「なつかしい」の一言で終わらない『Cuckoo Castle』、GameBoy Jam生まれの横スクアクション
Free Game Saturdayは、アルファやベータ版、購入者が金額をゼロから決められる“Name your own price”を問わず、主にPC向けの無料で遊べるフリーゲームを紹介する週間連載。第8回目は、GameBoy Jam 4から『Cuckoo Castle』と『Pirate Pop』、Ludum Dare 33から『Delicious Cortex』と『underworld siege』を紹介する。
Cuckoo Castle
無料のインディーゲームを探すとき、まず最初に思いつくのはGamejoltではないだろうか。そのGamejoltにて、8月8日から18日までゲームボーイをテーマにした「GameBoy Jam 4」が開催されていた。エントリー総数は179作品。どの作品も見事なまでにゲームボーイであり、当時を知る人であればなつかしく、知らない人なら新鮮に感じるだろう。
『Cuckoo Castle』は「GameBoy Jam 4」で最も評価が高いゲームである。プレイヤーは騎士となって、さらわれた村人を救出することが目的だ。開発を手がけたのは、オランダ在住のゲームアーティストRichard Lems氏。
ゲームボーイがテーマということで、当然ビジュアルはモノクロである。しかし見た目だけがゲームボーイなら、高評価を獲得することはできない。本作『Cuckoo Castle』は、当時のゲームにならって、親切すぎない設計になっている。といってもそこまで大げさなものではないのだが……。ダンジョンはそれほど広くないにもかかわらず、プレイヤーを端から端まで歩かせるつくりになっている。たとえば行き止まりがあったとしたら、周辺にボタンがないか探すだろう。しかし本作は、そういった仕掛けは離れた場所にあったり、先に進むために必要なものを教えてくれるヒントなどはない。
おそらく初回プレイ時はダンジョン内で迷いに迷うだろう。「もしかしてこうすればいいのか」「ここに行ってみるとどうなるだろう」と、あれこれ試行錯誤しながら遊ぶというのは楽しいと感じるはずだ。ボリュームたっぷりというわけではないものの、「お、そうきたか」と思わせる工夫があるので、レトロゲームを好きな方にはぜひとも遊んでいただきたい。
Pirate Pop
『Pirate Pop』は重力を使ったスコアアタック型のアクションゲーム。プレイヤーは海賊Pete Jrとなって、錨を活用してバブルを破壊しスコアをかせいでいく。海賊とPeteというキーワードでピンとくる人はいないかもしれないが、本作を手がけたDadakoは、海賊Peteが主人公のアクションRPG『Pixel Pirate in Bits of Eight』を開発中である。Jrということは親子という設定なのだろうか。
ゲームプレイは非常にシンプルであり、操作に関しても左右への移動と、錨を発射することだけだ。錨は真上にしか発射できないのだが、部屋の中に出現するバブルは地面に落ちると跳ねるという特性があるので、つねに下に回りこんで発射して破壊する。バブルは分裂するため、一発で破壊することはできない。
狭い部屋の中でバブルを破壊し続けるだけなのだが、頻繁に出現する敵が重力チェンジを行なうという仕掛けがあり、単調なゲームというわけではない。重力チェンジが発動すると、床が壁になったり、天井になったりするのだ。また、バブルの動きを停止させるストップウォッチや、2発まで連続発射できるようになるアイテムなども登場する。
スコアアタックが好きならば挑戦してみてほしいゲームである。開発者Hawken King氏のTwitterを見るかぎり、iPhone向けにもリリースされそうだ。
Delicious Cortex
8月21日から24日までのあいだに開催され、現在は投票期間中の「Ludum Dare 33」。テーマは「You are the Monster」ということで、通常なら英雄が主人公のところをモンスターにするなど、いつもとは逆のゲームプレイを楽しめる作品が目立った。
『Delicious Cortex』は、リアルタイムストラテジーとでも言うべきだろうか。プレイヤーはLich Kingとなって、生ける死体を操り人間を皆殺しにすることが目的である。開発者は、インディーゲームスタジオMotion Twinに在籍するSébastien Bénard氏。
Lich Kingが墓場に近づくと、死体が動き出し人間を襲う兵士となる。各ステージに出現する死体の数には限りがあるため、こちらが全滅する前に人間を皆殺しにしなければならない。使者の群れは射程範囲内にいる人間に対し、自動的に攻撃をしかけ、すべて倒しきるとその場に待機する。
冒頭でリアルタイムストラテジーと言ったが、本作はパズルゲームでもある。いくつかステージを進めていくと、人間よりも先にこちらが全滅するようになる。そうならないように、ある程度の危険を犯してでも墓場から死者をよみがえらせなければならない。死者の群れを人間に向かわせて、力で押し切るゲームではないのだ。
Sébastien Bénard氏はLudum Dare 25(テーマは「You are the Villain」)でも、モンスター側となって英雄を倒すゲーム『Atomic Creep Spawner』を制作している。こちらもなかなか面白いので、ついでに遊んでみてほしい。
underworld siege
Sébastien Bénard氏と同じくMotion Twinに在籍するBenjamin Soule氏は、ターン制ストラテジー『underworld siege』をPICO-8で作成。Soule氏がLudum Dare 29(テーマは「Beneath the Surface」)で制作した『A Glorious Escape for A Lich King』の地下にフォーカスしたバージョンといったところ。
『Dungeon Keeper』系の作品であり、ダンジョン探索にやってくる英雄たちから悪の王を守らなければならない。守る手段は護衛となるモンスターを雇う(各1体まで)、またはトラップや扉の購入(各1個まで)である。雇用や買い物にはゴールドが必要。ゴールドや重要なアイテム「オーブ」を運べるのはゴブリンだけなのだが、困ったことにゴブリンは非常に弱く、英雄たちに簡単に倒されてしまう。最初に雇うモンスターはよく考えて選ぶほうがいいだろう。
ゴールドはつねにギリギリである。序盤はまったくといっていいほど余裕はないだろう。まずはトラップと扉を購入し、ゴブリンはなるべく短い距離でゴールドを集められるように考えて移動させるといいだろう。一歩ずつ慎重にプレイすれば、きっとEASYをクリアできるようになるはずだ。
ちなみに、PICO-8は東京に拠点を置くLexaloffle Gamesが開発したゲーム制作ツール。単体販売のほか、『Voxatron』とセットでも販売されている。興味のある方は、まずマニュアルを見てみてはいかがだろうか。