シルバーウィーク(もうすぐ終わりなのだが……)ということで、ゲーム三昧の日々を送っている方は多いだろう。しかし同じゲームばかり遊んでいては飽きてしまう方も多いはず。というわけで、ガリ感覚で楽しんでほしいという気持ちをこめて、先月開催され先週結果発表があった「Ludum Dare 33」の作品を5つ紹介する。
「Ludum Dare」は、毎回異なるテーマ(投票で決められる)に沿って制限時間内にゲームを制作するイベント。ひとりで参加するCompo(48時間)、チームでも参加できるJam(72時間)のふたつがある。たとえば第8回Free Game Saturdayで紹介したCompo作『Delicious Cortex』は48時間という制限でSébastien Bénard氏がひとりで作り上げた。自身はモンスターでありながら、胸が締め付けられるような悲しさが好評を得た『Mammoth: A Cave Painting』は、Jamで参加したチームinbetweengamesによって72時間という制限内で制作された。
遊ぶ側としての「Ludum Dare」の魅力は、非常に個性的な作品に気軽に触れることができるという点だろう。商業用ではなく、いかにもインディーなゲームを思う存分プレイできるのだ。もちろんなかには荒削りなものも多く、完成したとはいいがたいものもある。それでも、たとえパーフェクトでなくても、面白いと感じるゲームに出会えるはずだ。第33回のテーマは「You are the Monster」。プレイヤーがモンスターとなる、いつもとは逆の立場を楽しんでほしい。
Mobs, Inc.
『Mobs, Inc.』は、Jam作品のなかで総合的に最も評価が高かったアクションゲームである。開発者は、18歳の学生Pietro Ferrantelli氏。Ludum Dare初参加となった第32回の作品『Genemon』も楽しいのであわせて遊んでみてほしい。
主人公であるモンスターはマウスカーソルを追うように移動し、左クリックで攻撃する。ステージに登場するアーチャーやナイトを全滅させることが目的で、倒せば倒すほど経験値を獲得でき、キャラクターが一定のレベルに到達するとパワーアップしてスキルを習得するという成長要素もある。ちなみに、4回倒されるとゲームオーバー。
マウスひとつで遊べるというこの上ない手軽さは、『Mobs, Inc.』の魅力のひとつである。ゲームを進めるにつれ、敵自体も攻撃手段が変化していき、こちらが切りかかるタイミングをよく考えなければ長生きすることはできない。適当にクリックしていればどうにかなるような低難度ではないという点もあり、なかなか遊びがいのあるゲームに仕上がっている。
Monstre de Coiffure
『Monstre de Coiffure』は、怪物美容院シミュレーターとでも呼ぶべきだろうか。開発チームはLonebot。Ludum Dareだけではなく、2014年にGame Joltで開催された「Indies vs. PewDiePie」など、数々のイベントに積極的に参加している。
ゲームの目的は、人間にあこがれる不気味なモンスターを、制限時間内にモデルに近い見た目に仕上げること。完璧に仕上げることは不可能だが、それっぽくなればOKという単純さも良い。個人的に最もお気に入りなのは、ヘアカラースプレーを振ってから使うという一連の流れである。
モンスターとなって人間を襲うゲームが多いなかで、少し違った視点のゲームである『Monstre de Coiffure』は、キモキモカワイイ見た目も相まって異彩を放っている。お子様と一緒に笑いながら遊ぶというのもありだろう。
Writhe: The Thing from the Omega Sector
『Writhe: The Thing from the Omega Sector』は、Compo作品のなかで総合的な評価が最も高いパズルアクション。プレイヤーはタコのようなエイリアンとなって、宇宙船からの脱出を目指す。開発者は@DragonXVI氏。第2回Free Game Saturdayで紹介した『Hot Diggity』の作者である。
宇宙船内は複数の部屋にわかれており、各部屋にいるすべての科学者を食べれば次の部屋へと移動できるようになる。各部屋にはタレットやレーザーといった数種類のトラップが設置されており、それらを避けながらクリアを目指す。エイリアンは体(頭)にのみダメージ判定があり、トラップなどに接触すれば即死亡する。数本ある触手は攻撃専用であり、ダメージを負うことはない。ただし、高熱の壁などに触手が触れると、鉄板でタコを焼いているような美味しそうな音が流れる。
序盤は簡単すぎるかもしれないが、ある程度進めばその問題は解消される。香ばしいにおいがながれてきそうなジュージューという音を、ぜひとも聞いてほしい。
Nice Monster
『Nice Monster』は国民的、いや、世界的に有名なあの名作を逆にしたゲーム。プレイヤーはカメであり、ひたすらジャンプを続ける赤い配管工をゴールへと導くことが目的である。本作を手がけたのは、Disney Mobile Gamesのゲーム開発者Tim FitzRandolph氏。お気に入りのPICO-8で制作したという。
ゲームを開始すると、画面中央で赤い配管工がジャンプし続けている。そして画面右にはゴールである旗が設置されている。プレイヤーは矢印キーを使ってカメを左右へ移動させ、タイミングを狙って配管工に踏ませる。踏ませる位置が正しければ配管工は斜めにジャンプし、それを繰り返してゴールさせるのだ。いつもと逆である。
いつもと逆だが、原作のルールはそのままである。配管工はカメと接触すれば死んでしまうし、カメは二度踏まれると走り出す。このルールを忘れずに、ゴール目指して遊んでほしい。最初は操作に慣れずに投げ出しそうになるかもしれないが、当たり判定などがつかめてくれば面白さが増すはずだ。
Trullskoll
「Troll」と聞くと体が大きく醜い姿のモンスターを想像する人が多いだろう。しかしBlizzard信者が思い描くTrollは違う。パンクな髪型と長く伸びたキバ、そして若干の猫背。「これだよこれ」と、『Warcraft』ファンなら愛着がわくであろう姿をしたTrollが主人公の横スクロール型サバイバルゲームが『Trullskoll』である。開発者はCharlie Carlo氏。
サバイバルゲームということで、洞窟の外に探索に出かけ、資源を集めて生き延びることが目的である。腹が減れば肉を食い、道具が必要ならば素材を集めてクラフトする。テーマは「You are the Monster」、主人公はトロールということで、外敵はもちろん人間。三叉の矛を持ち攻撃的な性格の人間もいれば、松明を持った臆病な探検家もいる。トロールは日々の生活のなかで人間とかかわり、どのような関係を築いていくのかがポイントのようだが、残念ながら現在のバージョンはゲームの進行速度が非常に遅く、変化はほとんど感じられない。これについて開発者のCarlo氏は気づいているようで、今後バージョンアップしたものをGame Joltにアップする予定であることを告知している。
できることが限られており、非常にシンプルなつくりであり、『Don’t Starve』など同ジャンル作品を遊びつくしたという方なら物足りなさを感じるかもしれない。しかしなかなかに面白く、できれば有料販売に向けてコンテンツを充実させたものを作り上げてほしいとも感じさせてくれる。
本稿で紹介した作品以外にも良作はたくさんあるので、Compo Top 100とJam Top 100もあわせてチェックしてほしい。なお、次回の「Ludum Dare 34」は12月11日~14日の期間で開催予定。