーム内通貨であるコインを獲得する。
そのコインで新たなキャラクターアンロック、そして着せ替えアイテムや消耗品が買えるのだ。といっても実際にアイテムを選べるわけではなく、数個ランダムで入っている「ステッカーパック」を購入することになる。これがけっこういいお値段なのだが。
キャラクターは着せ替えアイテムで自由に着飾ることができる。帽子やタトゥーなど、キラキラしたものからスタイリッシュなものまで盛りだくさんだ。それはもう途方に暮れるほど。
もうかなりプレイしている私でも、まだまだコンプリートできていない。その頂きを目指すとなると大量のコインを必要とするだろうが、どれだけ時間をかけようがすべてを手に入れてみたい衝動に駆られる。コレクター魂をくすぐる何かを感じるのだ。
正直キャラを着せ替えしているだけでも小一時間は経過している。早くこの自慢の我が子を戦場に送り出したいのだが、「あの帽子よりこっちの方が……」と時間を忘れて没頭してしまう。しょうがない、カワイイんだから。
プラントとゾンビの終わらない因縁?
元はといえば、2009年にPopCap Gamesから発売された『Plants vs. Zombies』」というタイトルがある。家の庭を陣地に見立て、家を目指してゾンビの大群が庭を侵攻してくる。プラントたちを上手く配置して、それを効率よく撃退していく……というディフェンス系ゲームだ。
そのタイトルが新しく「オンライン対戦シューティング」として生まれ変わったのだ。しかし同じタイトルではあるが中身は全くの別物としてだ。
私も『PvZ:GW』をプレイした後、そちらも気になってプレイしてみた。ディフェンス系ゲームもあまり経験は無かったが、なかなかに頭を使い、またしてもいつの間にか没頭していた。ゾンビのように口が常に開いていた。
しかしそんなに前から戦いが始まっていたとは、どれだけ両者の間に因縁があるのだろうか。
いや、このゲームはそんな小難しいことはノーサンキュー。ただ撃って撃って撃ちまくればいいのだ。プラントはゾンビを墓に返すために撃つ、ゾンビはプラントを根本から引っこ抜くために撃つ。それでいいじゃない。
対戦モードも多種多様で、その日の気分によってルールを変えて楽しめる。ただし注意しなければいけないのは、最低一人でも始められるCo-opモードがあるものの、基本的にオンライン専用のタイトルなので、ネット環境を整えてからプレイしよう。
そういえばプレイしている最中にはちょくちょく、少年の声で英語とおぼしきボイスチャットが流れてくることがある。その一方で日本人らしき人は名前ですらあまり見かけない。おそらく、未だ日本では認知度が低いのが難点か。しかし一度でもプレイすれば、皆がこの面白さに気づくはずなのだが……。
今年の6月に続編の『2』が発表され、つい先日最新トレーラーが発表されたばかり。まずは今作で敵味方入り乱れた激しいバトルを体験してみてはいかがか。
ジャンルを問わず、ゲームと名のつくものには触れてみなければ気が済まないゲーム狂です。中にはFPSや頭を使うパズルなど少々不得手なものもありますが、どうにか克服したいと日夜努力を続けています。ゲームの箸休めにゲームをやる日々。幼少の頃から世界中のゲームを全て触ってみたいと夢見ていますが、大小様々なインディーゲームも含めると、とてもプレイする時間がないねェ。ニコニコ動画にて「訛り実況」というゲーム実況も投稿しています。