『NECROTOPIA』プレイレポート。人と獣のツギハギ人間が、武器を身体に縫い合わせてダンジョンを探索する2Dアクションゲーム【デジゲー博 2018】

 

東京・秋葉原にて11月4日に開催された同人・インディーゲームの祭典「デジゲー博 2018」。本稿ではイベント当日に試遊出展されていた『NECROTOPIA』を紹介する。開発初期には『Prometheus』という名称で知られていた本作は、同人ゲーム制作サークル「day-to-day management」がPC向けに開発中のツギハギ探索アクションゲームだ。

本作の主人公は、身体がツギハギ状態の怪物人間。人と獣を縫い合わせて造られた異形の生き物である。自分は何者なのか。なぜ造られたのか。その理由を追い求め、「死体を刻んで繋げて蘇らせる」と噂の錬金術師が住まう廃城を目指して歩み始める。屍体と瓦礫の山の地下に広がる坑道、青紫色の光に照らされた墓地、闇に包まれた教会。不気味なステージ内には、主人公と似たようにさまざまな生き物の身体部位をツギハギして生まれたと思わしき異様な風貌の怪物たちがうごめいている。主人公はステージ内に落ちているガラクタや採掘道具などを身体に縫いつけて敵を倒し、ギミックを解き、道を切り拓いていく。敵も味方も武器も道具もツギハギというコンセプトからゲームが広がっている点が、なにより目を引くポイントだろう。

今回はデジゲー博で試遊出展および販売されていた、同作の「デジゲー博 2018 体験版」をプレイ。主人公は入り組んだステージ内をジャンプ、二段ジャンプ、前方・後方への緊急回避、ジャンプ回避といった移動アクションを駆使しつつ探索。ステージ内に落ちているピッケル、ドリル、パイプなどを拾って右腕に縫い付け、それらを武器として敵を攻撃する。

打撲・刺突・盾など武器はカテゴリー分けされており、カテゴリーごとに武器レベルの概念が存在する。各武器カテゴリーは、該当する武器を使って敵を倒すことでレベルが上がり、逆に敵の攻撃を食らうことでレベルが下がっていく。本作はマップ各所のセーブ地点に触れることで体力が全回復するわけだが、セーブ地点で回復できるからといって被ダメージ覚悟のゴリ押しで進めていると、武器が一向に強化されていかないという塩梅になっているわけだ。

拾った武器には耐久度の概念があり、数回使うだけで壊れてしまう。お気に入りの武器を固定で使うのではなく、その場その場で拾えるものを拾って、次々と持ち替えながら敵やギミックへの適切な対処方法を模索していくこととなる。なお軽い武器は与ダメージが小さいかわりに攻撃速度が速く、重い武器は与ダメージが大きいかわりに攻撃速度が遅いなど、手に取る武器によって使い勝手が異なる。耐久度の概念があることについては、プレイヤーによって好き嫌いがわかれるところかと思われ、筆者に関してはお気に入りの武器を長く愛用したい派であり、通常であればあまり乗り気になれない。ただ本作においては、耐久度が極端に低く、かつ簡単に新しい武器が手に入ることから「次は違う武器を使ってみよう」と気軽に新しいものに触れてみるつもりになれた。間に合わせのもので対処する「ツギハギ感」を演出する上でも、効果的なゲームデザインと言えるだろう。

また各所で手に入る武器は攻撃手段であることはもちろんのこと、新しいエリアに到達する上で不可欠な探索ツールでもある。ピッケルで岩場を掘削したり、松明でダイナマイトを点火したりと、その場その場で必要な武器を縫い付けて道を開拓していくのだ。このように武器/ツールのツギハギ要素は本作最大の肝となっている。

ステージ内を入念に探索することで、ショートカットを開放したり、貴重な消費アイテムやライフアップのかけら(4つ集めることで体力最大値アップ)を見つけ出したりと、冒険を楽に進められるようになる。さらに道中でキーアイテムを拾うことで、それまで持ち上げられなかった重い物体を身体に縫い付けられるようになったり、それまで先に進めなかったエリアに入れるようになる。主人公がパワーアップすることで新しいエリアに入れるようになっていく、メトロイドヴァニア型のマップ構造となっている。

坑道、墓地、教会とステージごとに異なる雰囲気・ギミックが用意されており、主人公は道中で出会うNPCと会話することで世界観・物語の一端に触れていくこととなる。そして、ステージの奥深くでは、同じくさまざまな生物がツギハギされた不気味なボスとの対決が待っている。たとえば第1ステージである坑道のボスは、身体部分を攻撃すると各パーツがバラバラに分裂する。ボス戦においてもツギハギ感が演出されているのだ。

身体のツギハギ要素を世界観構築やダンジョン探索と縫い付けた2Dアクションゲーム『NECROTOPIA』。まだ開発段階のタイトルであり、完成時にはさらにステージが追加されるとのことで、今後の行方が楽しみな一作である。