Free Game Saturdayは、アルファやベータ版、購入者が金額をゼロから決められる“Name your own price”を問わず、主にPC向けの無料で遊べるフリーゲームを紹介する週間連載。第3回では、スプレーを使い分けてパズルを解くアクションゲーム『Tag: The Power of Paint』を紹介する。
Tag The Power of Paint
『Tag: The Power of Paint』は一人称視点のアクションパズルゲームである。DigiPen Institute of Technologyの生徒によって開発され、IGF 2009では学生部門の最優秀を受賞した。とある作品にも同じギミックがあるので、ご存知の方も多いかもしれない。
タイトルにある「Tag」は目印の意味であり、タイトルロゴやゲーム内の一部テキストは「タギング」のようなデザインになっている。日本でも15年ほど前に流行し、現在でもたびたび「アート」か「ラクガキ」かで論争が起こるストリートアートの一種である。まったくピンとこないという方は、Eric Hazeの公式サイトを見れば「ああ、あれね」となるはずだ。といっても本作は絵を描くゲームというわけではなく、缶スプレーというよりもインクが入ったNerfシリーズ風のスプレーガンを使い、壁に向かってインクをぶちまけてパズルを解くアクションゲームである。
プレイヤーは基本的に前後左右への移動しかできない。マウスボタンにはスプレーの発射と、インクの変更が割り当てられている。各ステージにはゴールがあり、そこにたどりつくには高い場所に上ったり、ビルからビルへと飛び移ったりしなければならない。しかし本作には、「ジャンプ」ボタンが存在しない。では、どうやって跳ぶのか。
『Tag: The Power of Paint』において重要なアクションである「ジャンプ」は、グリーンのペイントを踏むまたは触れることでおこなえる。グリーンのペイントは高反発性のゴムのようなものだと思えばいいだろう。ステージ上にあるインクボトルを手に入れてスプレーガンにセットし、ジャンプ台がほしいポイントにグリーンのスプレーを吹きかけるのだ。
ペイントはジャンプ効果を持つグリーンのほかに、移動速度を加速させるレッド、壁を歩けるようになるブルーがあり、インクボトルさえ手に入れればマウスホイールを回転させ切り替えて使用できる。また、うっかり間違った色のスプレーをまいてしまったときや、ペイント範囲を微調整したときなどには、マウス右クリックで水を噴射し効果を消すことができる。
『Tag: The Power of Paint』をプレイすると、どこかで見たことがあるような……という気分になるかもしれない。本作を手がけたチームは、そのアイデアをValveに認められ、『Potal 2』の開発メンバーになったのだ。もしもデジャヴを感じたのであれば、そういうことだ。ちなみに、DigiPenの別の生徒が手がけた『Narbacular Drop』もValveに認められ、初代『Portal』の開発チームとして活躍したという。
3種類のペイントを使ったアイデアが斬新というだけでなく、ステージ自体の出来も良い。周辺を見渡せば何色が必要なのかすぐにわかるものもあれば、実際にスピードに乗って走りながら判断しなければならない場面もある。ステージ数はそれほど多くないのだが、スピードクリアを目指す遊び方とも相性が良く、リリースから7年経過した今でも色あせない魅力がある。