ワールドクラフトRPG『神箱』を「より楽しく遊ぶため」の攻略ガイド。面白いけど癖強めのRPGの序盤の歩き方

グラビティゲームアライズは、ワールドクラフトRPG『神箱 – Mythology of Cube –』を2024年8月29日に発売した。とにかくたっぷり遊べる本作だが、個人的な勘違いと独特の仕様もあって、最序盤は少々手こずるかもしれない。そのためのガイド。

グラビティゲームアライズは、ワールドクラフトRPG『神箱 – Mythology of Cube –』を2024年8月29日に発売した。対応プラットフォームはPS4/PS5/Nintendo Switchとなっている。

三つの要素が入ったRPG

『神箱 – Mythology of Cube –』は、RPGをベースにパズルと町づくりの要素を加えたワールドクラフトRPGだ。繁栄していたゾフィール大陸で「断片化」と呼ばれる立方体に崩れていく災害が発生し、世界のバランスは大きく崩れていた。そんな中、女神は苦しむ人々の祈りに応えるべく「修復者」を選定した。修復者は、世界各地の断片化してしまった土地を修復するための旅に出る ことになる。

リリースに先がけて、筆者はPC版をプレイする機会をいただいた。20時間以上プレイをしたが、かなりのボリュームがある作品だ。まだまだやれることが山ほどあるのにクラフトなどのサブ要素にはまってしまったこともあって、まったく全貌が掴めていない印象だが、楽しさは存分に味わうことができた。

とにかくたっぷり遊べる本作だが、個人的な勘違いと独特の仕様もあって、最序盤は少々手こずってしまった。もしかしたら筆者のように序盤に苦戦する人もいるかもしれない、とも感じた。なにせクセの強いゲームなのも事実である。本稿では序盤を上手に乗り切る方法と、作品に盛り込まれたたくさんの要素を存分に楽しむための各要素のガイドをお送りしたいと思う。


敵強めなちょっと難しい序盤を乗り切るために

さまざまな要素をもつ本作だが、やはりRPGパートこそコア部分であり、メインコンテンツである。戦闘システムはオーソドックスなターン制でシンボルエンカウントを採用している。UIはわかりやすく感覚的に戦えるので、その部分で苦労することはあまりないだろう。

ゲームは、メインストーリーやクエストをこなしつつ、フィールド上のモンスターとの戦闘やダンジョンクロールをこなしていくという流れになる。敵を倒して経験値を稼ぐことでレベルを上げ、武具をクラフトしてパーティ ーを強化し、仲間を増やして冒険していくタイプの王道RPGだ。

ではいったいその王道RPGであるはずの本作において、序盤の何がそんなに難しいのかという疑問が湧くかもしれないが、これは単純に主人公一行の初期戦闘力に対して、ザコ敵が非常に強いという一点に尽きる。だがこの辺りの事情を理解するためには、序盤における主人公一行の状況を多少詳しく説明する必要があるだろう。


最初のチュートリアル戦以降

本作ではゲームを始めたら割とすぐ自由に何でもできるような印象を受けるが、実際は細やかなチュートリアル込みのリニア構造になっていて、大きな流れから逸脱しないように緻密に設計されている。なので何をしようとも、いずれは初期に求められている目的地にたどりつけるのだ。

そうやってプレイしていると、やがて初めての「戦闘」にたどり着くことになる。ただその戦闘はチュートリアルなので、画面の指示通りに操作すれば難なく勝てる。だがここから主人公一行は、「アビスワーム」を倒すというメインクエストが課される。それ以外の目標が何もない状態で世界を自力で歩かなければならない。敵がいなかったぬるい世界から、いきなり弱肉強食の世界に放り込まれたかのような厳しさである。


「マナ不足」でスキルが使えない問題

唐突に与えられた自由。だが恐らく大多数のタフなRPGプレイヤーは、セオリーに基づいて、レベルを上げようと試みるはずだ。戦いで経験値を稼ぎ、体力が低下したら宿屋で回復して、再びフィールドに赴き戦いに明け暮れる日々。

しかし、本作はそんな常識をあざ笑うかのようにザコ敵はザコ敵ではなく、ガチな強敵として主人公一行に対峙してくる。チュートリアル戦で威力を発揮したスキルの使用を前提としている序盤の難易度だが、そのスキル使用に必要なマナが集まらないので苦戦してしまうのだ。つまり序盤の難しさとはマナ不足とイコールになってしまっている。

だがこの大問題は、実は案外あっさりと解決できるのでさほど心配しなくていい。もしかすると解消方法を記載するのは、ある種の「RPG体験」を棄損してしまう可能性がある話なのかもしれないが、ゲーム最序盤と考えればプレイヤーにきわめて有益なので、敢えて記載するが、これは話を進めるだけで解決する。

具体的にいうと、メインクエストの目的地である「誓いの湖」周辺にいるアビスワームがいるあたりに向かうと、マナ獲得に関するチュートリアルが立ち上がる。それで土地からマナを稼ぐ方法が獲得できるようになっている。要するにここまでが本作の戦闘チュートリアルになっていたのだ。

