暗闇の空間を”電源プラグのイキモノ”が照らしだす。探索アクションゲーム『PLUG』は「電子2Dピクセルの地下世界」を行く

自称“ベイブレードの目利き”という「carpetbones」氏は、いままで小規模なビデオゲーム作品をいくつかリリースしてきた無名のゲーム開発者だ。ちょうど16日前にリリースされた『PLUG』も彼の小さな作品の1つで、itci.ioからName your own price形式にて好きな値段で購入することができる。

自称“ベイブレードの目利き”という「carpetbones」氏は、いままで小規模なビデオゲーム作品をいくつかリリースしてきた無名のゲーム開発者だ。ちょうど16日前にリリースされた『PLUG』も彼の小さな作品の1つで、itci.ioからName your own price形式にて好きな値段で購入することができる。つまりは無料でダウンロードすることも可能なので、この記事を読む前にさっさと遊んでしまうのも選択肢の1つだろう。

ピカチュウの両腕をなくして足を長くし、さらに頭を電源プラグみたいに尖らせたような生物を頭に思い浮かべて欲しい。残念ながらそれが本作の主人公だ。この形容しがたい謎の生物は、ゲームの冒頭で家族とはぐれてしまい、地上の穴から地下深くに続く暗闇の世界へと落っこちてしまう。プレイヤーは謎の生物を操作して地上へと戻してやらなければならない。2Dピクセルで描かれた彼はキュートだが、アートワークの彼はいささか気持ち悪いので、見ない方がいいだろう。

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ゲームジャンル自体は探索型の2Dジャンプアクションゲーム。マップ上を進み、地下世界に住む摩訶不思議な生き物たちの頼みを聞いてゆく。マップのどこかにあるアイテムを見つけだし、ほかの生き物たちと交換したり、地下空間にある妙にハイテクな装置を動かしたりすればいい。特に困難なジャンプアクションやパズルが用意されているわけでもなく、「なんでこの地下世界はヘンテコな機械や装置があるんだろう」とか「このワニみたいなのは本を読みたいらしいけど口顎が邪魔でで見えないんじゃない」とか、奇妙な世界観にどっぷりとひたることができる。

ゲームの特徴の1つとして、謎の生物の身体は充電すると発光し、真っ暗のマップを光で照らしてくれる。彼は自身の頭の耳を電源プラグのように刺し、マップ上にあるコンセントから電気を補充するのだ。ただし電力が消費されるのか光は徐々に小さくなってゆくので、定期的にコンセントがある場所を見つけなければならない。光がなくなってしまうと周囲は真っ暗になり、どこへ進めばいいのかわからなくなってしまう。

ただ前述したように、『PLUG』は光が消えてしまう前に探索をしなければならないスリル満点のゲームというよりも、美しい2Dピクセルの電子地下空間を存分に楽しむ作品だ。ミルクレモン色で描かれたとても奇妙な地下世界を、少しずつ小さくなってゆく光が情緒豊かに照らしだす。「Rabitgirl」氏が手がけたエレクトロなBGMも、間違いなくプレイヤーの心をうっとりとさせてくれるだろう。

itch.ioで配信されている『PLUG』は、冒頭で述べたように無料でダウンロードすることが可能。ダウンロードは無料。プレイ時間はわずか1時間足らずなので、ビジュアルにピンと来た人はぜひプレイしてみるべきだ。

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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