Free Game Saturdayは、アルファやベータ版、購入者が金額をゼロから決められる“Name your own price”を問わず、主にPC向けの無料で遊べるフリーゲームを紹介する週間連載。第7回目は、ふたつの名作をマッシュアップした『Half-Line Miami』、カモメの垂れ流し『Sploot』、人類滅亡寸前タコス配達ゲーム『Tacopocalypse』、あの映画のあのシーンをゲームで再現した『ERMINUS』を紹介する。
Half-Line Miami
『Half-Line Miami』は、その名のとおりふたつの名作を合体させたアクションゲーム。過激な暴力満載の『Hotline Miami』と、1作目から15年後を描いた『Half-Life2』のマッシュアップである。開発者は、このふたつの作品が大好きだというベルギー在住の20歳の学生Thomas Kole氏。完成度はなかなか高く、レベルエディタも付属している。
『Hotline Miami』ならではの残酷さは見当たらず、過激な出血などのゴア表現はない。武器はGravity Gunであり、ステージに点在しているゴミ箱やバッグを投げつけ敵を倒していく。銃器で攻撃するわけではないので弾切れにはならない。しかし、攻撃するには右クリックで物体を吸い寄せなければならず、同時に複数の敵の相手をすることは難しい。オリジナルほどではないがそれなりに難度は高く、先に進むにつれ「R」を押す回数は増えていく。ただ、敵は即死だが自身にはHPがあり、MedkitをGravity Gunで吸い寄せれば回復も可能。
本作は『Half-Life2』と『Hotline Miami』の両作をプレイ済みの方でないと、その楽しさが理解できないだろう。どちらか片方しか触れたことがない場合、オリジナルを遊んだほうが楽しいと感じるはずだ。もしもどちらか片方、または両方を未プレイであれば、名作と呼ばれるオリジナルをSteamウィッシュリストに放り込んでみてはいかがだろうか。
Sploot
いま、うんちがあつい。先月Kickstarterに登場したふたつのうんちゲームは見事に目標金額を達成し、洋の東西を問わずうんち熱が高まっている。と思う。どちらも人間のうんちが主人公だったが、ここで紹介するうんちゲーム『Sploot』はカモメが主人公である。開発を手がけたのはElijah O’Rear氏。
プレイヤーは空を自由に飛ぶカモメとなって、町の人々、または車や家屋に大量のうんちをぶっかけてスコアをかせいでいく。ボタンを押せばひりだすというわけではなく、つねに垂れ流している状態である。似たコンセプトのゲームがSteamに登場しているのだが、こちらはOculus Riftに対応しており、ぶっかけに対する没入感は『Sploot』のほうが勝っているといえるだろう。ただし、Oculus Riftを使用せずにプレイすると、単なる一発ギャグゲームとしか思えないかもしれない。
Tacopocalypse
私がピロシキの次に好きなのはタコスである。今年の4月には、およそ20年ぶりにタコベルが日本に再上陸を果たし、国内でもタコスの魅力が再認識されつつある。本作『Tacopocalypse』は、崩壊寸前の地球を舞台に、タコスを配達するゲームである。ビルは燃え上がり倒壊寸前、さらにあちらこちらでマグマが噴出しているという状況で、お客のもとへとタコスを届けなければならない。デベロッパーは、Oculus RiftやLeap Motionを使って遊ぶ『Emmerholt』などを手がけたCherry Pie Games。ゲームエンジンはUnreal Engine 4。
プレイヤーは一度に3つまでタコスを持つことができ、配り終わったら補充し、ふたたび配達に出かける。どこでも走れるという自由度と、スケートのようにパイプの上をグラインドできるなど、ただのタコス配達ゲームではない雰囲気があふれている。車はダブルジャンプ可能で、配達ポイントが高い位置にある場合はジャンプ台を利用し華麗に配達を決めこむ。
また、ローカルマルチプレイ(現在は2人まで)にも対応しており、画面を分割して勝負することもできる。「コンセプトは面白いけれどまだまだカオスっぷりが足りない」と感じるかもしれないが、現時点で公開されているのはアルファ版である。正式リリースを目指してKickstarterキャンペーンが開催されているので、クレイジーなタコス配達に興味を持ったらそちらもチェックしよう。
TERMINUS
時速50マイル以下になるとバスが爆発……あの映画のシチュエーションで緊張を楽しむのが『TERMINUS』である。開発元は2Dアクション『Mercenary Kings』や『Curses ‘N Chaos』を手がけたTribute Games。ゲームジャムで2日間をかけて制作したという。
本作はXboxまたはPS4のコントローラーを使用してプレイする。左スティックで画面左のバスのハンドルを切り、右スティックで社内を移動する。左トリガーはアクセル、右トリガーは会話だ。目的は何かというと、あの映画よろしく時速50マイル以上をキープしつつ、バスの車内で起こるさまざまな問題を解決していくこと。
乗客の対応は簡単で、彼らの頭上にアイコン「!」が表示されたら話しかけ、画面に表示される複数のボタンを順番に入力していくだけである。問題はバスの運転だ。時速を保つだけでなく、ほかの車両と接触せぬようコントロールしなければならず、乗客に気を取られているとあっという間に大破してしまう。
車内で発生する問題がランダムでなかったり、車両との接触を避けられない状況が発生したり、そもそも時速が50マイルを下回ることがないといった残念点はあるものの、初回プレイ時の楽しさはなかなかのもの。上で紹介した『Sploot』と同様に一発ギャグゲームではあるが、若き日のキアヌ・リーブスを思い出しながら遊んでみてほしい。