これは、始まってすぐボスの方に向かうのが最適解という、ゲーマーにとってある種の盲点であり、RPGに慣れている人ほどハマる恐るべき罠だろう。何にせよ、身体を張ってマナの稼ぎ方を覚えたこの時をもって、「ちょっと難しい序盤」編は終了だ。ここからは存分にスキルを使用することができ、ザコ敵との戦闘で苦労することは基本的になくなる。いよいよ本当の意味で本作を楽しむ準備は万全になったといえるだろう。


バトル編

バトルの流れも解説しておこう。本作のバトルは「神匣装填」(マナ自動採取)、「修復者行動」(仲間へのマナの割り振り)、「戦闘行動」(自動戦闘とスキルの使用)の3パートにわかれている。そして戦闘行動終了後にまた神匣装填に戻って、そのフローを繰り返す形で進行していく。

まず「神匣装填」では、戦っている土地に合わせて地、水、火、風の属性のマナが毎ターン補充される。だがここでの採取量はそんなに多くない上、土地によってはまったく採取しない属性もあるので、用意したスキルによっては、すぐマナがなくなってしまう場合がある。なので、戦闘前にはマナの量を確認し、もし十分でないなら事前に土地からマナを採取しておきたい。とにかくマナは、どの段階においても超重要物質であり、枯渇すれば戦闘は一気に苦しくなる。とくに強敵との会敵時には注意が必要だ。

続けて「修復者行動」というフェイズに移行する。ここでは、それぞれの属性が付与された「キューブ」から、選んだ仲間にマナを与えることができる。発動に必要な属性のマナを補充できれば仲間は、戦闘行動中ならいつでもスキルを発動することができる。それと持っている武器の持ちかえもここで可能だ。たとえば、現状地属性の武器を装備しているが、地属性のマナが枯渇して使用できない場合、もうひとつの武器に変更することで新たな属性のマナを使って戦うといった作戦が取ることができる。また、戦闘から離脱したり、道具を使ったり、待機するといった選択を行うこともできる。離脱はとくにデメリットもなく確実に成功するので、うっかり強敵とエンカウントしてしまった時にも役に立つ。


そして、いよいよ「戦闘行動」である。各々の速さによって順番に攻撃を行うターン制バトルである。本作の戦闘は自動で行われる。AIはまずまず安定した戦闘をしてくれるので、基本的には任せて問題はない。バトルには倍速モードがあるなど、ユーザーフレンドリーな姿勢が仕様に織り込まれており、ストレスフリーなバトルを楽しめるのだ。

もちろん、ここぞという時などでは、プレイヤーが介入できる要素もちゃんとある。まずスキルの発動だが、これは攻撃順番を無視する形でプレイヤーの任意のタイミングで行うことができる。もちろん自動戦闘中にも、仲間はちゃんとスキルを繰り出して戦うが、競った展開の際には、自分で命令を下したい場合も出てくるだろう。たとえば、味方が戦闘中にダメージを負った場合、修復者行動でヒーラーにスキルの準備をさせていたならば、それをプレイヤーのタイミングで発動することで回復させられる。もしくは通常攻撃時にもあと二発くらいで倒れそうな敵がいるのにも関わらず、自動戦闘ではまんべんなく敵全体に攻撃を行って誰も倒せない場合も多々あるので、プレイヤーが介入して、一人に集中攻撃を掛けて各個撃破するような選択も取ることも可能だ。


パズル編 「断片化」してしまった土地の修復

修復者が断片化してしまって具合の悪い土地を修復したり、土地からマナを取得するのに必要なのは、パズルをクリアする力である。パズルはふたつ以上のピースをつなげると、動かした色のピースがまとめて消える2マッチパズルだ。土地修復パズルは、所定のターン以内に指定されたピースを消すことができれば再生成功となる。

パズルは段々と難しくなっていき、数字が書いてあって、数字分のピースを消さないと消えてくれないピースや、動かないピース、属性が入れ替わるピースなどもでてきて一筋縄ではいかなくなっていく。もしかしたら、パズルが苦手で心配している方もいるかもしれないが、本作は上手くいかなくてもペナルティなしで再挑戦できるので、いずれはクリアできるようになる。また、何度も挑戦しているうちに仕組みというかコツが理解できてくるので、気付けば自在に操れるようになっているだろう。パズルのテンポの良さもあって、プレイ感はなかなか爽快である。こうなってくると各地の断片化された土地に行き、鍛えたパズルの腕を振るいたくなってくるに違いない。


クラフト編 ①武具作成について

スキルさえ発動できれば、大概の相手を一蹴出来ていたザンクトアリウムエリアだが、先に進むにつれてそれだけでは通用しなくなるのは世の理である。ノーアトゥーンエリアあたりまで足を延ばすと、明らかに敵が強くなってきており、このままでは早晩勝てなくなることくらいは誰でもわかる。

