押井守の『Fallout4』通信
第6回「困ったコンパニオンたち」

押井監督が『Fallout 4』のプレイ状況をお伝えする隔週連載「押井守の『Fallout 4』通信」。予告通りレベル100を超えた押井監督、今回は各コンパニオンへの扱いについて語っています(編集部)。
押井監督が『Fallout 4』のプレイ状況をお伝えする隔週連載「押井守の『Fallout 4』通信」。予告通りレベル100を超えた押井監督、今回は各コンパニオンへの扱いについて語っています(編集部)。

※本連載は押井守メールマガジン『押井守の「世界の半分を怒らせる」』にて掲載された内容を再編集したものです。

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公約通りレベル100を超えました。

いやあ頑張ったなあ、と自分を褒めてやりたい。

「veryhard」でも「survival」でもありませんが、メインのミッションと言えばバリスティックウェーブ欲しさに請け負ったレールロードのパシリのみで、B.O.S.やミニッツメンのクエストも出会いだけ。基本的に「襲撃と焼き肉」のみでここまで来たのですから、少しは胸を張ってもバチは当たらないでしょう。

まあ、ただのバカとも言いますが。

それにしてもレベル100を超えて、さあ何をしようか。

B.O.S.のパワー・アーマーを並べ過ぎて拠点はフレーム落ちでカクカクだし、バラック建築にも興味がないし、そろそろ潮時なのでしょうか。というところで、今回は『Fallout4』のシステムの売り(でもあるらしい)コンパニオンについて書くことにしました。

初見から相棒はDogmeatだけと決めた私ですが、定期的に発動するケイト姐さんの告白をスキップしているとココロが痛みます。やはり連れて来るべきではなかったと後悔しきりですが、いまさら「隣りのサンクチュアリ」に預けるのも同様にココロが揺れて、これを腐れ縁と呼ぶのでしょう。襲撃現場から深夜に帰宅すると、すでに姐さんは就寝していて、その赤いハイヒールに胸騒ぎがしたりもして、いやあベスセダさんのやることは心憎い。

第4回「気がつけば夜盗」より

とにかく『Fallout4』のコンパニオンたちは、ロボットから姐さんからスーパーミュータントからグールから人造人間に至るまで、よく喋ります。戦闘中だろうが何だろうが、それがウリなのかもしれませんが、とにかくよく喋ります。新聞記者のパイパーさんに至っては「やかましい、このアマ」と叫びたくなるようなレベルです。

誰を相棒にするかで自ずとプレイヤーの個性とスタイルが決まるのでしょうが、『Fallout4』のプレイヤーさんたちは誰を選んでいるのか、なにしろ周囲に訊く人間もいないのでよく判りません。Yutubeの動画を見ていると、やはりお姐さん系を選ぶプレイヤーが多数派のようでもあり、特にパイパーさんは絶大な支持を集めているようですが、あの方の自己主張の激しさは尋常ではありませんから、『Fallout4』の支持者の多くは心理的にMなのではないでしょうか。

ちなみに私は元ヤク中のケイト姐さんひとりでアップアップなので、キュリーとパイパーさんはサンクチュアリで農作業専従者。グールが生理的に嫌いなのでニックとハンコッックは街に置き去り。スーパーミュータントのストロングは、いつだったか敵と間違えて撃っちゃったのでそのまんま現場に置き去り。なんだか怖いのでその近辺には近づきません。グッドネイバーの酒場で知り合った元ガンナーの使えない用心棒には牛を曳かせています。コンパニオンではありませんが、ローカルラジオ局の女子アナのオバさんはサンクチュアリで売店の専従員、グール化したvolt.tecの営業マンは同じくサンクチュアリの防衛担当。ダイヤモンドシティで拾ったヌカコーラ中毒のホームレスもサンクチュアリで農業専従者。何でもかんでもサンクチュアリに送り込んだので、サンクチュアリはNPCの人口比率が凄まじくて「入植者」の入り込む余地もない飽和状態に陥っております。NPCの掃き溜めです。

※画像はイメージです(編集部注釈)。

コンパニオンと「旅の仲間」の違いは何かと言えば、とにかくコンパニオンには「成長」というファクターがありませんし「不死属性」ですから、良く言えばペットであり、悪く言えば装備の一部であり、容易に「ジャンク運搬人」と化すことになります。お姐ちゃんには着せ替えて感情移入を促すという効果があり、これはこれでココロを動かす心憎い仕掛けですが、いかにMODが文化とはいえ、水着や下着はいけません。

私は大人なのでケイト姐さんは「洗い晒しのワンピースに赤いハイヒール」がベスト。襲撃に参加させる時は「装甲化したコーサーの制服」と決めています。これはこれで、なかなかカッコいいのですが、つい先日も会話の選択に迷っていたら、いきなり「ちょっと失礼じゃない」と心中を見透かされてドッキリ。リハビリと称して農作業に専従させている負い目なのかもしれません。

いやあ、ベスセダさんたらやることが憎いなあ。

でも、やはり私はDogmeatクンだけでいいや。
可愛いんだもん。

何だか締まりのない原稿になりましたが、それもこれもプレイに行き詰まりを感じているせいなのでしょう。そろそろインスティチュートとも戦争を始める潮時なのかもしれません。

とりあえず敵対せずに、潜入と破壊工作でどこまでやれるのか、試してみるつもりですが、どこぞの組織と組まない限りリアクターの爆破が不可能なのはB.O.S.の空中輸送艦と同様なのでしょう。別セーブして試すというスタイルは嫌いなので、ここは悩むところです。

エンディングを迎えるルートならレイルロードと決めてますけど。

まだ、その時ではない。

エンディング後の世界もあるのでしょうが、それは『DQB』も同じことで、やはり竜王のいない世界に緊張感はありませんでしたから。

強者の悩みは深い、という今日この頃です。

Oshii Mamoru
Oshii Mamoru

1951年生まれ。映画監督。代表作に『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』劇場版「機動警察パトレイバー」2部作、『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』などがある。また「機動警察パトレイバー」シリーズを完全オリジナルの新作としてドラマ版+劇場版の全7章で実写映像化した「THE NEXT GENERATION パトレイバー」シリーズの総監督を務める。最新作は「GARM WARS The Last Druid」。

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