派手なアビリティと高難度のアクション、ローグライク要素ありのフリーゲーム『Dungeon Souls』
Free Game Saturdayは、アルファやベータ版、購入者が金額をゼロから決められる“Name your own price”を問わず、主にPC向けの無料で遊べるフリーゲームを紹介する週間連載。商用ではないからこそできる奇抜な表現や、いつか化けるかもしれないビッグタイトルの卵など、フリーゲームにはさまざまな作品が埋もれている。
というわけで第1回目は、Global Game Jam 2015作品のプラットフォーマー『For the king!』、リズムジャンケン西部劇『Rhythm Ranger』、ローグライク要素を持つハック&スラッシュ『Dungeon Souls』、これら3つのフリーゲームを紹介する。
『For the king!』
『For the king!』は障害物を飛び越えてゴールを目指す、いわゆるプラットフォーマーである。本作はGlobal Game Jam 2015で誕生した。開発を手がけたのは、オランダに拠点を置くDuckbridge。
プレイヤーは王様である。王様は自らの足では歩かない。左右への移動とジャンプは、すべて怪力の側近がおこなう。ステージにもよるが、どうしてもゴールである扉に徒歩でたどりつけないことがある。その場合は、怪力の側近に力いっぱい王様を投げさせるといい。たとえ転んでしまっても、扉に体が触れていればゴールとなる。
どのステージも簡単にゴールまでたどりつけるような構造にはなっておらず、即死する落とし穴やトラップが王様の行く手を阻む。それらの困難を乗り越えるために、王様は定番の魔法使いの帽子をかぶり、不思議な力で下僕をブロックへと変身させる。姿を変えた下僕は足場となり、王様をかついだ側近はその上を歩くことができる。かわいそうな気もするのだが、王様は絶対的存在であるため、下僕たちは抵抗することなく喜んで足場になってくれる。
少しコツをつかめば、ほとんどのステージは側近の「王様投げ」を利用すればパワープレイでクリアできることに気づいてしまうだろう。もう少し工夫がほしかったようにも感じられるが、下僕が足場になるという点はなかなか面白い。本作を手がけたスタジオDuckbridgeは、7月16日にSteamで『Luckslinger』の発売を予定している。そちらのデモも公開されているので、あわせて遊んでみてはいかがだろう。
『Rhythm Ranger』
『Rhythm Ranger』(『The Rock the Paper and the Scissors』)はジャンケンで戦うリズムゲームである。今年の4月に開催されたLudum Dare 32(テーマは“An Unconventional Weapon”)にて、Toasty Gamesの手によって誕生した。
操作方法は3つのカーソルキーを使うだけというシンプルなもの。左で「グー(Rock)」、上なら「パー(Paper)」、そして右は「チョキ(Scissors)」である。この3つを、タイミングに合わせて出していく。プレイヤーも敵もライフポイントを持っており、これがゼロになれば負けてしまう。連続してジャンケンで勝たなければ敵のライフは回復していくため、どこか“おマヌケ”な設定にもかかわらず、シビアなタイミングが求められるゲームである。
冒頭で述べたとおり、本作は一般的な「じゃん、けん、ぽん」ではなくリズムゲームである。事前に相手が何を出すのかがわかるため、“あと出しジャンケンリズムゲーム”といったところだろうか。列車の上で対峙する敵によってリズムに違いがあり、当然ながら先に進むほど難度は上昇していく。最初の2人は簡単に倒せても3人目の「Rocky」で行き詰まる方が多いと思われるのでヒントを書いておくと、「彼は2丁拳銃の使い手」だ。
Ludum Dare 32では『The Rock the Paper and the Scissors』という作品名だったが、現在は『Rhythm Ranger』に変更となり公式サイトが開設された。YouTubeトレイラーには「Rhythm Ranger – Prototype Gameplay」と名づけられており、いつの日か正式版が登場するのだろう。雰囲気の良いサウンドトラックはSoundCloudで公開されているので、ぜひ聞いてみてほしい。
『Dungeon Souls』
フィリピンのインディーデベロッパーMike Studiosが手がける『Dungeon Souls』(ダウンロードはIndie DBなどから可能)は、見下ろし視点のハック&スラッシュRPGである。『Risk of Rain』や『Nuclear Throne』などに影響を受けたという本作は、「ランダムに生成されるダンジョン」や「恒久的な死」といったローグライク要素もある。
ダンジョン探索を始める前に、プレイヤーは「Barbarian」「Archer」「Thief」「Warrior」「Wizard」「Healer」のなかから一人を選ぶことになる。クラスの名前から想像できると思われるが、それぞれ異なる特徴を持っている。基本操作を説明しておくと、WASDキーで前後左右への移動、マウス左クリックで通常攻撃、右クリックでアビリティ、Qキーには回復ポーションが割り当てられている。
本作には明確なストーリーはなく(オーブを探すという目的はある)、プレイヤーはひたすらモンスターを倒し、数種類のトラップにもひるむことなく、ダンジョンを奥深く探索していく。次のフロアへと続く扉は、各フロアにあるすべての「MARK」を踏み、アクティベートしなければ開かない。今のところ持ち物の数に制限はなく、アイテムの性能は能力をプラスするものばかりなので、深く考えずに片っ端から拾えばキャラクターは強くなっていく。クリアというものがあるのかどうかわからないが、モンスターを倒して経験値をかせぎ、宝箱からさまざまなアイテムを手にいれ、生きて探索を続けるほど強くなっていくという流れは、多くの方が楽しいと感じるはずだ。数種類のボスや、装備品を販売する商人も登場し、それらRPGの定番要素に関してもじゅうぶんとはいえないが、満足できるのではないだろうか。
6種類のキャラクターのなかで、個人的に最も使いやすいと感じたのは「Warrior」である。マウス右クリックで発動するアビリティは範囲内のすべての敵を切り刻むし、初期能力も高く死ににくい。ただし、ある程度のアイテムがそろうとほぼ無敵になってしまうため、「Warrior」を選択すると本作が持つローグライク要素は薄くなってしまうかもしれない。生と死が隣り合わせのギリギリのゲームプレイを楽しみたいのであれば、「Wizard」を選ぶといいだろう。
第1回Free Game Saturdayで紹介した作品に共通のコンセプトはないが、どれも開発者のアイデアがキラリと光っている。「週末はゲームざんまい」という方も多いはず。いつものお気に入りを遊ぶだけではなく、フリーゲームにも手を出してみてはいかがだろう。