そこで「クラフト」をおすすめしたい。クラフトではさまざまな装備品が作ることができる。たとえば片手剣を作りたい場合、武器の3箇所に分かれた部位にアイテムをはめ込んで、強い武器を作成していく。それぞれの箇所にはめるものによって得られる数値やスキル、必要属性などが変わるなど、付与される能力や最終的な結果は確率に委ねられており、そのランダム性が中毒性を生み出す。狙って強力な武器を作るためには、それなりの回数の試行錯誤が必要になってくる。レアなアイテムをはめ込んで作ると、やはり強力な武器が作れる可能性が高いので、積極的に狙っていきたい。

ただ、本作のクラフトはそんなに単純なものでもなく、その時のパーティー の状況によって最良の武器の意味も変わる。そのため、単にレアで、強力なスキルがあるから最良の武器だ、とも言えないケースが多々ある。強力なスキルの運用には大量のマナが必要だが、レベルが十分でない頃はマナを十分に持ち歩けないので、消費マナが大き過ぎるスキルの運用は難しい。むしろ、威力はそこそこでも、燃費のいいスキルの方が運用しやすい場合もあるだろう。

他にも、武器のクラフトの際には、属性相性、全体攻撃なのか個人攻撃なのか、などの要素も考えなければならない。さらにいうと仲間が持つスキルによっても運用方法が変わるため、単純に数字が優れているという一義的な理由だけで装備を選ぶべきでないことにも注意が必要だ。

もっとも、恐らく一番注意すべきこととは、ここでこだわってクラフトをしていると、時間が幾らあっても足りないことだろう。武具のクラフトでは、武器だけでなく防具の作成もできるので、それにも注力しなければならない。本作ですべきことは恐ろしい程あり、時間はあっという間に溶けてしまう。


クラフト編 ②街づくり編 

本作のクラフトとは、武具作成だけでなく「街づくり」すらも含まれている。クラフトで渡れない川に橋を架けることもできてしまうのだ。現代社会に生きる我々が川を渡りたいと考えたら、最寄りにある橋をつかって川を渡るだろう。ゲームの世界でもフィールドに川が流れていれば、橋を使って渡る。

だが本作は違う。川が流れていて渡れなくても、素材さえあれば、自分が作りたいところに橋を架けられる。橋だけでなく、町 すら作れるのだ。フィールド上で、離れている町と町の間に拠点が欲しいと思ったら、それすら主人公一行は素材を集めれば、叶えることができるのだ。

街づくりでできることは実に多岐に渡っている。平地に道路をひき、港を作って船で移動できる。クラフトでは武具以外にも、家具や料理、アイテムも作ることができるのだが、その家具を利用して、さまざまなショップや宿屋などの施設が建設できるようになる。そうやって施設を作って人口を増やし、拠点を柵で囲み、門をつける。そうやっていると、町はどんどん発展していくのだ。土地にも細かな特徴があって、気候や温度が違い、採取物も変化する。なので、欲しいものを得るために各地方をまわり、土壌を確認し、適材適所の運営を心掛けることで、大きな成果を上げることができるだろう。

もちろん町を発展させていくには、たくさんの素材が必要になる。それでしばらくは津々浦々 まわって素材集めに奔走する必要があるのだが、段々と世界各地に素材を産み出す施設を作れば、必要な素材が拠点から得られるようになってくる。それらの拠点も発展すれば町になり、町と町同士はつながって、交易が始まる。町からはそれぞれの特産品が出荷され、店で売られるようになる。こうやって徐々にエコシステムを構築していくことができるのだ。もうここまでくると、ほとんど独立したシミュレーションゲームのようだ。


まとめ

冒険はフィールドに降り立った場所から唐突に始まる。主人公がいる土地以外の場所は、無味乾燥な無色で覆われている。隣の四角のエリアに侵入すると、フルカラーに染まった。気持ちよくそれを繰り返したら、味もそっけもなかった白地図がどんどん色づいていった。景色に色をつけて歩く冒険。筆者はダンジョンなどの分岐で、正規ルートを進んでいると感じた瞬間に引き返して違うルートを埋めにいくタイプだが、本作の仕組みはそんなコンプリート欲とでもいうべきものを、かきたててくれる。

実に楽しいRPGである。練りこまれたバトルシステム、やりだすと止まらない奥の深いさまざまなクラフト要素、独特の魅力があるパズル。まるで、グラタンの焦げであり、メロンパンの皮であり、アイスのコーンの底に溜まって固まったチョコレートだけをずっと食べているかのような凄みがある。やればやるだけ面白さが引き出される良質な作品であり、ぜひある程度の時間を掛けて遊んでほしい。きっと自分だけの素晴らしいRPG体験を得られるはずだ。

神箱 – Mythology of Cube –』は、PS4/PS5/Nintendo Switch向けに8月29日発売中だ。

※記事内の画像は開発中のもの

Masamune Oda
Masamune Oda

ゲームは何でも遊びますが、とくにシミュレーション系が好きです。時々古いゲームからしか得られない栄養をとってます。

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